運動のモチベーションが上がるかも?運動による脳の若返りの話
自身のトレーニングやクライアントへのトレーニング指導で、どうしても難しいのが「運動のモチベーションをどう保つか」です。美しい身体・たくましい身体が手に入る、健康で元気な毎日を送れるようになる…。いろいろあると思うんですが、今日は「ほんのちょっと動くだけであなたの脳は若返るんだよ」という、脳機能的なモチベーションを高めてくれる話をしたいなと思います。
10分の有酸素運動でも脳は若返るという話
最初の論文は、2018年に発表されたものです。多くの研究により、たった1度でも中等度の運動を行うと、前頭葉のネットワークが改善されて認知機能が改善されることが認められています(あくまで短期的な「ブースト」ですが)。
この短期的なブースト効果は、健康な若い成人では「20分以上の運動」で発揮されると言われていますが、この研究では「10分の運動なら効果は出るのか」を調査しました。
参加者が行ったのは、エルゴメーター(アスリートなどが体力づくりに用いるマシンです。ローイングマシンやバイクなど、さまざまな種類があります)による10分間の中等度以上の有酸素運動です。参加者は運動前後に、アンチサッケードのテストを実施しました。
「サッケード」は以前にも、何度かnoteで紹介していますね。日本語で「衝動性眼球運動」「急速性眼球運動」「跳躍性眼球運動」とさまざまに訳しますが、平たく言うと「眼球が小刻みかつ高速で動く運動」です。
アンチサッケードというのは、テスト的には「左手を上げたら右手を見る」といった感じで、動いた対象とは反対側(あるいは別のもの)を見ます。情報に対して「違う方向を見る」というアクションが必要なアンチサッケードは、前頭葉のネットワークによる情報の統合と指令が不可欠です。
この研究の結果では、有酸素運動後のアンチサッケードテストの結果が、運動後の方が改善されていたそうです。正確には、運動の「正確性」はあまり変化がなかったものの、「スピード」は向上が見られたと結論づけられています。
運動前にもアンチサッケードテストを行っているため、運動後のテストが改善されたのでは?とも考えられますが、この研究では従来の「20分間」の半分である「10分間」の運動でも、前頭葉の機能は向上するという結果になりました。
在宅ワークや運動する環境がある人なら、仕事の合間の休憩に軽く有酸素運動をするだけで、仕事の集中力をアップさせつつ、消費エネルギー量を増やして痩せる…という一石二鳥を実現できるかもしれませんね。
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Brain Special Magazine
運動指導者の方へ向けて「脳」について理解し、パフォーマンスを高め機能改善などを行えるように学べるコンテンツです。
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