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姿勢を決める大前提を押さえる|正常可動域と筋肉量をどう考慮する?

前回のnoteでは、理想の姿勢というものを考えるときに重要となるアライメントの基準や、そこに囚われすぎないことの重要性について解説しました。今回はその続きとして、姿勢改善で「この前提を忘れないでおくと、クライアントの指導に幅が生まれる」という考え方を紹介したいと思います。

患側と健側のどちらに寄せて可動域改善するか

私がクライアントの姿勢改善に臨むとき、「患側と健側」をひとつの参考として指導を行っています。本来の患側と健側の意味として、患側は麻痺や障碍を抱えている側、健側はそうした症状が見られない側です。今回の場合、患側は「何らかの歪みや可動域不全、痛みを感じる方」、健側は「こうした以上が見られない方」だと考えてください。

可動域を改善したい患側と正常な健側がある場合、基本的には患側の可動域を健側に近づけるような改善を施すと思います。痛い方を痛くない方に持っていくというのは、一般的な考え方としてもしっくりきますよね。

しかし、実際にクライアントにヒアリングしたり可動域のチェックなどを行うと、患側の可動域は正常で、健側の方が動きすぎている・動かなすぎるといった現象が現場でよく見られます。

この場合、正常可動域に近い方が健康や姿勢にはいい、という考え方に固執してはいけません。場合によっては、正常ではない可動域に寄せるように、可動域改善を行うケースもあるのです。なぜなら、そのクライアントにとって健側の可動域が正常範囲内に収まっていないから。現場では、正常可動域という概念を念頭に置きつつ、クライアントを「痛みがない」「こりがない」「(動かしても)問題が出ない」という状態にすることのほうが、優先順位は高いことを覚えておきましょう。

例えば、肩関節を180°屈曲できる患側と160°までしか上がらない健側を持つクライアントに対して、むしろ180°の可動域を制限するように、広背筋のトレーニングをするという感じです。正常可動域という「基準」に囚われすぎないことが、クライアントにとっての理想の姿勢を追求する第一歩となります。

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