ずっと家族だった姉が義姉だったので、恋人同士になりました。第4話
*
家に帰ってからも姉さんは上機嫌だった。
気がつくと夜になっていた。
そこで僕は思い切ってある提案をした。
「ねえ、今日は一緒に寝ない?」
「えっ?」
「ほら、今まではずっと別々の部屋で寝てたけど、せっかく恋人同士になったんだしさ」
「えっと、それって、つまり」
「う、うん、まあそういうことなんだけど」
僕が答えると、姉さんは顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。
そのまま沈黙が流れたが、しばらくすると顔を上げて言った。
「わ、わかりました、いいですよ」
「いいの?」
「はい、弟君のお願いならなんでも聞きますから」
「ありがとう」
こうして僕と姉さんは、同じベッドで寝ることになったのだった。
*
「じゃあ電気消すよ」
「は、はい」
緊張した様子の姉さんを見て微笑みながら明かりを消すと、真っ暗闇の中で手探りをしながらベッドに入った。
そのまま横になると、すぐ近くに温もりを感じた。
暗闇の中でもわかるほどに真っ赤な顔をした姉さんは、緊張しているのか身体を強張らせている様子だった。
そんな姿がとても可愛くて思わず抱きしめそうになったが、なんとか堪えることができた。
その代わりに頭を撫でると、少し安心したのか身体の力が抜けたのがわかった。
しばらく撫で続けていると、やがて規則正しい寝息が聞こえてきた。どうやら眠ってしまったようだ。
僕は小さく微笑むと、おやすみの挨拶をしてから目を閉じた。
そしてすぐに睡魔に襲われてしまい、そのまま眠りに落ちていったのだった。
*
翌朝、目を覚ますと、すぐ目の前に姉さんの顔があった。
一瞬驚いて声を上げそうになったが、どうにか堪えることができた。
(そういえば昨日、一緒に寝たんだった)
そんなことを考えながら改めて目の前の顔を見つめる。
長いまつ毛や整った顔立ちは芸術品のように美しく、いつまでも眺めていられそうだった。そんなことを考えているうちに段々と顔が熱くなってきたので視線を逸らそうとしたその時、突然目が開いたのでまたしても驚いてしまうことになった。
目を覚ました姉さんはしばらくぼーっとしていたが、やがて今の状況を理解したらしく、顔を真っ赤にして僕から離れようとした。
しかし離れようとする前に僕の手が後頭部に回されていたせいで離れることができなかった。
そのためどうすることもできずにいたのだが、やがて覚悟を決めたのか目を閉じると、ゆっくりと顔を近づけてきた。
そして唇が触れ合う寸前まで近づいたところで動きを止めると、小さな声で囁いた。
「キス、してください」
それを聞いた僕は迷うことなく唇を重ねた。
柔らかい感触が伝わってきたかと思うと、すぐに離れていった。
目を開けると至近距離にある彼女の顔が見えた。
その表情はどこか物足りなさそうで、もっとして欲しいと思っているように見えた。
そんなことを考えていたせいか無意識のうちに手を伸ばしていたようで、気づいた時には彼女を抱きしめていた。
突然のことに驚いた彼女は目を丸くしていたが、すぐに背中に腕を回してきた。
そして耳元で囁いてきた。
「大好きです」
その声を聞いた瞬間、僕は我慢できなくなってもう一度キスをした。
最初は驚いていた彼女も次第に受け入れてくれたのか、自分からも求めてくれるようになった。
それからしばらくの間抱き合っていた僕たちは、名残惜しさを感じながらもゆっくりと身体を離した。
お互いに見つめ合いながら微笑んでいる。
微笑み合った後、僕は彼女を抱きしめるのだった。