ドメスティックワールド第七話 革命
複数のローブを着た男に囲まれた黒いコートを着た長髪の男が部下らしい男から報告を受けている。
「閣下。教皇様は神殿の聖堂に入られたそうです」
「うむ。全て手はず通り実行する」黒いコートを着た長髪の男が指示する。
「はっ」黒いローブにマスクを付けた男たちが一斉に敬礼する。
「新しい世界の夜明けだ」
神殿に突入していく男たち。
「誰だ?」神殿の神官が呼びかける。
「異端審問官だ」見とがめられた男が答える。
「ばかな。ここが教皇様の神殿だと知っているのか?」
「無論だ。世界は生まれ変わる」
そう言うと男は拳銃の引き金を引き神官を射殺した。
神殿の奥深く、教皇は聖堂で執務を続けている。
そこをいきなり戸を突き破って入室する黒いコートを着た長髪の男。
「鈴木か。何だ?」
教皇がけだるそうに問いかける。
「教皇。貴方には死んでいただく」
銃を教皇に突きつける鈴木。
「血迷ったか?」
「いたって正気だ」
「クーデターか」
「まあそうだが、どうせならワールドレボリューションと言ってもらおう。これは革命だ。新しい世界のためのな」
「新しい世界?」
「その通り。貴方のやり方にはもう我慢ならないのだ」
「鈴木!」
教皇が怒気をはらんだ声で黒いコートの男の名前を呼んだ。
「生ぬるい貴方の指導のもと世界は堕落してしまった」
「私を殺して、転生者のお前が、この世界全体に張り巡らされた巨大な宗教組織をまとめていけると思っているの?」
「貴方にはまだよくわかっていないようだ。巨大な軍事力の前には宗教の力なぞ必要はない!」
「鈴木!お前は間違っている」
「理屈ではないのだ。その証拠に貴方は何もすることが出来ない。自分の身を守ることすら」
「おのれ鈴木!」
鈴木が拳銃の引き金を引く。絶対防御で守られているはずの教皇の胸に風穴が開きたちまち真っ赤に染まる。
「悪夢よ」そう言いながら倒れ伏す教皇。絨毯が真っ赤に染まる。
「夢ならば覚めるときもあろう。だが貴方が目覚めるときは永遠に来ない」
死体を残して部屋を出た鈴木は神殿を制圧した部下たちに声をかける。
「セレモニーは終わった。宗教支配の時代は終わったのだ。世界の夜明けだ」
一方、真実を知ってしまった真央は、茫然自失の状態で死の砂漠を彷徨するのであった。
つづく。
一部の人だけ大スキ「亜空大作戦スラングル」。