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バチェロレッテ3から見えた社会の縮図と育みたい世界

頭を無にして休むのにちょうどよい、バチェロレッテ

キャリアブレイク合宿から帰ってきた翌日。
わたしは廃人のように過ごした。

合宿自体の疲れよりも、宿のロールカーテンのあまりの薄さによって、深夜2時に寝ても太陽様に朝5時に起こされてしまうといった明らかな睡眠不足による廃人化現象だった。

頭がぼうっとするが二度寝できないわたしは、
床と一体になってしまうんじゃないかというくらいに背中の面積を床に預けながら、
アマプラの「バチェロレッテシーズン3」の独占配信を観ていた。

なんにもしたくないけど寝れないとき、わたしは無になって漫画か録画したクレイジージャーニーかアマプラを観る。

そんなわたしに最高のおともだったバチェロレッテ3。

脳死で身体を休めるにはもってこいの依存性の高い番組である。(失礼)


バチェロレッテとは、真実の愛を探すという目的で1人の女性と複数の男性が過ごす恋愛バラエティー番組だ。(リアリティーがあって中々面白い)

そしてここからはネットで「就活のグループワークみたい(笑)」と噂のエピソード4で起きたことを見て、わたしが「これって社会で起きていることの縮図だな」と思ったことをつらつらと書いてみる。

※ネタバレありなので、これからゆっくり観たい方は絶対に読まないでください。

就活のグループワークみたいと噂のep4

エピソード4では、男性たちの中で誰がバチェロレッテと2on1デートに行くかということを相談し合うシーンがあった。

行けるのはたった2人だけ。そしてデートに行った2人のうちどちらかがローズを渡され、どちらかが選ばれない(帰国)という背水の陣でのデートだ。

「2on1を逃すと選ばれないかもしれない」
「まだ充分にバチェロレッテに自分のことを伝えられていない」

そんな想いとプレッシャーが交差する、ピリッとした男たちのガチ会議が見れたのがエピソード4である。

中々誰が行くかを決められない…。「自分が行きたい」という想いはそれぞれにあって、その優先度をどう測っていいのかわからないような状況が続いた。


その時、男性メンバーの1人、ボイパが特技の山本くんが自身の恋愛経験のトラウマについて語りだした。

「俺ね、アキさん(バチェロレッテ)に”山本くんって、素を出して話さないよね”って言われたのね…。で、それが俺のトラウマワードなわけ。今までの恋愛でも何考えているかわからないって言われてきていて。で、それは過去の経験を遡ると…、たぶんいじめられてハブられてた経験から来ているんだよね。」

彼は、自分のパーソナルな体験、自分の内にある真実を明かした。

山本くんの自己開示を聞いた周りの男性たちの反応は、シビアなものだった。

「誰もがみんなトラウマを抱えているんだから、そんな個人的なことをこの場に持ち込んでくれては困る。」

「それは自分自身の問題であって、バチェロレッテには関係ない。だからそれが理由なら俺は応援できない」

このやりとりを観ていて、ここで起きていることは社会の縮図だな、とわたしは感じた。

個人的な感情を職場に持ち込むな

一度は経験したことがある人も多いかもしれない。仕事で個人的な感情を語ったとき、「それはあなたの問題でしょう」「今ココの議題には関係ない」と一蹴されてしまう体験を。

あの瞬間の、行き場のない気持ち、憤り、恥ずかしさ、悲しさたるや・・・。(言うてわたしも長い間一蹴する態度をとっていた)

そうして、「感情を仕事に持ち込んではいけない」という上司や先輩からの呪いのような信念が形成されていく。

それでいて近年では、「ありのままで生きよう」「個を表現し活かせ」と、一見矛盾するようなことも求められる。

社会からのこうしたメッセージは、

(あくまで限定的に)個を活かしてね」
「ありのままを語ってね(ただし、ポジティブ面だけで)

という言葉にはならない、括弧書きつきのメッセージなのだ。

バチェロレッテに戻り、山本くんの内面で起きていたことを想像してみる。

山本くんが自分の過去の痛みを、グループの中で開示するそれはどれだけ覚悟のいることだっただろう。
自分のやわらかな部分を明かして、それを分かってもらえない恐れや不安もあったかもしれない。
トラウマを言葉にすることは、本人自身にとっても気持ちの良いものではないだろうけど、それを超えたい、という想いもあるんだろう。

エピソード4で起きた山本くんの自己開示は、一定期間この旅で一緒に過ごした仲間のことを信頼しているからこそだったのではないだろうかと思う。
(Ep4以降を見ると、最終的には納得して話し合えたようだった)

