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読書日記

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2024年1月の記事一覧

このワクワク感たるや『成瀬は信じた道をいく』

このワクワク感たるや『成瀬は信じた道をいく』

出版業界では「ベストセラー作家だからって部数が出なくなっている」「著者繋がりの読書が減っている」なんてな話がよく聞かれます。確かに、有名著者だからといって売れる時代ではなくなったのかもしれません。でもね「なんと!あの本の続編が出るだと!?買わねば」ということはあるんですよ。私も成瀬の続編が出ると聞いたときにソッコーで手帳に発売日をメモしました。
このワクワク感たるや。

このシリーズのスゴさは「と

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世の鳥好きに全力で薦めたい『水車小屋のネネ』

世の鳥好きに全力で薦めたい『水車小屋のネネ』

発売当初から「あれいいよ」「読んだ方がいい」などの絶賛コメントを目にし、直接オススメされてもいたのですが、ようやく読めました。そして読んだ瞬間から誰かに薦めたくてたまらなくなっています。
動物と人間の関わりを描いた作品はいくつもありますが、ここまで心揺さぶられたのは久しぶりです。
この『水車小屋のネネ』は、水車小屋に住むヨウムの”ネネ”とそれを取り巻く人たちの40年間を描いたお話です。この物語が成

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『星を編む』に一人の存在の大きさを想った

『星を編む』に一人の存在の大きさを想った

物語が「めでたしめでたし」、と終わった後も登場人物たちの物語が続いている、その世界が続いている。と思えるのが凄い小説なのかな。と考えています。それが”人物が書けている”ということなのかな、と。
とはいえ、実際にその世界の続きを作家が描くこと、続編が出てくるということにはある意味大きなチャレンジだと思うんですよ。だって、本編を読み終わったときに読者に託されて、余韻の中で楽しんだ”これから”を否定する

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