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AIからNIへ‥自然のチカラについて考えた〜『楽園の楽園』読書感想文


大好きな作家さん、伊坂幸太郎さんの作家生活25周年の記念作『楽園の楽園』。

思ってたより薄い。
ページ数を確認したら100ページにも満たないんだ。
表紙が、まるで螺鈿細工みたいですごく綺麗。
中を開くと挿し絵がいっぱい。
なんだか今までの伊坂と違う。
伊坂幸太郎、新しいフェーズに入った?
とにかく早く家に帰って読みたい。

『楽園の楽園』/伊坂幸太郎

ほんとにキレイです

人はどんなものにも物語(ストーリー)があると思い込む。
きっとあなたもそのひとり。

大規模停電、強毒性ウィルスの蔓延、飛行機墜落事故などが立て続けに発生し、世界は急速に混乱に陥った。
これらすべての原因は謎の人工知能『天軸』の暴走と考えられた。
五十九彦(ごじゅくひこ)、三瑚嬢(さんごじょう)、蝶八隗(ちょうはっかい)の選ばれし3人は、人工知能の開発者が残したという巨大な樹の絵画『楽園』を手掛かりに、暴走する『天軸』の所在を探る。
旅路の果てには、誰も想像できない結末が待ち受ける。

書き下ろしの短編小説を、気鋭のアーティスト、井出静佳の装画・挿絵とともに味わう「伊坂幸太郎史上最も美しい1冊」。

GoogleBooksより

植物に話しかけたり音楽を聴かせたりするとよく成長するって聞いたことない?
キリンの首が長いのは高い所のえさ(葉っぱ)を食べるために進化したって聞いたことない?
どんな物にも魂が宿ってるって、だから物を大切にしなさいって言われたことない?
人間が死んで生まれ変わる時必ずしも人間じゃないのかもって考えたことない?

私は全部、ある。
そもそも人間の祖先ってアダムとイブで、皆そこから始まったって、そこ、信じる?知恵の実を食べたから楽園を追い出されたんだって、誰に?神様に、だよ。

『チ。』っていう漫画を読んだ時、西洋の人ってあんなに神様のことを信じてた(る)んだってことにあらためて驚きと尊敬を感じた。神様を信じるか信じないかで沢山の血が流れた。日本人(少なくとも私)にとってのああいう神様はいないんじゃないかと思う。聖書を読み込んで信じてそれに添って行動する、そこまでの信仰心はなかなか無いんじゃないかと思う。時間が来たらどんな場所ででも神に祈りを捧げる、そういう信仰心は無いんじゃないかと思う。以前職場にイスラム教徒の外国人の方が勉強しに来られていた時、“ラマダン”の話を聞かせてもらって「ほんとにやるんだ」などと暢気なことを思った自分が恥ずかしい。

でも、何となく「物にも魂はある」ってことは否定してない。人形供養とか呪物とか、ちょっと怖いけど無碍には出来ない。
お雛様だって、今年もちゃんと飾った。「今年も会えたね」なんて言いながら箱から出した。

そういえば、コンピューターが自我に目覚めて暴走することが有り得るんだと始めて知ったのは『ターミネーター』だった。最近Netflixで見た『ミーガン』はAIロボットが暴走してた。

物が、“物”として存在してる分には怖くも何とも無いけど、そこに感情とか自我とか、魂とか、そういうものを感じてしまったらめちゃくちゃ怖いなあ。

割れたお皿には「ごめんね」って言うし、お菓子の包装紙をビリビリ破らずにブックカバーやポチ袋に再生して使うし、思い通りのプレーが出来なかったからってバットやラケットにあたったり(投げたり折ったり)出来ないよ。

そんなことを思いながら読みました。本の内容に全然関係のない、そんなことを思いながら読んだってことが私の〈ストーリー〉なのか。読み終えた今、私は“木の根っこ”が少し怖い。


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