一文物語集 ポケットに入る宇宙の万華鏡 上 その2
本作は、手製本「ポケットに入る宇宙の万華鏡 上」でも読むことができます。
1
撮った写真を見せることはしないが、嫌なことを心から撮り抜くその古い写真館の店主は、明るくなってしまった暗室で、またか、とボヤき、現像される写真は光映えする人の写真ばかりだった。
2
少女が川で拾った石に、終生水やりをしていると、石は大きくなって植物のように芽を生やし、葉を広げ、ついに枯れることのない石の花を咲かせた。
3
剃刀を入れられた風船を手渡され、割らないように届けてきてくれと頼ま