下半身の思わぬケガのリスクを予防。ボディマップの再形成を促すエクササイズ3選|体性感覚をうまく刺激して可動性を高める
スポーツや日常動作のなか、相手との接触したりや地面に落ちていたものを踏んだりして、予想外の動作を行なってしまうケースがあります。そして、この予想外の動作で普段使っていない可動域が発揮され、筋肉や腱、関節などを損傷してしまうわけです。
今回は、そうした予期せぬ動作によるケガのリスクを減らすため、あるいは慢性痛などの改善にも役立ちそうなエクササイズを3つご紹介します。
自力で動かせる可動域と動かせない可動域の間でケガは起きやすい
例えば、その場で片脚立ちになってもう一方の脚を上げてみてください。壁などに手をついていいので、バランスを安定させて膝は伸ばしたまま、股関節だけでどこまで脚は上がるでしょうか?
仮に自力では45°までしか脚が上がらないという人がいるとします。この人はパートナーの補助や椅子に脚を乗せたりと、対外的な力が働けば脚を90°まで持ち上げられるかもしれません。
つまりこの人は、現時点で「45°までは自力で脚を持ち上げられるけれど、本来は90°まで可動域のポテンシャルを持っている」ということになりますね。このように、「自力で動かせる可動域と何らかのアシストが必要な可動域の間」の範囲でなんらかの運動をすると、ケガのリスクがぐんと上がるとされています。
ここでポイントとなるのは、この人は「片脚立位で股関節を45°屈曲できるけど、それ以上はできない」というボディマップが形成されているということ(筋力・骨の構造などに問題がないことを前提としています)。
そのため、「自分は本来ここまで脚を上げることができる」という情報を固有受容器に与え、ボディマップを書き換えることにより、ケガのリスクを大きく低減させることができるわけです。
エクササイズ①最大可動域で脚を動かす
最初に紹介するエクササイズは、パートナーや椅子などを使って脚を上げた状態を固定します。体勢がくずれないよう、壁などに手をついて行うようにしましょう。
今回の例の場合は90°まで股関節を屈曲させた状態を作るわけですが、この可動域は人によるでしょう。皆さんが実施する際は、ハムストリングスや殿筋群に張りを覚える範囲、これ以上はちょっと自力で動かすのは大変かもと思う範囲で脚を上げてください。
この状態で、まずは脚を上下に動かしましょう。膝は伸ばしたまま、股関節を動かす要領でまずは台座や椅子から足が離れるように脚を持ち上げてください。脚を下ろす際は、台座などに足を押し付けるように動かしてみましょう。
上下の動作を繰り返したら、今度は脚を上げたまま股関節を内転・外転させるようにして、台座や椅子の上をスライドするようなイメージで足を左右に動かしましょう。次に、足首を回内・回外させるようにして脚全体をひねります。
上下だけでなく左右+回旋の動きを加えることで、「この可動域・この範囲で股関節を可動できる」という情報が脳で処理され、ボディマップの再形成が行われます。結果、これまであやふやだった可動域の境界線が明白になり、これまでよりも広い可動域を発揮できるようになったり、今まで感じていた痛みが軽減されたりします。
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Brain Special Magazine
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