EAAの筋肉合成に年齢・運動歴は関係ない?さまざまな研究から検証しました
加齢に伴う骨格筋量の低下(サルコぺニア)は、男性は40歳前後、女性は35歳前後から始まるといわれています。一方で、厚生労働省は男女ともに25〜30歳頃から、骨格筋量の低下は始まると示唆しています。
今このnoteを読んでいる人の多くは、日頃からトレーニングをしていると思うので、明確に筋量が減ったとは感じないかもしれません。ですが、パーソナルトレーニングを受けているクライアントは大半が運動不足なので、この年齢から急激に骨格筋量が減っていきます。その影響か、体力が落ちて疲れやすくなった、気分が落ち込みやすくなったという人が増えていくのもこのあたりの年齢です。
サルコペニアは加齢だけでなく、栄養不足も危険因子として知られています。今回のnoteは、サルコペニアなどの筋肉量低下に対して「EAA」がどのように役立つのかを解説します。
過去の研究で分かっているEAAの効果
EAA、つまり必須アミノ酸は筋肉の修復を促進する上で重要な役割があります。EAAを一度に摂取できるサプリメントの効果については、過去に行われたさまざまな研究で立証されています。
1998年に行われた研究では、健康な若年者(30歳前後)と健康な高齢者(70歳前後)にEEAを経口投与したところ、高齢者でも若年者と同様に筋タンパク質の同化が促進された。
2003年の研究では、EEAの経口投与によって若年者(35歳前後)と高齢者(60代後半)の両方で筋タンパク質合成が急激に刺激された。
2004年に行われた研究では、若い被験者に、ウェイトトレーニング前に6gのEEAを摂取させた。すると、筋タンパク質合成がほぼ600%増加し、トレーニング後には400%増加した。
2006年の研究では、健康な高齢者にEAAを摂取させたところ、ホエイプロテインの補給よりも筋タンパク質合成効果が高かった。
このように、EAAは年齢を問わず人々の筋肉合成に大きく貢献することが判明しているのです。
低栄養状態でEAAを摂取した場合の「タンパク質代謝」と「筋タンパク質合成」の変化
ここからは、もう少し個別具体的にEAAの効果を検証した研究を紹介したいと思います。
ある研究では、陸軍特殊部隊に所属する19名の男性を対象に、EAAの摂取が筋タンパク合成と全身のタンパク質代謝に及ぼす影響を調べました。具体的には、意図的にカロリー摂取不足の状態を作った上で、標準量(0.1g/kg)あるいは高用量(0.3g/kg)のEAAを含む飲料を提供。これはそれぞれ、7.5gおよび22.5gのEAAに相当します。
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