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面白い本・好きな本|縄文とアートと石と草木[土偶を読む、週末の縄文人、アースダイバー]
ラグジュアリー と 自然の尊厳
日本のラグジュアリーは、過剰な贅沢ではなく、自然を織り込む精神に宿る。旅館や茶室に生けられた一輪の花。その控えめな美しさに、人は無意識に心を動かされているような。
自然と向き合う謙虚さ
石と草木に触れること。それが空間に奥行きを与え、心をつかむ。日本のラグジュアリーは、この繊細な感覚にこそ根差している、と思う。
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閑谷学校の美しさ
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江戸時代の中期に建てられた藩校には石塀で囲われている。上部は丸く、緻密に加工して隙間なく積んでいる。全周765メートル、大地の起伏に沿って、這うように上下する景観は圧巻。
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内部には威風を感じさせる講堂や白壁の霊廟や蔵が並び、その超然としたたたずまいには、どこかイサム・ノグチ庭園美術館と通じるものを感じる。
自然と人間の創造が融合した世界観
ということで、縄文まで時を遡ってみる。人と自然のフラットな関係がそこにはあると思うので。畏怖、崇拝、諦観、無為。そんな縄文について思いを馳せてみるのはどうでしょう、という話。
縄文とアートと石と草木
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土偶を読む
130年間解かれなかった縄文神話の謎
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縄文時代に大量に作られた素焼きの「土偶」。日本列島においては1万年以上前に出現し、2千年前に忽然とその姿を消した。実はいまだ土偶の意味は解明されていなかった。
新進気鋭の研究者が謎の解明に成功
2021年に刊行されるやいなや、NHKをはじめとするメディアや著名識者が絶賛、ベストセラーとなり、サントリー学芸賞を受賞。しかし、ここで終わらない。
心躍る読書体験から一気に現実に引き戻されるアンサー本が刊行される。本の名前は『「土偶を読む」を読む』。『土偶を読む』の研究内容に一つ一つ丁寧に訂正を加えていく。真摯に真実に向き合う大切さを教えてくれる。まずは詳細を知ることなく、順番に読んでほしい2冊の本。
週末の縄文人
週末限定で縄文の暮らしで生き抜く
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現代の道具を一切使わず、自然に手に入るものだけで暮らす。さながら縄文人のように。火を起こす、紐を撚る、竪穴住居を建てる、土器をつくる。
ドクターストーンの実写版
効率とか、生産性とか、そんなことはどうでもいい。現代なら10分でできることに10日かける。いや、かかる。そんな暮らし。縄文時代が1万年も続く理由が、なんとなくわかる本。
アースダイバー
縄文地図を片手に散策する
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東京の風景が一変する散歩の本。見たこともない、野生の東京が立ち上がる。縄文時代の地形を比べてみると東京は5000年以上もの昔から聖地の位置は変化していない。
自然と人間の深い関係が明らかに
縄文時代の人々の精神性に触れ、古代の知恵に思いを馳せ、縄文の旅へ。人間と自然、芸術が織り成す関係性を再考し、古代の知恵が現代にどれほど豊かな影響を与えるかを感じさせてくれる一冊。
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