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【読書】流浪の月 凪良ゆう

さすが本屋大賞……。
読み始める時間が夜からだったとはいえ、久しぶり日付を越えて、ぶっ通しで読みきってしまった。
ちょっとここまでと止めることなんてできなかった。
そして読み終えたあと、声を出して泣いたのも久しぶりだ。

あらすじは書けない。
もう、優しく布にくるんでしまっておきたい、そして時々覗く物語にしたい。

やわらかく、包み込むような筆致だ。
だけど、描かれるものはとても痛い。

読み終えて思ったのは、「孤独と自由」について。
〈世間〉や〈常識〉は生きる上で必要なこと。でも時に人を苦しめ、行動は制限してくる。

それらから一歩踏み出せば、どこまでも自由になれる。けれど、どこまでも深い孤独がある。

それらは文と更紗の関係を認めずに拒み、二人は諦め、それらを手離す。

更紗は手離すことを決意し、言う。
文との関係を表す適切な、世間が納得する名前はない。
二人はおかしいのか、その判定は知らない。もう、そこにはいないと。

私は唐突に突き放されたような思いになった。
読んでいて感情移入し、二人をどうして放っておいてくれないんだと、〈世間〉に対して憤っていた。

けれど文と更紗は二人だけの自由と孤独を選び、手に取った。

私はそれがとても羨ましいと思った。

お名前を忘れてしまったけれど、ある方の記事を思い出した。
旦那さんと仲が良く、結婚して長い方。
でも旦那さんは外国人でゲイ。
日本で働くためには国籍がないとダメで、でも同性愛者の旦那さんは結婚できない。
それはおかしいと憤り、訴えたが認められず、じゃあ私と結婚しようと、それぞれ恋人はいてもいい、一緒にいようと。

それで離婚もせず、仲良く一緒にいる関係。
とても素敵だと思って読んだ記憶がある。

なんだっていい、一緒にいたいから、そうしてる、シンプルだ。
私自身はどうしたいのか、改めて認識できた作品だ。

月の位置すらあっという間に変わるスピードで二人は流浪する。
描かれることはないであろう文と更紗の未来という余白の物語は幸せであって欲しいと願わずにはいられない。

泣き疲れた……チョコアイス食べよ!!!!!!!

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