文芸部の先輩と後輩の恋愛事情(短編小説・前編)
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「え? 何この空気?」
「ん、あー……まぁ、ちょっとね」
「…………」
その日の放課後。いつも通りに文芸部の部室へと足を運んだ俺は、いつもとは違う雰囲気を感じ取って首を傾げた。
なんだろう、妙に重いというか、ピリついた感じが漂っている気がする。そしてそれは、俺の向かい側に座る後輩ちゃんも同じようで、どことなく居心地の悪そうな表情を浮かべていた。
「……えっと、何かあった?」
「いえ、別に何もありませんよ」
そう答える後輩ちゃんの笑顔は、明らかに無理をしているようにしか見