恋愛リアリティーショーを観ているイチ視聴者としては、

「バチェロレッテがそれ(個人的なトラウマ)聴いたところでプラスに働くかなあ?」

と批判的に見てしまう気持ちもある。

だけど、彼の言動を自分事として見てみるとどうだろう

彼と同じことが自分にもできると断言できるだろうか。
自分の過去の痛みの体験を、彼のように場に出すということを想像してみたときにどんな気持ちがするだろう。
多くの人は彼と同じように、痛みも含んだ真実の声を、
場に出すことなんてできないんじゃないだろうか。
(相手の顔色を窺ったり、ね)

ーーー「どうせわかってもらえない」

そんな恐れが自分の真実の声を遠ざける。

「わかってもらえないから、無いことにしておこう」
「ポジティブな側面に意識を向けよう」

特に相手の気持ちを察してしまう人ほど、相手を不快にさせたくないと笑顔を繕って振る舞うのではないだろうか。

あるいはそういう特性を自分自身で自覚していなかったとしても、
職場やビジネスの現場での「正しい振る舞い」を重視し、社会的に評価される振る舞いをしてしまうのではないだろうか。

(「それはバチェロレッテには関係ない」という言葉はド正論であり、
「パーソナルな感情なんて仕事には関係ない」とほぼイコールだと思う)

世界はフラクタルだから、このバチェロレッテでのワンシーンは現在社会で起きていることの縮図だと思う。

ありのままを語っても理解されない(馬鹿をみる)ならば、人はありのままなんて語らなくなっていく。それが自然であり、賢い防衛反応だと思う。

一方で、人間とはそんなに器用な生き物でもないようで、溜めた分だけ(言わなかった分だけ)自分自身の身体に蓄積していく。

それが適応障害、パニック障害、鬱、がんなど、様々なかたちで表出する。
そして近年、休職者は右肩上がりで増加している。
わたしが関わる休職者・一時的な無職の人向けのコミュニティむしょく大学の登録者はここ1年半で60名→1000名へと増加している。(伸び率、やばすぎ)

この現象は何を意味しているのだろう。

ネガティブな感情への耐性をつける

そもそもなぜ、個人的な感情を仕事に持ち込んではいけないのだろう。

「仕事が進まないから」
「チームの雰囲気が悪くなるから」
「感情をマネジメントするのは最低限のビジネスパーソンスキルだから」

・・・色々な声がありそうだけど、結局は

ネガティブな感情に対する耐性がないから

これに尽きる気がしている。

仕事が進められないのは、「そんなこと言われても困るよ・・・」という聴き手側の耐性の無さであり、

もしそれでチームの雰囲気が壊れるなら、それもネガティブな感情に対する周囲の耐性のなさである。

結局は、それを聞いた側がその後どう関わればいいかわからなくて不安になるからだ。

でももし。

「実はこういうトラウマがあって、だからこの仕事をするときにこういう感情が芽生えて怖いんです」

という自己開示に対して、

「そういう感情があるんだね。それは怖いよね。」

とただあるがままを認めることができたとしたら。

「聴いてもらって、安心しました。不安だけれど成長していきたい気持ちもあって。頑張りたいのでこういう点でサポートいただけますか?」

「これを知ってくれている人がいるだけで心強いです。なんだかすっきりしました!」

と、相手の中での変化が起こるかもしれない。
(実際、何も解決しなくても聴くことでこういった変化が起きることを何度も目撃してきた)

わたしの最近好きな言葉で「problem is solution」という考え方がある。
問題を解決しようとも避けようともせず、その問題の中に留まることで自ずから解決していく、という道教的な考え方だ。

「あるがまま聴く」という行為は、まさに「Problem is solution」を体験することだと思う。
ネガティブな感情には、隠されたパワーがある。
陰極まれば陽に転ずる。問題は、ネガティブな感情への耐性がないことによって、陰を極められないところにある。

ネガティブな感情もポジティブな感情同様、一つのエネルギーなので避ければ避けるほど水面下で膨れ上がるようなパワーを持っている。
(見て見ぬフリが極まると退職、離婚、休職、病気等々として自分にとって不都合な現実が起こる)

ネガティブな感情にとどまることは、潜在的なパワーとつながりなおす行為でもあるのだ。

そしてネガティブな感情に対する耐性がある人が増えれば、
相手に変にアドバイスしたり、批判したりする人が減って、
お互いの違いをあるがまま受け取り、肯定し、尊重しあえる世界になるんじゃないかと思う。

わたしはそういう世界を育んでいきたい、とバチェロレッテを観て感じたのでした。

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