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「ことば」を覚えていくこと

わたしの2歳7ヶ月の孫は急に「ことば」を発するようになっています。とくに大好きな電車関連の名詞はどんどん増えます。「じぃじ、これちゅうかんしゃだよ」といきなり言われると「ちゅうかんしゃ」が「中間車」と結びつくまで時間が必要です。当然「せんとうしゃ」は「先頭車」です。

そんな孫を見ていて「ことば」というものを考えることが多くなってます。

大人は「あれは電車だよ」と「ことば」を教えます。でも、「電車」って「ことば」が意味する「もの」って何なんでしょう。たとえば孫にとっては「電車」である前に「中間車」や「先頭車」「スーパー大空」に「パパの電車の横須賀線」「ママの電車の根岸線」「ばぁばの電車の小田急線」「ダブルデッカーの電車」「僕の電車の東海道線」などなどがあるわけです。

それらを包括して「電車」という名詞があるのでしょう。孫の頭の中では「電車」が先にあったわけではありません。あくまでも「いろんな電車」があって、それらの概念のまとまり、共通項の抽出の先が「電車」という名詞につながっていってるのだと思います。

ある犬を見てわたしが「あれはワンワンだよ」って「ことば」を教えたとします。孫の中では「ある犬」が「わんわん」と結びつきます。そこには「小さくてかわいい犬」も「おっきくて怖い犬」も「毛むくじゃらで縮れ家の犬」も、みんな十把一絡げになって「わんわん」という言葉に集約されてしまうわけです。本来であれば様々な具体的なものが先にあり、それらを抽象化した先に「ことば」があるべきなのでしょう。

言葉を無理に教え込んでしまうと、子どもの中でそうした作業が行われず、形式的に「もの」と「ことば」が結びついてしまいます。

これって2歳7ヶ月の幼児についてだけいえることではなく、わたしが国語という時間で接している小中高校生にもまったく同じことがいえるはずです。抽象化の作業を経ずに「ことば」を頭に詰め込んでもしかたがない。たくさんのイメージを持つこと。そこから共通項を抜き出して抽象化していく作業を積み上げること。そんなふうに「ことば」を増やしていかせたいです。

2023年3月1日 記

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