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ため息俳句番外#58 今、「秋の暮」と
昨晩から西高東低の季節風が吹いている。
風の一日が暮れようとしている。
それにしても昨晩にはまいった。
口では老人だ年寄りだといいつつ、本当のところはあまり自覚がないことが時折暴露される。
昨晩、旨さのあまり調子にのって餃子を食べすぎた。近所の町中華の餃子であるが、餃子の皮がしっかりとしている。その生の餃子を買って持ち帰り、家で焼くのだが、その焼き方が上手いので(勿論、焼いたのは小生である)、いい具合に仕上がって至極旨い。そこで、ついつい残さずに食べてしまった。
そうしたら、胃をやられた。明らかに食べ過ぎた。そこで、胃がもたれてもたれて、あまつさえ少し痛むのだった。おかげで午前2時に目が覚めて、そのまま明け方まで眠れなかった。その間、外は大風、雨戸が時折音を立てるのを情けない気持ちで聴いていたのだった。
一茶の句である。
木がらしにしくしく腹のぐあい哉 一茶
これからは旨いものでも腹八分目にと、いうことを「痛み」によって学んだ夜になった。暴飲暴食は、爺ィのするべきことではない。
それでも、夜が明ける頃には何とか胃の中のものは消化できたらしく、腹具合が落ち着てきた。止めておこうと思いつつも、朝食には昨夜の残った飯をお粥にして食べた。
それから、妻が持ち合わせていた太田胃腸薬を飲んだ。
昼にはほぼ回復したが、いつものような間食は避けた。
昼過ぎ、畑に出ると、畑周りに放りっぱなしの小菊が盛りである。
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この時期の菊となれば、従来の歳時記的季節感であればこうなる。
残菊のいのちのうきめつらきかな 久保田万太郎
だが、残菊どころか、今が盛りなのだ。
そういうことで云えば、畑には向日葵が今年も咲いた。夏の向日葵の種がこぼれて、それが今頃咲いているのだ。今年二度目の向日葵ということだ。
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木枯らしに、向日葵、ありえない組み合わせのように思う。
こうなると、気候変動による歳時記書き換えの必要性が云われる時が来るかも知れない。
ともあれ今頃になって、ようやくに、安普請に忍び入る隙間風に「秋の暮」だなと、眠れぬままに感じたのである。
女房をたよりに老うや暮の秋 村上鬼城