3つの好きな映画|未来の記憶を掘り起こす[マッドマックス ガタカ ブレードランナー 時計仕掛けのオレンジ]
見えない未来を どう描いていくか
レオナルド・ダ・ヴィンチは、数多くの発明を後世に伝えた。戦車、ヘリコプター、エンジン、水圧ポンプなどなど、膨大なアイデアを美しく描かれたスケッチで残している。
ダ・ヴィンチだけでなく、ミケランジェロ、ラファエロなど、ルネサンス時代の優れたエンジニアや建築家の多くは画家だったという。
その類まれなるスケッチで未来を描き、人々を魅了する。時代の権力者から職人まで、言葉を超えたコミュニケーションを可視化の力で成し遂げた。
可視化は 未来を 引き寄せる
映画は 未来を 記憶する
まだ誰も見たこともない、経験したこともない、想像すらしたことのない。そんな未来を映画で見てみたい。考古学者のように時間を過去に向かって遡り、映画の記憶を掘り起こす。
映画の未来は、現実の未来を想起させる。より深く、より遠い未来へと導いてくれる。
ということで、15年ずつ時間を過去に遡り、映画の記憶を掘り起こす。
デストピアの金字塔
未来は 暗いか? 明るいか?
2015|マッドマックス
核戦争で文明崩壊、石油や水も尽きかけた近未来
限られた資源を独占し、恐怖と暴力で民衆を支配する世界。映画を見れば一目瞭然、これは北斗の拳の世界感。というより北斗の拳の元ネタ。
核戦争で文明崩壊、石油が枯渇、砂漠の荒野
とてもありえる近未来
ナミブ砂漠で約5カ月間に及ぶ過酷な撮影、リアルな映像を目指しCGはほとんど使用しない、480時間の映像を2時間に編集した映画、などなど圧巻の裏話。
2000|ガタカ
優秀な遺伝子を持つ人間が支配する近未来
遠くない未来、普通の出産とは遺伝子操作をした受精卵を体外受精すること。性別や髪、目の色なども選択可能で、肥満や依存症など、有害な情報は予め排除できてしまう。反対に、自然出産で生まれた人間は不適正者と言われ、あらゆる面で社会的に差別を受ける。
1000人に1人の優秀な子どもを選別する世界
舞台となる建築は、フランク・ロイド・ライトのマリン郡庁舎。円がモチーフの有機的な形状は、遺伝子のイメージと相待ってとても未来的。
1985|ブレードランナー
酸性雨が降り、超高層ビルが乱立する近未来
環境破壊の影響で人類の居住地域は限られる近未来。酸性雨が降る超過密都市には、空飛ぶ車や立体的なサインが混在するジメジメと暗い。
未来都市の風景は新宿歌舞伎町がモデル
人類の開発した人造人間の寿命は4年と定められている。人間の奴隷として生きなければならないという運命だが、反旗を翻し人間に抵抗を始める___
人間とはなにか?生きるとは何か?
1970|時計じかけのオレンジ
バイオレンスの愉悦に浸るロンドンの近未来
説明の必要がないほど有名なやつ。キューブリックの遺したSF映画の金字塔。容赦のない暴力描写、印象的なクラシック音楽と映像美。
表面上はまともだが、中身はかなり変
これは映画のタイトルでもある「時計仕掛けのオレンジ」の由来となったイギリスのスラング。人間が持つ本質的な暴力性は変えられない__
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