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Photo by osasami____yyss

神宮球場ナイターの音楽で多幸感に包まれる

若葉都

　少し前に、プロ野球選手の応援歌ランキングについて記事にしたことがあった。近年のプロ野球というのは、ゲームのみならず、沢山のエンタメにあふれていて、その中でも「音楽」はとても大きな要素だと思う。

　プロ野球をご覧になる方はご存知のとおり、ホームチームの選手が打席に立つ時、ピッチャーが最初にマウンドに登る時、応援団が奏でる応援歌とは別に、それぞれの選手が選んだ登場曲（出囃子）が流れる。

　私は在京のヤクルトスワローズファンなので、観戦に訪れるのはだいたいヤクルトのホームである神宮球場だ。屋外球場のナイターというのはなんとも独特な雰囲気で、重ねてビールでほろ酔い加減になったら、勝ってても負けててもどこか浮世離れのほわほわした気分になってしまう。

　神宮球場はライトスタンドのすぐ向こうが、外苑の森という立地のせいなのか、音がまわりの建物に複層的に反響せず、空に向かってまっすぐ突き抜ける感じがする。だから、個人的には、男らしいパワフルマッチョな音楽より、美しく響きわたる曲が似合うような気がするのだ。

　そんな球場で大好きになった多幸感に満ちあふれる3曲。でも3曲とも既に退団してしまった選手の登場曲。できればもう一度あの空間で聞きたいと願う曲でもある。

✣

『ヒカリヘ』  miwa

平井諒投手の登場曲

　2010〜2020年の10年間在籍、平井投手。肩の怪我の影響で、一時育成落ちを経験して、支配下登録に復帰した2016年からこの曲を登場曲にしている。正直、平井投手って、いかつい濃い系の男前だったから、神宮で『ヒカリヘ』のような澄んだ歌声且つメロディの強い曲が流れたのは意外だった。

　後に、この記事を目にして、この曲をセレクトした理由がわかって、余計に平井投手を応援した。神宮の夜空にmiwaの透き通る声が響くと、よくぞまたここで投げてくれたと泣きたくなったのだ。

溢れる思い　愛は君を照らす光になれる

　平井投手、ヤクルト退団後は地元の愛媛マンダリンパイレーツ所属。

✣

『Bolero』　Def Tech

大引啓次選手の登場曲

　ビッキーこと大引啓次選手がFAでヤクルトにやってきたのは2015年。この年、ショートのレギューラーになったビッキーがもたらしてくれたのは、ゲッツーが取れる二遊間守備。あきらめない気持ち。そしてリーグ優勝。

Embracing our hands we keep walking on
Enjoying these feelings continuing so strong

今はまだ葉に落ちる　たったひと滴の希望
ひとりからまたひとりへ　僕から君へ伝わる
やがて地球の裏側までつながる　僕らの輪

　神宮の夜空にDef Techのこの曲が響き渡ると、希望が湧いてくる。ビッキーが守備についていて、相手の打球が6（ショート）−4（セカンド）−3（ファースト）と処理されて併殺完成すると「ひとりからまたひとりへ　僕から君へ伝わる」というこの歌詞がイメージされて、野球って一人でやるもんじゃないんだ、と、喜びが倍増してしまうのだ。

　大好きな選手でした。

✣

『スターライトパレード』  SEKAI NO OWARI

今浪隆博選手の登場曲

　ヤクルトには2014〜2017年の4年間在籍していた今浪選手の登場曲。今浪選手は代打が多く、日がすっかり沈んであたりが暗くなった頃にこの曲とともに登場することが多かった。

Welcome to the “STARLIGHT PARADE”
星が降る眠れない夜に
もう一度連れて行ってあの世界へ

　このイントロが流れた瞬間、期待値が上がってしまうように条件づけられているのだが、調べたら、ヤクルトが前回リーグ優勝した2015年の今浪選手の成績は、ペナントレースが佳境に入った8月に16打数（19打席）10安打の.625！！

　そりゃあ優勝に向けた大事な時期に、ほぼ代打から登場して6割以上なんて驚異の打率を残していたら、このイントロが流れるたびにファンのボルテージマックスになるように仕上がるだろうよ！

　今浪選手はこのあと、甲状腺機能低下症（橋本病）を発症し、2017年を最後に引退してしまったのだが、セカオワの曲を好きになるきっかけをくれた選手でもあり、今でも大好きだ（＝今浪チルドレン）。打ってよし、守ってよし、で、喋っても（ヒロインですべりまくって）よしの素敵な選手でした。

✣

　他にも、引退した選手では、山本哲哉投手の『浪漫飛行』。現役選手では、太田賢吾選手の昨年までの『Rewrite The Stars』、塩見泰隆選手の初回のみのG1ファンファーレ、 大下佑馬投手の『バラ色の日々』あたりは、本当に楽しく、ここにいられて、この響きを聞くことが出来て「幸せだなあ」という気持ちになる。

　球団公式でSpotifyのアカウントを持っているのはいまのところ、スワローズとマリーンズのみの模様。

　スワローズは、現役選手の登場曲プレイリストに選手コールアナウンス付きなのが面白い。願わくば背番号もコールしてほしかったけど、これでちょっぴり球場の雰囲気を味わえます。

　他にも、（神宮球場のTKこと）つば九郎が選んだプレイリストとか、選手セレクトのプレイリストとか、色々あって楽しい。

　というわけで「スキな3曲を熱く語る」というよりは、リーグ優勝へとつきすすむヤクルトスワローズへの熱烈な愛を語る記事なのでした。

　あれ、ひょっとして今年このままだと、Spotifyで公式アカウントをつくるとペナントレース上位進出を狙えるとかそんなジンクスうまれたりして？！

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10/9加筆修正


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