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ニーインという現象を考える。原因や悪化要因、改善方法を解説します。
パーソナルジムで働いていると、特にワンレッグや通常のスクワット時において、膝が内側に入るニーインの方が目立ちます。そういう方は往々にして、ニーインにプラスしてつま先が外に出るトゥーアウトという現象も起きていて、言葉を組み合わせて「ニーイン・トゥーアウト」という状態に陥っているわけですが、このニーインという現象について、具体的に何が問題なんだろう聞かれて、正確に答えられないトレーナーが意外と多い気がします。今回はこのニーインについて、僕なりに「こういう考え方をしよう」という解説ができたらと思います。
ニーインはさまざまな原因があるので、「こういう側面がある」という知識の1つとして、捉えていただけるといいんじゃないかなと思います。
ニーインについてのおさらい
ニーインとは簡単に言うと、膝が内側に入り込んでる状態のことです。通常は、股関節や膝が屈曲している状態のときに見られるます。ニーインで負担がかかる、あるいは損傷のリスクがある組織としてあげられるのは、外側の半月板、前十字靭帯(ACL)、内側側副靭帯などです。
運動連鎖的に考えて、膝が内側に入るという現象は、いわゆる下腿が外旋、大腿が内旋してる状態です。これはACLの断裂時の膝の状態と類似していることから、ACL損傷のリスクが特に心配されます(最近ではこの説に異を唱える声もあるのですが、一般的な考え方として覚えておくといいでしょう)
またニーインしている状態は、膝が外反方向に曲がるので、地面からの床反力足面から下腿、膝を経由し大腿、骨盤へと正しく伝えることができないとも考えられています。こうした諸々の問題から、ケガの予防という観点でニーインは改善したほうがいいと考えられます。
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アスリートとの違い
実はパフォーマンスという観点において、ニーインは問題ない現象だ、むしろいい状態だと考えている人もいます。実際にテニス選手のプレーを見てみると、ラケットをスイングする時じゃ膝がかなり内側に入っている瞬間が見て取れるわけです。
ただここで押さえておかないといけないのは、通常パーソナルジムであまりよくないとされるニーインというものは、多くのケースにおいて大腿と下腿にねじれが生じているという点です。一方、競技者の膝に起こっているニーインという現象というのは、しっかりと大腿・下腿・膝がある程度同じ方向を向いた上で、連動性を持って動かせます。
また多くの一般人は、仮に大腿が過内旋してしまった場合、いわゆる外旋筋が機能しなくなることで、股関節の外旋可動域そのものが失われているケースが多いです。アスリートの場合、膝が内側に入る状態でも内旋方向への可動域を持っているし、外旋方向への可動域も持っています。競技の中で、必要に応じてそれぞれの動作を使い分けているというだけです。
両者の膝の状態は、静止画で見ると同じように見えても、その中身は全く異なるということが分かります。
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