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水鳥の本棚

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読んだ本についての記録と感想を書いていきます。
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記事一覧

【読書】岡崎武志『駄目も目である 木山捷平小説集』を読んだ

 巻末の解説で編者が書いている通り、本書は木山捷平の全貌を表すというよりも、生活も仕事も…

【読書】町田康訳『宇治拾遺物語』を読んだ

 十一世紀、平安時代に成立した「宇治大納言物語」は大納言、源隆国が聞き集めた話を集めた全…

【読書】山城千佳惠子『檀一雄の従軍日記を読む』を読んだ

 檀一雄「リツ子・その愛」の冒頭は「檀さん、洛陽に行きませんか?」と問われるところから始…

【読書】近藤富枝『花蔭の人 矢田津世子の生涯』を読んだ

 坂口安吾の小説やエッセイを読んでいて気になった作家の一人に矢田津世子がいる。  安吾の…

【読書】木村弘一『安吾と檀(日本短編小説叢書)』を読んだ

 医科大学に通いながら小説を書いていた筆者の、坂口安吾と檀一雄との交流を書いた随筆二篇…

【読書】坂口綱男『安吾と三千代と四十の豚児と』を読んだ

 坂口安吾にまつわるエピソードを集めようと思いAmazonに出品されている古本を十冊ほど注文し…

【読書】山岸外史『詩と真実』を読んだ

 見たものをあるがままに書く。それは時代が要請する道徳や常識の制限を受けないということであり、美という枠に収めないことでもある。  自身も詩を書く評論家、山岸外史がボードレール、北原白秋、与謝野晶子、ドストエフスキー、ロダンの作品を挙げながら「真実」を表現するとはどういうことなのか思索する。  ここで挙げられている作家の作品はほとんど読んだことがなかったが、特に北原白秋の詩をもっと読んでみたいと思った。「まざあ・ぐうす」の翻訳が家にあったはずだ。でも翻訳ではない白秋自身の

【読書】山岸外史『芥川龍之介』を読んだ

 この『芥川龍之介』は山岸外史の二冊目の長編評論で、昭和十五年(1940年)三月二十日にぐろ…

【読書】池内規行『評伝・山岸外史』を読んだ

 私は太宰治の作品や檀一雄「小説 太宰治」で山岸外史を知り、これまでには山岸の「人間 太…

【読書】城山三郎『そうか、もう君はいないのか』を読んだ

 城山三郎『そうか、もう君はいないのか』を読み終えた。  後半になるにつれ少し散漫な印象…

【読書】いしいしんじ抄訳『げんじものがたり』を読んだ

 大阪出身で京都在住の作家、いしいしんじが現代の京都の言葉で訳した源氏物語。  平安時代…

【読書】町田康『しらふで生きる』を読んだ

30年間飲み続けた酒をふとやめて、今もやめ続けている著者の、なぜやめたのか、どのようにやめ…

【読書】町田康『口訳 古事記』と石川淳『新釈古事記』を読んだ

 古事記を読んでみたいとずっと思っていたものの、なかなか読めずにいました。  日本最古の…

【読書】ツージーQ『ぶどう園物語』

私としてはQP-CRAZYのベーシストという印象ばかりが強いツージーQの自伝漫画だ。 ツジムラ(ツージーQ)は故郷の長崎から上京してよく出入りするようになった通称ぶどう園と呼ばれる長屋で遠藤ミチロウと出会いコケシドールを結成。のちに解体作業のアルバイト経験からバラシに改名したまでは良かったものの、更にバンド名を自閉体(そこから更にTHE  STALINに改名)に変更することになったことがどうしても受け入れられず、生活の行き詰まりもあり遠藤ミチロウとは袂を分つ。 そこからツ