寒い日のチャイにするちょっとした薬膳的な工夫
朝起きたら雪がうっすら積もっていました。
スマホの天気予報をチェックすると最高気温は2°の予想。
寒い一日になりそうです。
今日は幼稚園に行く娘っ子の機嫌が悪く、泣きわめく娘を抱きかかえて何とかバスに置いてきたので、気持ちが重い。
笑顔で送り出して気分のいいスタートを切りたいと思っても、たまにこういう日がある。
「あんなに泣くなら幼稚園まで送ってあげればよかったかなぁ。」とつぶやきながら、家に入る前に庭のサンシュユの実をかじって深呼吸。
生薬としても使われるサンシュユの実は、熟れると渋みが消えて甘酸っぱく美味しい。
こんな日は夫にカフェラテを入れてもらって気分転換をするのですが、今日は寒いのでチャイを作ろうと思います。
寒い日にはチャイを作ろう
インドを長く旅していた頃からチャイ文化が大好きになりました。
インドの路上や電車の中で何度となく飲んだチャイにはスパイスが入っているものはほとんどなく、紅茶と牛乳と大量の砂糖のみ。
今、思い返してみると薬膳的にはあの暑いインドではスパイスなしの方があっているのかも。もちろん、コストとか手間を考えてスパイスを入れていないだけだと思うけど。
スパイス屋で働いていた時に美味しいチャイの入れ方を教わってから、自分でもチャイのワークショップを開催したり、チャイのセットを販売したりチャイとの付き合いは長い。
寒い日にお勧めのチャイに使うスパイス
今日は寒いので、以下の3点を考えてチャイを作りました。
身体の表面ではなく、お腹の中から温めて、かつ温めたものを巡らせてくれるスパイスを入れて作ります。そして朝の一連の出来事でイライラした気持ちを落ち着かせてくれるもの。
薬膳を学び始めて気づいたけど、スパイスはそのほとんどが生薬にもなっている。つまり普通の食材よりも効果が高いということ。
今日のチャイに使ったもの⇓
紅茶:身体を温める。リラックス効果。
黒砂糖:お腹を温める。血の流れを良くする。リラックス効果。
乾姜(生姜を蒸して乾燥させたもの):身体の中をものすごく温める。
シナモン:身体を中から温める。血の流れを良くする。
カルダモン:お腹を温める。良い香りで身体の余分な水分を取り除く。
クローブ:お腹を温める。
スターアニス:お腹を温める。巡りを良くする。
フェンネル:お腹を温める。巡りを良くする。
コリアンダー:身体を温める。デトックス効果。
牛乳:潤いを作る。
スパイス類は「温裏(おんり)」と言って、身体の中を温めてくれるものを使いました。因みに私はスパイスが好きなので、もりもり色んな種類のスパイスを使いましたが、スパイスは種類が多くなればなるほど味がマイルドになります。逆に一種類しか入れなけれがそのスパイスが際立つ味となります。
そして温めたものを巡らせてくれるもの。シナモンやスターアニス、フェンネルにはこの両方の効果が期待できる優れもの。
巡りを良くするために、一番手っ取り早いのは飲んだ後に少しでもいいので動くことです。
私のおすすめはその場でジャンプ!
薬膳では陰陽のバランスも大事にしていて、温める食材ばかりだとバランスが偏りすぎるので、ちょっと冷ます食材も加えたりしてバランスを取るのが大事。
今回は朝ごはんにリンゴや大根など身体を冷やす食材を取っていたので、チャイが温めるものばかりでも大丈夫かなと思います。
黒糖ではなくきび砂糖(体を冷やす)を使ってバランスを取ることもあります。
フェンネルはお腹が冷えて痛い時の常用薬。スターアニスもフェンネルとほぼ同じ薬効なのですが、フェンネルの方が薬効は高いです。
実はスターアニスの種を撒いて栽培に挑戦したことがあったのですが、失敗に終わり、フェンネルは食用のスパイスのフェンネルを撒いたら、たくさん芽を出してくれて種をつけてくれました。
フェンネルは葉っぱも花もハーブとして食べることが出来るので、プランターなどで育ててみるももありです。
魚との相性も良くて、魚系のスパイスカレーを作る時には必ず使うし、フェンネルティーとして飲んでもほのかに甘くておいしいので、けっこう使えるスパイスです。
こういう普通の食用のフェンネルも発芽率ヨシです。⇓
コリアンダーはパクチーの種なのですが、簡単に栽培することが出来ます。
我が家はパクチーとコリアンダーは毎年こぼれ種から採取しています。
スパイス類は身体を温めてくれるのですが、乾燥させてしまう面もあるので牛乳を加えて潤いを保つようにしています。
生姜は生ではなく、乾姜を使おう
生姜は生ではなく、一度蒸して乾燥させたもの(生薬名だと乾姜:カンキョウと呼ぶ)を使いました。
生姜と乾姜(蒸して干した生姜)は少し薬効が違います。
ざっくりいうと、生姜は身体の表面を温め、乾姜は身体の内側を温めます。
これを知っていたら、寒い日に使いたいのはどちらか分かりますよね。
私は乾姜を手作りしていますが、なければ市販のドライジンジャーでもOK。おそらく市販のドライジンジャーは蒸さずに乾燥だけしてあると思いますが、生の生姜より温める効果が高いです。
ドライジンジャーは簡単に作れます。
暖房を使って部屋が乾燥している時期だったら、生の生姜をスライサーで薄くカットし、部屋の日当たりの良い場所に放置しておくだけで完成です。
生姜と乾姜の薬膳的比較
生姜は乾姜になると、温性から熱性へと変化します。つまり、より温める力が強くなるということ。
そして、干すことによって揮発成分が飛んで、発汗作用が弱まります。
辛味から辛甘味へと変化しているので、身体の中に留まっている時間が長くなります。つまり、生の生姜よりも温かさが長く続くということ。
結果、生の生姜よりの乾姜がお勧めです。
細かいことを言うと、生姜の皮は涼性なので取り除くと更に温める方に傾きます。
逆に風邪の引き始めでゾクゾクと寒気がするような場合は、生の生姜がお勧めです。生の生姜は発散する力が強いので、邪気を汗と一緒に追い出してくれます。
チャイの作り方
琺瑯の小鍋に牛乳以外の材料を全て入れて、蓋をして弱めの中火でコトコトに詰めます。
参考に以前インスタに載せたチャイの入れ方の動画です。
スパイスの分量は特に決めていないのですが、クローブとスターアニスだけは入れすぎ注意です。特にクローブ。精油成分がとても多く含まれているので、2,3杯分作るのに2つ程度で十分香りが付きます。
入れすぎるとクローブ香りが強すぎてはっきり言ってまずくなります。
煮詰めたら牛乳を入れて一煮たちさせれば完成。
まとめ
今まではチャイを作る時に、生の生姜と乾燥した生姜をなんとなく使っていたのですが、今はしっかりと目的別に使い分けています。
ちょっとしたことなのですが、より自分の体調に合わせて食材を選べるようになったと思います。
養生はほんとに日々の積み重ねが大事。こういう一つは小さなことでも積み重なって不調の少ない体調につながっていくので、これからも日々の積み重ねを大事にしていきたいです。