筋トレvs有酸素運動 より内臓脂肪を落とすのどっち? 最新研究で分かった意外な事実
いよいよ本格的な夏になってきたということで、今回は栄養学を勉強している人の多くが関心を持つダイエット、ボディメイクに関する研究を紹介したいと想います。
ダイエットと健康は密接に関係していますが、なかでも特に重要なキーワードが「内臓脂肪」です。内臓脂肪は見た目を悪化させるだけでなく、健康にも悪影響を与えます。
内臓脂肪を減らすうえで、食生活の改善は必須です。では、運動面で内臓脂肪を効果的に現象させることはできるのでしょうか。今回、ドイツで行われた2年間に及ぶ大規模な研究結果を元に、その疑問を解き明かしていきます。
この研究では、一体どんなトレーニングを行い、体にどんな変化が起きたのでしょうか? そして、その結果から何が明らかになったのでしょうか?
2年間の徹底比較! ドイツの最新研究で分かったこと
今回ご紹介する研究は、ドイツ・ライプツィヒ大学が中心となり実施された「STEN試験(Strength versus Endurance)」と呼ばれるものです。2011年から2016年にかけて、BMI35以上の肥満体型の方239名を対象に、筋トレと有酸素運動の効果を比較検証しました。
この研究は、運動の種類、強度、頻度を厳密に管理し、2年間という長期にわたって追跡調査を行ったという点で、非常に信頼性の高い研究と言えるでしょう。
参加者の平均年齢は44歳で、約75%が女性という内訳でした。 実験開始時、参加者の内臓脂肪量は平均で約4000cm3でした。これは、成人男性で脂肪肝と診断されるかどうかのボーダーラインと言われる量に相当します。
細かく設定されたトレーニングメニュー
参加者は、筋力トレーニング群と持久力トレーニング群に分けられ、それぞれ以下の内容のトレーニングを週2~3回、1回60分行いました。
【持久力トレーニング群のメニュー】
ウォーミングアップ(10分):自転車エルゴメーター、ステッパーなどを使用し、最大心拍数の約50%の強度で実施。
持久力トレーニング(40~50分):トレッドミル、ステッパー、クロストレーナー、ローイングマシン、エアロバイクなど、6種類の運動を10分ごとにローテーション。最大心拍数の約75%の強度
クールダウン(10~15分):ストレッチ運動
【筋力トレーニング群】
ウォーミングアップ(10分):エアロバイク、ステッパー、ローイングマシン、トレッドミルなどを使用し、最大心拍数の約50%の強度で実施。
筋力トレーニング(40~50分):10種類のマシンとダンベルなどを用いたサーキットトレーニング。胸、背中、脚、肩、腕、体幹など、全身の主要な筋肉を満遍なく鍛えるプログラム。最大筋力の約75~85%の強度
クールダウン(10~15分):ストレッチ運動
細やかな指導とサポート体制
トレーニングは、全て専門のトレーナーの監督のもとで行われました。参加者はトレーニング方法に関する指導を受けるだけでなく、個々の体力レベルに合わせた運動強度についても、定期的に調整してもらえました。
運動だけじゃない! 食事指導も実施
実験期間中、参加者には栄養士による食事指導も行われました。これは、特定のカロリー制限を設けるのではなく、健康的な食生活を促進するための一般的なアドバイスを提供するものでした。栄養相談は2~3ヶ月ごとに実施され、参加者は食生活に関する疑問や不安を解消できる環境にありました。
ここから先は
Nutrition Special Magazine
栄養学の知識を様々な分野から解説していきます
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?