文芸部の先輩と後輩の恋愛事情(短編小説・中編)
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そんなことを考えている間にも、どんどん状況は悪化していく。
気付けば周囲には人だかりができており、その視線は全て俺たちへと向けられていた。
もう完全に詰みの状態だな、これ。
こうなったら仕方がない。
多少強引ではあるが、強引に引き剥がしていくしかないだろう。
そう思った俺は、意を決して行動を起こすことにした。
最初にしたのは、周囲の人たちに向かって声をかけることだ。
「すみません! 道を開けてもらっていいですか!」
俺の声を受けて、周囲から人が離れていく。
それを確認し