![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/114514430/rectangle_large_type_2_bad407d7c30933e69786edf399eea628.jpeg?width=1200)
小さな旅・思い立つ旅|淹れたての一杯、至福の京都[私設図書館・鈍考、ティールーム・冬夏]
「蝉が鳴き始めたようです
雨がやみましたね」
小雨の降る京都の朝。市中から少し離れた比叡山の麓にある私設図書館『鈍考』を目指す。1時間に1本のローカル線に乗り、駅から緑豊かな住宅地を歩くこと約10分。目的地につくころには雨がすっかりやんでいた。
建物に入ってもスタッフから案内や説明はとくにない。目の前の案内板を静かに読み、あぁそうか、もう“鈍考”は始まっているのか、と気づく。
![](https://assets.st-note.com/img/1693118881252-QiSeqrQJV8.jpg?width=1200)
荷物をロッカーに入れ、壁面いっぱいの本棚に沿って、奥へと進むと、ようやくカウンター奥のスタッフに出会う。
「蝉が鳴き始めたようです
雨がやみましたね」
スタッフから声をかけられる。「いらっしゃいませ」でもなく「こんにちは」でもない。なんと風流な第一声なんだと意表をつかれ、返答がワンテンポ遅れる。
静かな住宅地に響く雨音が、いつの間にか蝉の声に変わっていることに、その一言でようやく気づく。
至福の京都体験。
![](https://assets.st-note.com/img/1693119002631-mgxMpwTQaW.jpg?width=1200)
ということで、私設図書館「鈍考」と喫茶「芳」の珈琲、お茶と暮らしの道具を扱う「日日」とティールーム「冬夏」の煎茶のふたつの施設をご紹介。淹れたての一杯と、至福の京都体験でもどうでしょう、という話。
鈍考donkou|喫茶 芳 Kissa Fang
ゆっくり流れる時間と読書と珈琲
![](https://assets.st-note.com/img/1693119265509-5kHAFBKLUs.jpg?width=1200)
時間の流れの遅い場所をつくりたい。
人を取り巻く日々の流れが加速するなか、社会のシステムやテクノロジーが求める速度から、敢えて鈍くあること。そして、人としての愉しさや健やかさについて自発的に考え続けること。それが、「鈍考」で促したい時間です。
ブックディレクターのBACH幅允孝さんが京都につくった私設図書館。設計は堀部安嗣さん。完全予約制で定員はたったの6人。
3000冊の書籍から気になるモノを手に取り、ひのき林の借景が美しい庭を眺めながら読書に耽る。一息ついたタイミングで、珈琲を頂く。ネルドリップでゆっくり抽出するその時間も愛おしい。
![](https://assets.st-note.com/img/1693119344436-fQxW7sBfn7.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693119437133-KCqWfTFzjv.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693119520160-mR6FCUb9TS.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693119571827-PRBIzSqOtm.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693119638287-rFXVnCCUBK.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693119715182-0NOvGVAXZw.jpg?width=1200)
冬夏 toka|日日 nichinichi
慌ただしい時間と隔絶された空間で煎を重ねる
![](https://assets.st-note.com/img/1693120131623-nKAKHCnXzV.jpg?width=1200)
「新茶が一番」「銘柄は〇〇」という日本茶の常識にとらわれず、畑ごとの味の違い、製法や施肥の有無、オーガニック農法から生まれるお茶の個性を淹れ分けることによって、日本茶はワインのように、生き生きとその個性を語りはじめます。
御所の東。閑静な住宅街に、楚々とした日本家屋がたたずむ。明治生まれの日本画家、西村五雲が住まいとしていた築100年の建物が、わずか6席のティールームとしてよみがえる。
オーナーはフードディレクターの奥村文絵さん。設計はケース・リアル二俣公一さん。「冬夏青青」という、冬も夏も青々としている松の木に、枯れない志を重ねた孔子の言葉にちなんで、店名は『冬夏』。
![](https://assets.st-note.com/img/1693120223325-rxNGAHqnKA.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693120298337-92dUGCJTEz.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693120329723-if2T3ohYJl.jpg?width=1200)
シンプルに構成された空間。だからこそ、そこで目にする坪庭、茶器、茶を淹れる人の所作の美しさが引き立つ。
栃の木でできたカウンターごしに、スタッフが時間をかけて、ゆっくりと丁寧に淹れる煎茶。一煎、二煎と、湯をさし替えるごとに、茶葉が持つ香りは奥行きを増し、味わいは複雑に広がっていく。
![](https://assets.st-note.com/img/1693120399621-AfsR9VuRKs.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693120455144-oPbYqsjbjZ.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693120487486-Giu8jyQkxT.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1693147775122-d2uEObGMp3.jpg?width=1200)
茶味の個性を最大限に引き出す淹れ方を探求
![](https://assets.st-note.com/img/1693120563249-oflYuFeEua.jpg?width=1200)
関連記事
映画|地に根ざし、四季に寄り添い、地味溢れる
本|京都
旅|京都を訪ねて、お茶を知る