小さな旅・思い立つ旅|京都を訪ねて、お茶を知る[普茶料理、茶園さんぽ、茶菓子、おもてなし]篇
もっと、お茶について知りたい
侘び茶を大成させた千利休。いまだに茶の湯に大きな影響を及ぼす偉大な存在であり、今年は生誕500年を迎える節目の年。そんなキリのいい年だからこそ、お茶を知るために京都に行く。
といっても、茶の湯や茶道といった肩肘張ったものではなく、単純に茶畑ってきれいだなぁ、とか、茶菓子はおいしいなぁ、という気楽な京都の旅はどうでしょう?という話。
800年前から、眠気覚ましにお茶を。
お茶にはカテキンとテアニンが含まれている。渋み成分であるカテキンはストレスの抑制や抗菌作用があり、旨味成分であるテアニンはリラックス効果がある。鎌倉時代の書物にも、お坊さんが眠気覚ましに抹茶を飲んでいたという記載があるほど、万能薬なお茶。
緑茶も紅茶も烏龍茶も、原料はチャノキ
葉っぱに含まれる酵素の働きで発酵させて乾燥すると紅茶、発酵途中で炒めて発酵を止めると烏龍茶。そして、初めから発酵しないように蒸して乾燥させると緑茶。発酵の度合いで、お茶の種類がかわるから面白い。
さらに、光合成によって旨味のテアニンが渋みのカテキンに変化する。なので、新芽の時に日光を遮断することで渋みが少なく、旨味成分テアニンが豊富な抹茶や玉露ができあがる。反対に、日光を遮断しないと渋みの強い煎茶や番茶ができあがる。
発酵度合いで緑茶が烏龍茶や紅茶に変化して、
日光の量で、抹茶が煎茶に変化する。
黄檗山萬福寺|宇治
煎茶を日本にもたらした宇治のお寺
黄檗宗の大本山。臨済宗、曹洞宗にならび日本三千禅宗のひつと。中国明朝様式を取り入れた伽藍配置は、創建当初の姿が残る圧巻の姿。
明朝体、原稿用紙、木魚、スイカ、蓮根、、
日本にもたらされた黄檗文化はとても多い。そして煎茶。茶葉を湯に浸して飲む手法を日本に伝えたのも黄檗宗。さらに、中国風の精進料理である「普茶料理」も有名で、座卓を囲んで食事をするスタイルは、ちゃぶ台や茶の間として日本にも広く浸透している。
小山園製茶場|宇治田原
急斜面に一面広がる茶園で、のんびりお散歩
宇治田原奥山田の土地で500年以上にわたって茶園を営む小山園。一般的に茶畑はどこも立ち入り禁止。道路際から眺めるだけ。でもここは、栽培の過程をオープンにする、という生産者の強い意志で、園内を自由にお散歩できる。
山の傾斜に沿うように美しい茶畑が一面に広がり、中腹にある吉野杉のテラスで絶景をあてにお茶を飲む。まさに茶源郷。
dan dan cafe|和束
日本遺産の石寺の茶畑で堪能する絶品ランチ
お店の場所は、日本遺産にも登録されている「石寺の茶畑」のど真ん前。遠足気分で山道を登り、茶畑の真ん中にポツンとあるお店。
日光、雨、風といった気候条件に影響を受けながら、刻々と成長していくお茶の木を眺めながら堪能するランチはもう最高。
ZEN CAFE|祇園
お茶に合わせて京菓子を味わう大人カフェ
江戸享保に創業した京菓子店 鍵善良房。その老舗のお店が、四季の移ろいや、日本の美を映しだす京菓子を堪能する空間として最高のカフェもやっている。
一枚板のケヤキの机に、和にも洋にも合う椅子。印象的に切り取られた窓からのぞく、自然を生かした庭‥‥‥。洋書やアート、北欧家具などが彩る落ち着いた空間体験は一度行くとやみつきに。
白 HAKU|祇園
お茶の上質なおもてなしに出会えるお店
和久傳のおもたせ専門店。一見普通のお宅にも見える玄関に一歩入ると、やわらかい自然光の差し込む静謐な空間に包まれる。料亭がつくるおもたせは、ため息が出るほど美しい。
そして珠玉の体験は、注文からお支払いまでのひととき。カウンターでお茶とお菓子がスッと出てくるおもてなし。退店までの束の間を、お店の人と雑談しながら、お茶を飲んでゆったり過ごす。
カフェでは味わえない、最高のおもてなし。
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