アスリート、トレーニーの視点から腸内環境を整える方法を考える〜最適な栄養戦略と習慣の見直し〜
アスリートやトレーニーの少なくない数が、何らかの胃腸の問題を経験しているとされています。特に問題を抱えていることが多いのは、ランニング、サイクリング、ウェイトリフティングなどを行っている人だそうです。
腸はエネルギー代謝、栄養吸収、免疫機能に関与しているため、腸の健康は最適なパフォーマンス発揮に直結します。また腸内細菌叢は、ストレスやホルモン産生とも重要な関係があるのは皆さんもご存知でしょう。
今回は、現在ハードなトレーニングやスポーツにとって知っておきたい腸内環境の重要性や、腸の健康を保つために実践したいことを解説します。
アスリートにとっての腸内環境の重要性
腸の健康は、さまざまな要因からアスリートのパフォーマンスに影響を与えます。直接的な影響として考えられるのが、腹部膨満感や、胃食道逆流症で起こる胸やけ、呑酸(酸っぱいゲップ)などの不快症状です。これらは当然、瞬間的な判断や筋出力が必要なアスリート、トレーニーのパフォーマンスに悪影響となるでしょう。
腸の健康状態は、栄養吸収、エネルギー産生および代謝、免疫機能などにも影響します。アスリートにとって、持続的なエネルギーを生み出す能力を持つことは、高いパフォーマンスの中核をなすものです。食べ物をいかにうまく分解し、栄養を吸収し、使用可能なエネルギーに変えることができるかは、腸の健康にかかっています。さらに腸内細菌叢は、炎症と免疫反応を調節することができ、腸内細菌叢の健康状態の悪化が筋骨格系組織の完全性の破壊に関連している可能性があることが研究で明らかになっています。
腸に関連する症状は、トレーニングの難易度や強度に応じて増加することが多いとされています。特に持久系アスリートは胃腸障害の発生率が高く、腸管透過性の亢進や「リーキーガット」がスポーツ傷害の発生率の高さと関連している可能性が示唆されています。
また60分以上の強度の持久力トレーニングを行うと、リーキーガット症候群に特徴的な体内の変化が起こることが分かっています。アスリートには、腹部膨満感、下痢、逆流や胸やけ、腹痛などの症状が現れますが、根本的な生理学的変化は、長期的には、エネルギーレベル、回復能力、一般的な感染症に対する免疫反応にも影響を及ぼす可能性があります。
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