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1on1を効果的に進めるマネージャーの面談スキル

前回までの「社員育成のための1on1導入のポイント」に続き、今回は1on1実践者であるマネージャーに求められる面談スキルについてお伝えします。

大まかな1on1の流れ

<1on1の流れ>
①場面設定
1on1の目的共有、部下のための時間であることを伝える。
アイスブレイクなど話しやすい雰囲気づくり。
②メインテーマ
最近気になっていることなど、上司がテーマを提案するのではなく部下主体で進行。上司は1on1全体を通じアクティブリスニングを行う。場合に応じ、コーチングやティーチング技法を使う。
望ましい態度:支援、支持、I am OK. You are OK.
NGな態度:解釈、評価、指示、I am OK . You are not OK.
③次回までの具体的アクションを確認
取組むと良さそうなアクションがあれば次回1on1までにやってみる。「聞いてもらうだけで整理できた」といったテーマであれば、無理にアクションを設定する必要は無し。
④次回のスケジュール確認
「社内の取組み」を理由に優先順位が下がらないよう、必ず実施できるスケジュールで設定

1on1実施における具体的なスキルとは

1on1に求められるスキルとしては、以下の4つです。
●アクティブリスニング(積極的傾聴)
●コーチング
●ティーチング
●フィードバック

●アクティブリスニング
アクティブリスニングとは、カウンセリングに活用できるコミュニケーション技法の1つです。日本語では「積極的傾聴」と訳され、1957年にアメリカの臨床心理学者であるカール・ロジャース氏が提唱した技法です。相手を受容し、共感的に関わる態度が必要となります。言語でのコミュニケーションの他、非言語コミュニケーション(姿勢・態度・表情・目線・相槌・うなずき・声のトーン・話すスピード)=いわば身体全てを使い相手の話に耳を傾けます。また、自分自身の価値観は一旦横に置き、相手を解釈することなくあるがままを受け止めます。「指示」ではなく「支持」をします。

●コーチング
コーチングとは、対話を通じ相手の内面にある答えを引き出す関わり方で、自ら考えて行動する人を育てるためのコミュニケーションスキルです。コーチの語源は「馬車」にあります。馬車で大切な人や物を目的地に運ぶことから転じて、相手を目的地(成長)に向かい導く人をコーチと呼ぶようになりました。前述のアクティブリスニングの姿勢を土台にコーチングでは相手に様々な質問をします。「過去」「現在」「未来」「広げる質問」「深める質問」などを効果的に使い、本人が自分の中にある答えに気づけるよう促します。

●ティーチング
ティーチングは、「教える(teach)」に由来しています。経験豊富な人が自分の持っている知識や技術などを伝授する方法です。比較的入社して間もない新入社員など、相手のスキルが一定基準に達していない場合に効果的です。注意点としては、教える側の知識・経験以上のものを伝えられない・部下が自分の頭で考えない・部下の多様なアイディアを活かせない・上司の考えの押しつけになる可能性があるといったことなどです。1on1はあくまで部下が主役の時間ですので、上司の話が大半で終わったということの無いよう気を付けましょう。                

●フィードバック
フィードバックとは、「口頭や文章を通じて行う指摘・評価」のことです。これらはビジネスシーン全般で定義される内容であり、1on1におけるフィードバックとは少し切り分ける必要があると考えます。フィードバックの語源は、feed=food(栄養)と言われており、「本人の成長のための栄養」とイメージしていただけると良いと思います。フィードバックを行う時は、出来ているところに焦点を当てるポジティブフィードバックと、「こうすればもっと良くなる」といった改善点を伝えるネガティブフィードバックがあります。部下が主体である1on1で、ネガティブフィードバックの時間が多くなると本来の1on1効果が狙えなくなるため、伝える際には注意が必要です。

具体的には、
許可をとる:「少し気になる点があったのですが、フィードバックをお伝えしても良いですか?」
どのように感じたかを聴く:「今お伝えしたことを聞いてみてどんな風に感じましたか?」など
受け止める:部下が感じた内容を受け止め共感する
これらのことを意識しながらフィードバックを進めてみてください。

スキルよりも大事なこと

ここまで1on1スキルの解説をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
実はスキルよりもとても大事なことがあります。それは「普段の仕事を通したうえでの信頼関係」です。もっというと「普段から部下の仕事をよく観察すること」です。1on1や特別な時だけではなく、普段から自分の仕事を見てくれている、上司は普段から自分の仕事をよく理解してくれているという安心感が大事です。普段から自分の仕事ぶりを見てくれている上司からの言葉は、ポジティブでもネガティブでも同じように「本人の成長のための栄養」となります。

1on1を効果的に進めるスキルについては、テキストでは分かりにくい部分がありますので音声で解説しています。また具体的なヒアリング内容については「ヒアリングシート」も準備しています。音声解説・ヒアリングシートをご希望の方は是非、下記URLからご希望を入力していただけたらと思います。


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