
【旅行記】モダンとエロスの間を散歩 京都 細見美術館『美しい春画』展
いろづいた木の葉の赤さ肌の色うっとり見つめ風に飛ばさる
燃え上がる紅の色さえ儚くてかさねる艶に胸がときめく/瑞野明青
京都府庁旧本館でお茶を
今回はJR東海の企画切符の特典プランで近代建築の素敵な空間でティータイムを楽しみましょうという言葉に惹かれて、行ってみました。明治時代に建てられたクラシカルで、エレガントな建物はとても興味深かったです。カフェも椅子やシャンデリアはもちろん、卓上のベルも振って音を出すというもので、最近にはない雰囲気でした。
色々なケーキの中から、紅茶のシフォンケーキといちごのソルベのセットとストレートの紅茶を合わせました。ふわふわですっと溶けるようなシフォンケーキはしっかりと紅茶の風味が香っていました。いちごのソルベもしっかりいちごが入っていて、とてもジューシィでおいしかったです。

この建物の中には議場があり、漆喰の修復されて白い部分とまだ建築当時の部分があるそうで、微妙な色の違いも面白かった。壁の装飾や格式のある天井はさすが明治の建築だなぁと思いました。

平日には府知事室も見学できるというので、入ってみました。府知事室と並んで正庁という大広間も見学できて、2階からの眺めはちょうど通りが見えて、正面の道がきちんと真ん中に見える窓があったのは凄いと思った。季節的に紅葉も進んでいて、赤い並木が少し歪んだガラスにきれいに見えた。
中庭にはしだれ桜や大島桜が植えられていて、桜の季節にまた来たいところで、元は京都守護職の屋敷ということで石碑もあって歴史の舞台という重要な場所とも思いを馳せた。


美しい春画 細見美術館
この旅のメインはこの細見美術館の『美しい春画』展を見ることだった。春画は性愛を描いた絵でしかもグロテスクな描写があるため、なかなか展示会の題材となり得なかった。それが大英博物館の展示で芸術性も再確認されて、日本でも展示されるようになった。
ただ、性愛の場面であり、性器も描かれれていることから、全年齢を対象にはできず、ゾーニングをするか年齢制限をかける事が必要になってくる。年齢制限をするものを公立の美術館ではできないだろうという話を、春画の映画の解説で聞いて難しいものがあると思った。そういう余り見る機会のないもので巡回展示もないというので、京都まで足に伸ばそうと思った。

春画というと浮世絵の一種で、版画のほうがよく見るのだけれど、今回は肉筆画がメインというのもかなり惹かれた。枕絵というように個人的に密かに見るイメージが強かったからかもしれない。
大きさも様々な美しい色彩の施された男女の風景は、どこを切り取るのかによって、より艶っぽく見えたりきれいと感じたり作家性もよくわかった。葛飾北斎の浪千鳥の見比べは、色の付け方でこんなにも変わるのかと驚きさえあった。喜多川歌麿や鳥文斎栄之はさすがの美しさで、いろを一層感じた。長崎の西洋を取り入れた絵もあって、時々の流行りの取り入れ方も興味深かった。四季を取り入れたり、年齢構成を考えたり、お相手も綺麗な若衆や男性からさまざまで、絵の意味を考えてみることもあった。だいたい男性はやる気がみなぎっているけれど、女性の方は恍惚としたものばかりでなく明らかに嫌がっているのもあって、しっかりと観察されているようで面白かった。
わざわざと思うところもあったが、本物を目にするとやっぱり来てよかったと思った。そうなると北斎の海女と蛸の絵を見ておくべきだったかとも思った。

細見美術館をでて、平安神宮のあたりを散歩してお腹が空いたのでカフェに入り、チキンカレーをいただいた。

岡崎公園もすこしまわって、腹ごなしをすると京都駅へと戻った。京都タワーのところの焼き鳥屋に入り、日本酒をいただくことにした。造り酒屋の直営店ならではの、『たれぐち』という熱処理をしていない原酒が飲めるようなので頼んだ。炭酸がまだ入っているので口の中にいれると微妙にシュワシュワするのが、スッキリとした味と相まって楽しみにしている一品。ほかにも生麩田楽なども頼んで、京都の旅の締めとした。

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