宮崎本大賞は「きっかけの問いかけ」をつづける(そして、ひとつの悲しいできごとについて)
🖊キックオフミーティング開催と、ひとつの悲しいできごとについて
2023年8月3日のこと、ぼくたちは第5回宮崎本大賞の「キックオフミーティング」を企画していた。第3回、第4回と宮崎本大賞に関わってきて第5回で実行委員長に就任したぼくだけれど、いわゆるリアルなミーティングとして実際に宮崎のどこかで集まったことは無い。ぼくたちはあまりにも長くコロナ禍という隔たりの時を過ごしてきたのだ。
ここ2年まるで自分のnoteのように宮崎本大賞のnoteを書いてきて、つい自分の記録を残すかのごとく書き始めてしまった。ぼくは、第5回宮崎本大賞の実行委員長を務めている小宮山剛(椎葉村図書館「ぶん文Bun」所属)です。実行委員長就任にあたっての意気込みというか所信表明のようなものは、下記noteに記したのでご参照いただきたい。
そうなのだ。だから8月3日のキックオフミーティングは、第5回宮崎本大賞の実行委員長に就任した僕にとって大切でかけがえのない日だった。どこまでも完璧で「うってつけの日」でなくてはならなかった。
ミーティングのために準備された24ページのグーグル・スライドは、色彩のはしばしまで宮崎本大賞のブランディング・カラーによる構成をほどこした力の入れようだ。高橋由伸の背番号、ジェームズ・ディーンの亡くなった歳。「24」という数字はあまりに美しい。実行委員全員分を印刷し(だって、リアル開催なのだから!)100枚を超える束になった資料は、それだけで何かを授与したくなるくらいに誇らしげに見えた。
実際のところ、その8月3日は新海誠さんの映画から抜け出たワンシーンみたいに空が青々と晴れ渡り、祝福に満ちた空気がただよっていた。道端に打ち捨てられたバナナの皮でさえもマルセル・デュシャンの芸術品に見えたくらいに、すべては始まりの予兆に満ちていた。
そんな始まりの日に、ぼくはミーティングを欠席した。
コロナ禍である。世はまだコロナ禍である。
これが世の常、人の常。大切な日ほどに人ははやりの病にかかるものである。幸いなことに大事には至らなかったけれど、自らリアルミーティングを企画しておいて一人だけオンライン参加ということの切なさと申し訳なさたるや、墓場まで守り抜くと約束した秘密をたったの8分後に暴露してしまったかのように心痛ほとばしるものだった。
すみません。
同日には新実行委員の加入!もあり、そしてその方には小宮山からお願いをし実行委員へ加わっていただいたという経緯もあり、椎葉村と宮崎市をむすぶ道路のどこが崩れようと僕は立ち向かうつもりだったのだけれど、病気をうつすわけにはまいりませんので画面越しにお話しさせていただいたところだ。
🖊宮崎本大賞のnoteでみなさまと語りたいこと
せっかくなので、24ページの資料の内容でも書かせてください。・・・いえ、書くべきだと思うのです。
というのも、わたし(小宮山剛・椎葉村図書館)がどうして「本を売る」ためのキャンペーンとみなされる宮崎本大賞の実行委員長に就任したかというと、それはやはり「宮崎本大賞ってなんだろう」を追求しみなさまと共有していくためだと思うからです。
というのも(2回目)わたしの専門領域は「図書館」というよりブランディングであり、たとえば立ち上げ企画を遂行した椎葉村図書館「ぶん文Bun」の場合は「UIターンを生む図書館」という政策を図書館設備やコンセプトメイクの点でデザインしてきました。
こういうことが、宮崎本大賞においても求められているんだろうな、とわたしは思うわけです。
宮崎本大賞は何を目指すか(コンセプトメイク)
宮崎本大賞はどこを目指すか(ポジショニング)
宮崎本大賞のブランディング整理(言語化・コピー化)
宮崎本大賞はどう活動するか(メソッド確立)
こうしたことが整理されてはじめて、売り上げ目標という「売る」数字の話にたどり着くことができるとわたしは理解しているところです。それはすなわち「売る」を超えた「生む」ための活動についての対話の始まりなのです。
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そんなわけで、宮崎本大賞noteでも皆さまと「宮崎本大賞って何を考えているの?」「宮崎本大賞があるとどうなるの?」「宮崎本大賞って何を生むの?」というようなお話をしていけたらと考えています。
ざっくりと「宮崎の本好きたちが読者さんを増やすために頑張っている」と説明してきた宮崎本大賞ですが、第5回まで達してちょっとばかりの積み重ねも増えてきた今、再度その意義を問い直しながら皆さまとも共有していきたい次第です。
🖊「きっかけの問いかけ」をつづけよう
幸いにもわたし達宮崎本大賞は、ブランディングを今までも考え続けてきた。そのアドバイザーを務めてくれたのが、宮崎・川南で活躍しているデザイナーの河野喬さん(TEMPAR)だ。
だから僕たちには素敵なブランドアイデンティティとなるロゴマークがあり、ブランドカラーだって(時々変身しつつ)定まっている。
宮崎本大賞の青は、静謐の青なのだ。スマートフォン、DX、AI、ChatGPT、タイパ、ファスト、ファスト・・・。そんな世の中に抗う・・・いや、そんな世の中だからこそ大切にしたい文庫さんとの静かな時間を表現したロゴとブランドカラーこそが、宮崎本大賞のアイデンティティなのだ。かわいくて、素敵でしょ?
