絶望したあの日、私は死のうと思った①
私は、昔から雨が大嫌い。
雨の日は世界が全く違って見えてしまう。
あれは高校2年の秋。
中学時代と違い、高校生活を友達と充実して過ごしていた。
でも自分がきっかけを作った些細な事で友達とケンカをし、仲間外れになった。
つい昨日まであった僅かな幸な時間が、音を立てて崩れ落ちた。
また1人になってしまった。
中学時代も1人だったけど、その頃とは何かが違った。
きっと『仲間』という初めての自分の居場所を知ってしまったのだろう。
それを感じたことで、なくなった時の辛さが何倍にもなり私を襲った。
1人でいるのを見られるのが恥ずかしかった。
お昼はトイレで隠れておにぎりを食べた。
「学校に行きたくない…」
勇気を振り絞って…初めて親にそんなSOSを出した。
『そんな相手は、相手が悪い!無視しろ!』
『とにかく学校に行け!子供の仕事は勉強だ!!』
当時の私にとって、そんな発言しかしてくれない親は…全く自分の気持ちを理解していないように感じた。
ある日…父が、喧嘩した友人の悪口ばかり言うことで私の中で『プツン』と何かの糸が切れたようになり、生まれて初めて父に反抗した。
父親を睨みつけ、殴られ、蹴り返し、叫び、取っ組み合いのケンカになった。
それ以降、家では一切会話をしなくなった。
祖母は毎日仏壇に手を合わせていた。
でもその姿すら「バカじゃない?」と思っていた。
誰も私がずーっと感じて来た苦しみなんか分かってくれない。
そして学校にも家にも居場所がなくなった。
いや、最初から居場所なんかなかったんだ。
私は自分の存在が、心の奥底からどうでもよくなった。
今考えると・・
どんな場所でもどんな人でもいい。
自分が孤独を感じない場所を、自分を求めてくれる人を・・探していたのかもしれない。
そして私は、名前も知らないおじさんと身体を重ねた。
「かわいいね」「きれいだよ」と、何度も言われた。
でもその度に吐き続けるほど、気持ち悪かった。
苦しかった。消えたかった。
私はただ涙を流しながら、その得体も知れないおじさんに抱かれていた。
夜は眠れなくなった。
鏡を見るのも嫌になった。
自分が汚くて汚くて、いっぱい石鹸で擦った。
擦っても擦っても全然きれいにならない。
もはや生きてる意味を感じなかった。
私はその時、未来への希望を・・全て失った。