#98 クリスマスに向けて「買わない」で作るを楽しんだら利益になってしまった
イギリスではTVをほどんど観ることなく暮らしていますが、夫が横で観ていると私もついつい惹きこまれる番組もいくつかあります。
今朝も、出勤前の夫がつけたTVでは "The Repair Shop"(リペアショップ)という番組をやっていました。
雰囲気だけでもと、URLを付けましたが、私が日本のNHKを海外から観られないように、BBCも放送分を開けて観ることはできないと思います。どうぞあしからず。
ここは、ボロボロになったけれども思い入れのある大切なものを持っていけば、それぞれの分野の専門家がもとの生き生きとした状態に戻してくれる、そんな場所。
例えば子どもの頃には動いていたもの、すっかり壊れてずっと仕舞われていた昔のおもちゃ、おじいちゃんの大切な時計、オルゴール。ひとりひとりの別の人生があるように、持ち込まれるものには他者には計り知れないそれぞれの想いがつまっています。
番組は持ち込まれた状態と、どうしてそれが特別で大切なのかというストーリーから始まります。そしてひとつひとつの部品の修復や色の復元、布や皮を張り替えたり、磨き上げるという過程が素晴らしいカメラワークで映し出されるのです。
それはさながら西洋の絵本のなかのサンタのワークショップといった感じ。大の大人たちが壊れた昔のものを愛おしそうに直している様子をカメラが巧みに捉え、トントン、カチャカチャとエルフたちがプレゼントを作り上げていると錯覚してしまうほどに素敵なのです。
なによりも視聴者が楽しみにしてしまうのは、出来上がりを受け取りにくる依頼主が、完璧に復元されたものを見て言葉を詰まらせたり、涙を流して感激する様子。こちらまで心があったかくなります。
私は古い物に価値を見出す英国の気質がとても好きです。そしてそれはきっと私の中のもともとあった「もったいない」の精神に繋がっているのかもしれません。
そんな私に神様がなんだか楽しいことを用意してくださったのです‥‥
それが冒頭サムネ写真です。私の住む地域にある"THE ReSTORE" という古くなった家具や家財道具をリメイクして別の価値を与える場所です。もともとのものを復元する "The Repair Shop" とは違いますが、古くなったものを捨てずに大切に使うという精神を地で行っています。
すでにボランティアをしている友人が紹介してくれ、10月からボランティアを始めました。
お店の中はこんな感じ。地域のリサイクルセンターとの提携があって、集まってきた一度捨てられた家具たちが、見違える姿になってお店に並びます。
ボランティアたちはお店の奥の作業場で新しいプロジェクトを任され、ただひたすら仕上げていきます。
私は週一度、お弁当持参で行くのですが、みんな和気あいあいで誰からともなくコーヒーを淹れてもらったり、一日がアッというまに流れていきます。
例えば私が最初にやらせてもらったのは、こんな形でお店に置かれています。
寄付で集まったものの中に、木目にニスが塗られている引き出しや戸棚のノブがたくさんあります。それをひとつひとつサンドペーパーで擦り、それからペイントしていきます。
ノブを電動スクリュードライバーの先に設置して作業すれば、サンディング(やすり)とペインティングを楽にムラなく仕上げることができるのを誰かが教えてくれました。
デザインはボランティアひとりひとりの自由に任されているので、私は家にあったスタンプを使ってみました。楽しい‥‥
その次にやったのは、古いのこぎりの活用です。金属部分の錆取りをして、チークオイルで木製部分を古びた感じを残しながらきれいにして‥‥金属用の下地のペイントを塗ります。
チョーク用のペイントを塗ってメモボードになりました。
そして私の進行中のプロジェクトはこれ。若者たちが共同スペースで使っていたであろう落書きだらけだった椅子でした。全体にサンドペーパーをかけた後、古い地図でデコパージュをしました。
3週目でここまで来ました。一部だけ地図を貼らず黄色にペイントしたのは私の希望です。
実はショップマネージャーには全部貼ってほしいと言われたのです。それを、まずはこれでお店に出して、売れなかったならちゃんと貼りますから‥‥とお願いして思い通りにさせてもらいました。
来週はニスで仕上げればお店に並びます。さりげなくJAPANを背もたれの後ろに配置したりして‥‥
そして、なんとクリエイター (出品者) としてもお店に作品を置いてもらえるようになりました。
クリスマス前ということで、この時期に旬になるものがありますよね。
いつも週末に夫と散歩する際にみかける流木を拾い集めて、クリスマスツリーを作ってみました。
小さいものも。
私はウール100%の毛布でいろんなものを作ります。以前この緑色の毛布を見つけて、クリスマスに使いたいGreenだと思っていたら、こんなツリーになりました。ブローチなどお気に入りのもので飾ってもらえるといいなという思いを込めて‥‥
お店に置いて一週間でクリスマスツリーは全部売れました。
これらのクリスマスツリーは海岸の散歩という、特別でも何でもない日常の楽しみから生まれました。薪ストーヴの薪の中から見つけた木片が一部になったり、まるで私たちの普段の生活そのものが形になっています。
夫に伝えたら、「また拾ってこなきゃ」と楽しそう。
サステイナブルな生き方は、この環境破壊の進む危機的な世界でどんどん見直されていますね。
私自身、強い思想があって啓蒙しているわけじゃないのです。普通に地味な生き方をしていたら、こんなことに喜びを感じるようになっていました。
大量生産されたピカピカなものよりも、使い込まれたもののほうが美しいと感じたり、生活様式に合わなくなったデザインや色合いのものを工夫して新しく使えるものにする方が断然楽しい‥‥
私、クリスマスまではなんだか楽しく忙しくなりそうです。
note書いてなかったのはこういうことをしていたからでした~。
最後に、昨日のショップ前です。10月にボランティアを始めた時が冒頭の写真でしたが、ひと月半で店先のもみじが真っ赤に燃え盛っていました。
あまりにきれいで、夢中で拾って両手いっぱいでお店に戻ったら、「こないだも4歳くらいの女の子が同じことしてバスケットに並べていたわ」と聞かされたのは還暦近い私。
家路を急ぐ頃にはどんどん暗くなってきます。
寒くなりますが、みなさんお身体を大切に、暖かくお過ごしくださいね。
追記: クリスマスに向けての創作は続いております。