食料不安が女性の体型に起こす影響。先進国で起こる飢餓ってなに?
食料不安という言葉をご存じでしょうか。国際社会で重大な問題となっている、食料問題を指す言葉です(ちなみに、「食料」というのは食物すべてを意味する言葉で、「食糧」というのは主食―を意味します。世界で主に主食とされているのは、米、小麦、トウモロコシ、じゃがいもなどです)。
現状、世界には全人類が食べるのに十分な食料が生産されていると言われています。しかし、その食料があまねく世界中に届けられず、飢餓状態に苦しんでいる人がいるのです。その人数は2018年の調査では8億2千万人以上なんだとか。実に9人に1人が、飢餓に直面しているわけです。
食料不安に陥っている原因は、大きく3つに分類されると言われています。ひとつは「自然災害」。日本は台風・地震などを思い浮かべる人も多いでしょう。毎年さまざまな形で猛威を振るう自然災害ですが、発展途上国が自然災害に見舞われると、その被害はもろに食料問題に発展します。世界的に重大な被害をもたらすとされているのが、干ばつや洪水、サイクロンの3災害です。2017年では、食料危機に陥った51ヶ国中34ヶ国が、これらの災害が原因だったそうです。
そのほかの2つは、「貧困」と「需給バランス」の崩壊です。「貧困」に関して言えば、極度に収入が少ない家庭は、そもそも食料を確保できません。貧困にあえぐ農家は、作物の生産性も落ちてしまい、自給自足すらままならなくなってしまいます。
「需給バランス」に関して言うと、日本を見ると分かりやすいでしょう。日本では、1年間に約612万トンの食料が廃棄されています。これは、東京ドーム約5杯分です。日本人1人に換算すると、毎日みんながお茶碗1杯のご飯を捨てているのと同じなんだとか。な、なんてもったいない…。FAO(国際連合食糧農業機関)の報告では、世界全体の食品ロスは毎年13億トンにものぼるそうです。ものすごい数字ですよね。
先進国・日本に潜む食料問題
いきなりなぜ、日本にはあまり関係がなさそうな食料不安や飢餓の問題を取り上げたのか。不思議に思う人がいるかもしれません。実はこの「食料不安」と先進国や高所得国には、かなり親密な関係があります。
日本はたいていの場合、「その日食べるご飯に困る」ということはありません。衣食住が最低限保証されやすい日本では、ハッキリと見た目で飢餓状態の人というのはあまり見られないでしょう。しかし、一見普通に見える人も、「実は飢餓状態」という人が少なくないんです。
例えば、食費が少ないという問題。先進国は発展途上国よりも、物価が高く多くのお金が必要です。しかも、日々の生活に必要な家電製品や通信機器、服などいろいろと物を買う必要もあるでしょう。当然、こうした品々を買える人が「今日食べるものがない!」と困ることは少ないかもしれません。しかし、その人が果たしてちゃんと「必要な栄養素が十分にある食事を摂っている」のかは、疑問が残ります。
「食費がない」という問題以外にも、忙しくて食事に時間をかける余裕がない、そもそも食事の量が少ない、普段食べる品目が少ない…といった人は、「摂取カロリーは足りているのに、身体に必要な栄養が不足している」という、「栄養の飢餓状態」に陥っているケースが考えられます。皆さんや身の回りの人が、こうした生活に該当していないかを改めてチェックしてみましょう。
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女性特有の身体の特徴や妊娠出産に関する情報、ホルモンバランスと自律神経などのお話とトレーニングなどの観点を絡めて解説します。 男性と女性は…
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