【シロクマ文芸部】温泉デート〜ラムネの音
「ラムネの音するから聞いてみて」
タケル君が私に言う。湯船の中の私の体にシュワシュワの泡が纏わりついて、パチパチと音をたてる。
「ほんとだ!すごいパチパチいってるよ。ほら、こんなに泡がくっついてるもん」
ここはラムネ温泉館の家族風呂だ。タケル君と初めての温泉デートに来ている。ここのお湯は世界でも有数の炭酸泉で、様々な効能があるという。けれど、私はそんな効能よりもこのラムネに入っているようなシュワシュワと纏わりつく泡やパチパチする音が楽しくてウキウキする。
ここは家族風呂だから、私とタケル君と二人きりで一時間じっくりお湯を楽しめる。温泉に入る事はいいのだけど、なんだか恥ずかしい。温泉に来ると分かっていたら、もう少しダイエットしたのに。私のプニュプニュの体がとても恥ずかしい。一緒にお湯に入っているタケル君は引き締まったスッキリした体をしているのに。
「ねえ。タケル君ってさ、ほんとキレイに筋肉がついているよね。羨ましいよ」
私は、タケル君の胸元を触りながら言ってみる。タケル君はバカだなぁと言う顔をして、私のほっぺをムニムニとつまんだ。
「まあ、俺は鍛えているからね。でもね、モカはこれがいいんだよ。柔らかくて、触り心地がいいんだからさ。これ以上痩せなくていいよ。俺はどんなモカも大好きだよ」
タケル君は私に軽くキスをすると、露天風呂の方に向かう。
そんなタケル君の後ろ姿を見ながら、私はお湯の中に頭の先まで潜ってみた。お湯の中に浸かった顔にラムネのような泡が纏わりつく。ここのお湯は肌がとてもツルツルになるらしいから、思い切りお湯を顔にも体にも纏わせてみる。
タケル君、そんなに私の事を甘やかさないで。私、タケル君のためにキレイになりたいのに。タケル君はモテるから、私心配なんだ。
「モカ、こっち来なよ!露天風呂も気持ちいいよ」
露天風呂に入ると、優しい風が火照った体をそよそよと撫でる。
「温泉気持ちいいね。今日、来て良かった。連れてきてくれてありがとう、タケル君」
「ここを出たら、どこかでランチ食べような」
「うん!」
「モカ。色々心配しているみたいだけど、不安にならなくていいから。俺は本当に今のままのモカが好きなんだよ」
「タケル君がそう言ってくれるんだったら分かったよ。タケル君の事、信じてる」
「分かればヨシ!じゃ、モカこっちおいで」
そう言うと、タケル君は私を膝の上に乗せると、後ろからぎゅっと抱きしめてきた。
ああ、一体私どうしたらいいの。
パチパチしたラムネの泡の音も心臓のドキドキで聞こえなくなるし、抱きしめられて頭がぼーっとしてお湯にのぼせたのかどうかも分からない。私はタケル君にはもう抗えない。
タケル君、私の事離さないでね。もっとキレイになるから、他の女の子の所には行かないでね。
「モカ……」
「何?」
何事かとドキドキしながら聞く私。
「そろそろ時間だから上がろうか。そして、フルーツ牛乳飲もう!」
タケル君、ここはラムネを飲んだ方がいいんじゃないのかな?
なんて突っ込みたくなる気持ちを抑えて、ランチに何を食べようか考えながらお湯から上がった。
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今週のお題は「ラムネの音」です。
ラムネの音で何を書くか考えていたら、ふと「ラムネ温泉ってあったよな」なんて思いました。
調べてみましたら、こんなに素敵な日帰り温泉が大分県にありました。
建物も可愛いし、泉質も良さげです。
それに、販売されているグッズがすごく可愛いんです!
私は行った事がないので、大分に行った時には行ってみたいなぁと思いました😊
ちなみに、ここの辺りは長湯温泉といって、他にも旅館や温泉施設があるみたいです。行った事がないので詳しくはないのですが💦
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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