ブタのPちゃんから学ぶ『生活単元学習』
突然ですが映画『ブタがいた教室』って観たことありますか?
YOU TUBE に予告編がありますし、アマゾン・プライムでは無料で観られます。
大阪の小学校の実話がモデルです。
あるクラスで総合学習の一環として26人学級の子どもたちと、若い頃のクーピーにそっくり(!?)な妻夫木聡さんが「ブタのPちゃん」を教材にして学習を進めていく物語です。
注目すべきは「ブタ」という1つの教材(1匹の先生)を中心にして、様々な教育活動が展開されていく点です。
この展開こそが、特別支援教育で行われる『生活単元学習』そのものなのです。
例えば、☆の通りです。
☆国語⇒ P ちゃんの作文を書く
☆数学⇒ P ちゃんの体重の変化をグラフ化する
☆社会⇒ ブタの生産量の日本1位~3位まで調べる
☆理科⇒ ブタのウンチの科学的栄養分を知る
☆技術⇒ P ちゃんの家を建てる
☆体育⇒ P ちゃんとかけっこをする
☆音楽⇒ P ちゃんの歌を作る
☆家庭⇒ ブタ料理のバリエーションと栄養を知る
「ブタ」という1つの教材も、教科によっていろいろな見方や考え方ができますよね。
1つの教材をテーマに、教科を混ぜたような授業を特別支援教育では『生活単元学習』と言い学校生活の中心にしています。
※『教科横断型授業』と似てますね。
このいろいろな『見方』や『考え方』をできることが新学習指導要領で、とても大切にされていて、もう少し詳しく解説されていました。
『子どもにとって授業で扱われるものに連続性や関連性が見えて、大切な概念、観点が理解できるようになるとともに汎用性のある思考方法、表現方法を活用できるようになる』
引用:学習指導要領【総合的な学習の時間編】
要するに・・
「見方」= 教科の知識・技能等の「キーとなる概念」
「考え方」= 教科ならではの思考・判断・表現の「方法」
「キーとなる概念」とは・・
数学は「数・図形」からの見方。
国語は「ことば」からの見方。
理科は「生物学・科学・物理学」からの見方。
社会は「歴史学・地理学・政治学」からの見方。
といった感じです。
「考え方」とは・・
数学なら「数式」を使う考え方
国語なら「読解・作文」を使う考え方
理科なら「実験観察」をする考え方
社会なら「現地調査」をする考え方
といった感じです。
そして、小学生よりは中学生、中学生よりは高校生、高校生よりは大学生の方が『学習が進むにつれて対象への着眼点はより明確かつ多面的・多角的なものになる』とされています。
その結果・・
①『仕事上手』『生活上手』な子ども
②学習で培った基礎的な力を『生活の中』で活かせる子ども
が『生活単元学習』によって育つのです。
ブタのPちゃんは
「物事を横断的に考えることが、人生の中で様々な問題解決をしていくためには大切だよ」
と、教えてくれたのでした。