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西洋歴史小説のススメ

こんばんは、もこみです。

以前読書のススメイタリア史好きの原点で書いたように、私は普段ほぼミステリーしか読まないのですが、唯一の例外が西洋歴史小説。
そんな私がこれまで読んできたのが、この三人の作家さん。

私の好きな西洋歴史小説家

◇藤本ひとみ

中高生の頃によく読んだ作家さんです。
一番最初に読んだのは、恐らく『ブルボンの封印』。
藤本ひとみさんの代表作とも言える作品で、17世紀フランス、バスティーユ牢獄に収監されていた謎の囚人、いわゆる“鉄仮面伝説”を扱ったもの。

特にフランス史に造詣が深い作家さんで、フランス革命やマリー・アントワネット、ナポレオンなどを描いた作品が多く見られます。
女性作家さんだからか、宮廷内での妃や愛妾たちのドロドロした争いの描写が巧みで、引き込まれます。

そんな彼女の作品の中で一番好きだったのが、イタリア史、私の好きなメディチ家を扱った『逆光のメディチ』
そのあらすじは、

ルネサンスの華開くフィレンツェの街は、メディチ家の支配下にあった。当主ロレンツォと弟ジュリアーノの関係は、渦巻く野心の間で引き裂かれつつあった。偶然ジュリアーノと出会った少女アンジェラは、その天使のように美しい姿に魅せられ、ぜひ絵にしたいと願う。その想いが密かな恋心に変った時、二人を襲う悲劇、そしてこれからダ・ヴィンチが描くという幻の小説の謎とは…。
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レオナルド・ダ・ヴィンチを少女アンジェラに置き換えて、アンジェラ=ダ・ヴィンチの目線で見た当時のフィレンツェやメディチ家を、史実を交えながら描いた作品。
最後の一行が秀逸だったのですが、その後改題されて『ダ・ヴィンチの愛人』となり、その部分も改訂されたそうです。
正直改題前の方が良かった気がするのですが…。
今は中古本でしか手に入らないかも知れませんが、出来れば改題前のを読んでいただきたいと思います。

◇佐藤賢一

フランスなどヨーロッパを舞台にした歴史小説で知られる作家さん。
大学院で西洋史を学んでいたというだけあって、緻密な歴史考証と、生き生きとしたキャラクターが魅力です。
出てくるのは歴史上の有名人なのですが、その描き方がとても人間的で、親近感がわいて、ついつい感情移入してしまいます。

例えば、私が一番好きな作品『カエサルを撃て』
あらすじはこちら。

混沌のガリアを纏めあげた恐れを知らぬ若者ウェルキンゲトリクス。政治家人生も終盤を迎えポンペイウスへの劣等感に苛まされるカエサル。対照的かつ運命的な男と男が鎬を削る。佐藤賢一版『ガリア戦記』誕生。
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タイトルから分かるように、この作品の主人公はカエサルではなく、カエサルを撃とうとしている年若いガリア王ウェルキンゲトリクス。
光の神にも喩えられるほどの美丈夫で、若さゆえに自信過剰で傍若無人な人物に見えますが、失脚した父親の想いを継ぎ、周りの期待を一身に背負って孤独に闘う姿に切なさを感じます。

一方、カエサルといえば教科書にも出てくる古代ローマの英雄。
詳しくは知らなくても、「ブルータス、お前もか」「賽は投げられた」などの言葉を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。
そんな英雄カエサルですが、この作品の中では、部下たちに「チビで女好きのハゲ親父」と陰口を叩かれ、盟友ポンペイウスへの劣等感に人間くさく悩む情けない姿も描かれています。

他にも歴史上の有名人たちが生き生きと描かれ、身近に感じられる作品が数多くありますので、気になった方はぜひ一度手に取ってみて下さい。

◇塩野七生

イタリアを中心にヨーロッパ史を描く作家さん。
イタリア史に関する小説やエッセイなどを数多く書かれています。
私が好きなのは、後に『三つの都の物語』として合本化された『緋色のヴェネツィア』『銀色のフィレンツェ』『黄金のローマ』の三部作。
中でもフィレンツェ公アレッサンドロ・デ・メディチ暗殺事件をテーマにした『銀色のフィレンツェ』が特に好きでした。
あらすじはこちら。


若きヴェネツィア貴族マルコ・ダンドロは花の都フィレンツェを訪れたが、かつての共和国は今や大国を後楯にする公爵の独裁下にあった。その専制君主をめぐるメディチ家の陰謀に巻き込まれるマルコと遊女オリンピア…。16世紀前半、翳りゆくルネサンス・イタリアを描く絢爛たる歴史絵巻第二部。
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ちなみに、先に紹介した藤本ひとみさんも、同じテーマで『暗殺者ロレンザッチョ』を書かれています。
同じテーマでも、人によって描き方が全然違っていて、読み比べてみるのも面白いです。

塩野さんはイタリア在住ということで、とにかくイタリアの街の描写が素晴らしいです。
昔イタリアへ旅行した時に見たフィレンツェやローマの街並みを思い浮かべながら読むと、より一層楽しめました。

番外編

歴史小説ではありませんが、私が一時期よく読んでいたのが桐生操さん。
ヨーロッパの歴史人物伝や、歴史の知られざるエピソードを紹介する作品が数多くあります。
『本当は恐ろしいグリム童話』は有名なので、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。
桐生さんの作品には、拷問、虐殺、魔術など恐ろしげなワード多く出てきます。
ですが、これらは古代から中世、近世にいたるまで、西洋史を知る上で切り離すことの出来ない一面でもあります。
実際、残酷な描写はありますが、事実を事実として淡々と表現しているので、そんなに恐ろしいとかグロテスクだと感じたことはありません。

さて、長くなりましたが、私が好きな西洋歴史小説のお話でした。
歴史小説は、史実に即しながらもフィクションをうまく織り交ぜています。
学生時代、世界史が苦手だったという方も、小説なら読みやすく、楽しく読めることもあるかも知れません。
ぜひ一度手に取ってみて下さい。

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