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面白い本・好きな本|ふつうの暮らし[コンビニ人間、ぼくはイエローで、ふつう]
ふつうのときに思う、ふつうでいい
ふつうじゃない時の、ふつうがいい
コロナは落ち着かず、ウクライナも大変なことになり、物価もあがり続けるこの1年。早くふつうに戻ってくれないかなぁ、ふつうがいいなぁ、と思い続けたこの1年。
ふつうの時の「ふつうでいい」は「ふつう」の凄さに気づいていないという気づき。異常になって初めて「ふつう」を知る。
気負いすぎず、気を抜きすぎず。
願い過ぎず、無頓着でもない。
ふつうに暮らすって素晴らしい。
ふつうの暮らしって?
ふつうの人がイメージする「ふつうの暮らし」はこんな感じかもしれない。男性なら大学を出て、会社に入り、結婚し、子供が産まれ、ローンで家を買い、定年まで勤めて、年金で老後をすごす。女性ならば、そういう男性の妻になる__
まぁ令和の今、そんな生き方が多数派なわけないでしょ、と鼻で笑ってしまうかもしれない。では、昭和の時代はこれふつう?
正社員で定年まで勤める人は、昭和でも3割ほど
これは1950年でも1980年でもあまり変わらない。典型的な人生だと思っていた「ふつうの暮らし」なんて、全然ふつうじゃない。
自分のふつう、みんなのふつう
「人はその周りの5人の平均値だ」という言葉をnoteで知る。趣味嗜好が似ている人は集まりやすく、自分の見えている世界が「ふつう」であると錯覚する、と。
自分のふつうと、みんなのふつうは違う。大切なのは、「自分のふつうを疑い、謙虚になること」。ほんと、いいこと書いてる。
*
生まれた時にあったものはすべてふつう
15歳から35歳のあいだに出会うものは刺激的
35歳以後に発明されたものはふつうじゃない
これもよく言われるやつ。年をとるほど、新しいモノやコトに拒否反応を示してしまう。昔からあるふつうを求めるんだけど、その“ふつう”はあくまでも自分のふつうでしかない。
ふつうはいろいろ。
ということで、いろいろな「ふつう」について考えさせられる本3冊。純文学とエッセイとデザインの話。
なかでも、『ふつう』の著者である深澤さんは、スピッツを最大限の賛辞として「ふつう」と表現していて、とても印象的。
スピッツの旋律からは、その流れが、自然に成っていく先が、あたかも予感できるような気がしてしまう。どこかで聞いたことがあるんじゃないかと思えてしまうくらい一歩一歩ブレなくはまっていく気がします。__個性は表に出ず、曲は状況に溶けていく。その快感が「ふつう」の美を成している。
「ふつう」を知って、ふつうに暮らす。
「ふつう」を疑い、謙虚に暮らす。
コンビニ人間
コンビニ店員のふつうと、世間のふつう
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「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
母のふつう、息子のふつう、学校のふつう
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人種も貧富の差もごちゃまぜの元底辺中学校に通い始めたぼく。人種差別丸出しの移民の子、アフリカからきたばかりの少女やジェンダーに悩むサッカー小僧……。まるで世界の縮図のようなこの学校では、いろいろあって当たり前、でも、みんなぼくの大切な友だちなんだ――。優等生のぼくとパンクな母ちゃんは、ともに考え、ともに悩み、毎日を乗り越えていく。最後はホロリと涙のこぼれる感動のリアルストーリー。
ふつう
民藝もサステナブルもロングライフもふつう
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「ふつう」をテーマにデザインをする深澤直人さんは、15年におよぶ連載「ふつう」の中で、皿、カトラリー、グラス、カッター、イス、クルマ、犬、音楽、歌番組、蕎麦、制服、みやげもの、高層ビル、川、人の表情‥‥と、生活の中にあるさまざまなものや、自身が具体的に体験したことを起点に、「ふつう」を掘り下げてきました。
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