第4回宮崎本大賞の際に展開してきた「好きなページはありますか。」は、宮崎本大賞のロゴに彩られつつ、わたし達の青いロゴマークを思い描きながらイラスト色調や文調を創り上げたひとつのリ・デザインのかたちだった。静かで、時として本や物語への情熱が湧き上がる。そんな過去と今と未来とを描いてみた創作ストーリーブランディングの一環である。
さてそんなブランディングの大元となったのが、やはり「創始者」のことばだろう。未来屋書店宮崎店にルーツを発するといわれる創始者(なんかアヤシイ笑)の残した資料を紐解くと、そこにはこんな言葉があった。
≪宮崎本大賞の理念≫
本にまつわる場所に立ち寄ってもらうきっかけをつくる
日ごろ読書から遠ざかっている人に読書するきっかけを提供する
読書を通じて宮崎を楽しく住みよい街にする
シンプルだ。本の他にも様々なスピード感あふれるコンテンツが増えて「本は無くてもいいよね」と思われてしまう昨今の書店の危機感が表れた、それでいて「楽しく住みよい街」という、すこし未来の好転を目指したことばだ。
そこにわたしは、もう少し宮崎本大賞の現状やポジショニング・ターゲティングを織り込んだ理解をつけ足してみた。
≪第5回宮崎本大賞実行委員長が描く理念≫
本がある、本に関する魅力で惹きつける交流の場を創りたい
新しい(若い)世代へ、読書の記憶を呼び覚まし競合に勝る読書の魅力を伝えたい
読書を通じた交流や若年世代への読書的アプローチにより、宮崎の未来を革命したい
そうなのだ、これは革命なのだ。
(そんな文章を前に書いていたな、と思い出した。わたし、革命大好き人間)
単に本を売るためだけではなく、宮崎の未来に革命を生むために。そんなことにも繋がる活動をしようではないかと、今わたしは夏の日差しをめいっぱいに浴びながら考えている。
(すみません実際の外の景色は土砂降りでした。あくまで8月31日の僕の心象風景です)
これからわたし達宮崎本大賞が活動していく内容は、もちろん大賞作品の選考や発表、発表に伴うイベントなどがあるだろう。でもそれだけではない、いろいろな本にまつわる活動があると考えている。その際の本との関わり方は、理念的にであれ観念的にであれ形而下的にであれ形而上学的にであれ、なんであったってかまわない。それがどんな活動であれ、わたし達は先述の3つの理念を思い描きながら活動していきたいと願っている。
そんなわけで、わたし達は宮崎の将来に革命を起こすための「きっかけ」を生むために問い続けるのだ。
「好きなページはありますか。」と。
(↑これが、宮崎本大賞の大事な大事なタグライン)
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・・・外は土砂降りだし、実際最初のミーティングをドタキャンした奴が書いている文章だしということを思い出してしまい、また文章も4,000字を超えてきたし・・・となんだかぼくは泣きそうな気持ちになってしまった。隣に愛すべきホールデン・コールフィールドがいたら、二人しておいおい「僕たちはよくやったさ、できるだけタフにふるまい、可能な限り男らしく行動したよ」と叫びながら泣いてしまったかもしれない。皆さまも疲れたことでしょう。
今日は「宮崎本大賞って何を目指すの?」「好きなページはありますか。ってなに?」「ロゴにはどんな意味があるの?」ということに簡単に触れただけで終わってしまったが、また別の「目指すところ」や「こだわりメソッド」も書いていきたい。そうすることで、皆さまと語らいの機会を設けたい。
今後も宮崎本大賞としての実行委員ミーティングがあったり、色んな展開が起こった時を節目として、こういう「宮崎本大賞って何?」を書いていけたらと思う。いまこうして皆さまが読んでくださることで、一つの対話が生まれていると思っています。
そしてぜひ、宮崎の書店や古書店や図書館で、本好きな僕たちとお話ししてください。実行委員長は日本三大秘境椎葉村にいるのでなかなか難しいかもしれませんが、どうぞ宮崎県内でたくさん頑張っている心落ち着くわたし達の場所「本屋さん」へ来てください。
きっかけの問いかけは、いつだってつぎのページを開いてくれる。
「好きなページはありますか。」
皆さまの指がかろやかに動いていくことを願っています。
第5回宮崎本大賞実行委員長
小宮山剛
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