03-3_【ともぐい】河﨑秋子著 新潮社

第170回直木賞受賞作品

リアル感がすごい。
読んでいてその世界、場面へ引き込まれる。
また、この作品の通して生きることについて、大切なこと・人間の根本を教えてもらえる。そんな作品でした。

以下、グッときた文。

①主人公熊爪が、知人良輔に移動をするための馬を持つよう、勧められた際に言われた言葉。

「まあ、確かに。持つものが増えれば心配も増えるともいえるが……」

同作品 32ページ

②主人公熊爪が熊との対決し、負け確定の時のセリフ。
同場面には生きることを諦めずに前へ進む姿勢が描写されています。
自分の決めたことをやり抜く結果、命が尽きるのであればそれはそれでよい(無駄がない)ということでした。

「あ、きら、めねえ」

同作品122ページ

なにしろ無駄がねえ。

同作品122ページ

➂現代の人は色々なことを背負いすぎと世間でよく聞きますが、私もそうだと思います。仕事やら、家族やら、自分への重圧やら。
誰もが、なにかしらの重圧を抱えています。
実際に、100%重みを無くすことは難しいでしょうが、この言葉を読むだけで気分が軽くなる。
(私は読みながら、涙が出ました)
少しでも肩の荷が下りるように。

いつもならば背にある、売る肉や毛皮を詰めた背嚢と銃が、いかに自分の肩に重くのしかかっていたのかを思い知る。

同作品215ページ


他にも多くの文に感動させてもらった本でした。
河﨑先生、その他関係者の方、この作品を読ませてもらいありがとうございました。

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