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令和7年度以降の全国学力調査CBT化、その可能性と課題
文部科学省は10月29日に、「令和7年度以降の全国学力・学習状況調査(悉皆調査)」の中学理科問題のCBTサンプル問題を公表しました。学調のCBT化は、日本の教育にとって大きなステップです。本記事では、サンプル問題を見て考えた学調のCBT化のメリットや課題をまとめています。
発表の概要
文部科学省と国立教育政策研究所は2024年10月29日、2025年度(令和7年度)全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、中学校理科のCBTサンプル問題を公表しました。
2025年度悉皆調査では中学理科のみ、1人1台端末を使ったCBT方式で実施します。サンプル問題を見てみると、以下のような解答形式が導入されています。(参照:https://www.mext.go.jp/content/20241105-mxt_chousa02-000036913_5.pdf)
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他にも、図を移動させて解答する並び替え問題やグラフへのクリックで解答する問題例が公表されていました。
こうした新しい問題形式は、従来の紙の試験では測れなかったスキルや学力を把握できる点で意義深いと考えられます。
背景と懸念
CBT化は、学力の幅広い評価を目指す国際的な流れに沿ったものです。PISAのような国際学力調査でもCBTが用いられており、その有用性は実証されています。しかし、日本国内での導入に際しては、いくつかの懸念が浮かび上がります。
①操作に不慣れな生徒への影響
タブレットの操作に慣れていない生徒は、入力や図の移動といった問題形式で不利になる可能性があります。授業でのICT教育の状況によっては、学力の正確な測定が難しくなるでしょう。
福井県は「令和5年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」の教員アンケート結果をみると、「児童生徒のICT活用を指導する能力」が全国平均を下回っている状況です。教員が授業でICTを活用していないとなると、タブレットの操作に慣れていない生徒がいる可能性が高まります。
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②ネットワーク環境の問題
一斉に動画を視聴する必要があるため、学内のネットワーク速度が低い場合、テストをスムーズに進めることができなくなることも懸念されます。
これに関しては、上記の調査結果によると、福井県は8割の学校においてインターネット接続状況〔通信速度(理論値):1Gbps以上〕という結果でした。
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全国学調CBTに向けて
CBT形式の導入自体には多くのメリットがあります。例えば、デジタル上でシミュレーションを行いながら解答することで、紙の試験では測れなかった多様な学力を把握できます。
しかし、操作スキルの格差が結果に影響を与えることや、ネットワーク環境の整備状況にばらつきがあることが課題です。これらの点について、教育委員会や各自治体は、生徒が学力調査を公平かつスムーズに受けられるよう、指導と準備を徹底していく必要があると思います。
まとめ
全国学力調査のCBT化は、新たな教育の可能性を広げる重要な一歩です。しかし、その実施には学校ごとのICT教育の格差やネットワーク環境の整備といった課題が伴います。皆さんの地域の学校では、ICT教育は十分に行われていますか?
子どもたちのより良い教育に向けて、自分に何ができるのか考えていきたいですね。