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聞いてくれ、子宮頸がんワクチンを打とうよ。
皆さんはHPVワクチンについて知っていますか。
・なんか聞いたことがあるという人
・副作用が怖いと思っている人
・自分には関係ないと思っている人
・打ちたいとは思っているけどよくわからないという人
いろんな人がいるでしょう。興味がある人もない人もとりあえずこの記事を最後まで読んでいって下さい。
そもそもHPVワクチンとは
まず、HPVワクチンとはヒトパピローマウイルスへの感染を予防するワクチン。
ヒトパピローマウイルス感染症とは性感染症の1つで皮膚や性器にできるいぼの原因となります。ヒトパピローマウイルスには感染すると子宮頚部(子宮の入り口)、膣、外陰部、肛門、のどなどのがんのリスクを高めるものがあります。
ヒトパピローマウイルスへの感染リスクは性交渉を経験するすべての人にあります。性に奔放な人だけが感染するというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、それは正しくありません。
HPVワクチンはそんなウイルスへの感染リスクを大幅に下げることができ、日本では女性の子宮頸がんを予防することを目的として、定期接種の対象となっています。つまり対象年齢の女性であれば無料で受けることができるのです。
現在日本で接種することが出来るワクチンは
・サーバリックス(2価ワクチン)
・ガーダシル(4価ワクチン)
・シルガード(9価ワクチン)
の3種類です。
~価とはそのワクチンで予防できるウイルスの型の数。
2価ワクチンと4価ワクチンでは子宮頸がんの原因の50%から70%を、9価ワクチンでは80%から90%を防ぐことができます。
ワクチンは接種時期により2回または3回の接種が必要で、性交渉を経験する前に接種するのが最も効果が高くなります。
ワクチンを無料で受けることができるのは小学6年生から高校1年生相当の女性で、自宅に接種券が送られてきます。
※男性も接種により予防できるがんがあります。海外では男性も無料での接種の対象となっている国もあります。日本では男性は定期接種の対象外ですが自費で接種することも可能です。その場合、サーバリックス(2価ワクチン)、ガーダシル(4価ワクチン)では3回接種で4~5万円、シルガード(9価ワクチン)では3回接種で8~10万円、2回接種で5~7万円程度の費用が掛かります。
定期接種を逃してしまったひとへ
ただしこの記事を読んでいる人のなかには、HPVワクチンの接種券が対象年齢の間に送られて来ず、ワクチンの存在も知らないまま無料で接種できる時期を逃してしまった人もいるのではないでしょうか。実は私も指定の時期には存在を知らず接種を逃してしまったんです。
そんな私と同じ状況の方々に朗報です。
1997年4月2日~2008年4月1日生まれの女性はキャッチアップ接種により無料で接種可能です。
ただし、それが可能なのは2025年3月までです。
加えてワクチン接種完了には約6か月かかるためすべて無料で接種するには9月中に接種を始める必要があります。
私は伯母が子宮頸がんになったことをきっかけにワクチンを自費で打とうかと考えていました。そんなときに救済措置としてのキャッチアップ接種が行われることが決まり、すぐに打ちに行きました。
私は19歳の頃にワクチンをうちに行ったのですが、どこの病院で打つか迷いました。もう小児科という年齢でもないし、かと言って他にかかりつけの医師もいないし。結局は生まれたときからお世話になっている小児科の病院へ恐る恐る電話したところ快く引き受けていただけました。後になって別の小児科の先生と雑談していた際にこの話をしたところ「定期接種は小児科医の仕事だから気にせず小児科に来てくれたらいいよ」とおっしゃっていました。
なので病院に迷ったら、昔通っていた小児科に聞いてみてはどうでしょうか。
副反応について
HPVワクチンについてもともと知っていたことのなかには、副反応について気になっているひともいるのではないでしょうか。
日本では2013年にHPVワクチンの定期接種が開始されたのですが、その後ワクチンとの因果関係が否定できない持続的な疼痛がワクチン接種後にみられるというケースが複数発生したため厚生労働省はワクチンの推奨を取りやめました。つまり、無料でワクチンを接種することはできるが、接種券が家庭に送られてこないという状況が続きました。
それによってワクチンの接種率が激減しその世代のHPV感染率や子宮頚部の病気の有病率が上昇しました。
その後国はワクチンの安全性を再確認し2022年からワクチン接種推奨を再開し、それと同時にキャッチアップ接種を開始しました。
2018年に行われた研究ではワクチンと障害の関連は否定されています。
また、接種後に報告された重篤な症状は、サーバリックス(2価ワクチン)またはガーダシル(4価ワクチン)で1万人あたり約5人、シルガード(9価ワクチン)で1万人あたり約3人。
ワクチン接種が怖いという気持ちも分かります。
ここで、怖いと感じる人にひとつ質問をしたいと思います。
あなたは「ワクチン接種をして障害が生じる可能性」と「ワクチン接種をせずに何も起こらない可能性」を比較していませんか。
しかし本当に比べるべきは
「ワクチン接種をして障害が生じる可能性」
と
「ワクチン接種をせず子宮頸がんになるリスク」
です。
ワクチン接種を積極的に行ってきた国では、子宮頸がんの割合が少なくなっています。先進国の中で、日本だけ異常に子宮頸がんの有病率が高くなっています。
最後に
ここまでいろいろ書いてきましたが、私はあなたにワクチン接種を強要することはできませんし、する気もありません。
「よく調べて情報を知ったうえで判断してほしい」
そう思ってこの記事を書きました。知らないということで健康を守る機会を失う人が1人でも減って欲しいです。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
参考文献
・厚生労働省
・厚生労働省 HPVワクチンに関するこれまでの経緯及び対応https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000103090.pdf
・Genovese et al. (2018), HPV vaccine and autoimmune diseases: systematic review and meta-analysis of the literature
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