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私の“現場納め”


今年も早や12月。12月になると言いたくなるのが〇〇納め。
見納め、食べ納め、歌い納め、遊び納めに仕事納め‥何にでも納めはある。要するに、その年(1年)にそれを行うのはそれが“最後”っていう時に使ってるから、だから12月になるとやたらと納めたくなるのだ。
年が明けたら明けたで、今度は〇〇始めが始まるのだけれど。

12月になって舞台を観に行った。

峠の我が家


主演は仲野太賀さん。他に二階堂ふみさん、柄本時生さん、豊原功補さん、そして脚本と出演もされている岩松了さん。テレビでよく見ている俳優さんたちを近くで観られるのはミーハーな私にとってはこの上なく幸せなことである。
そう、ミーハーな私はただただ俳優さんたちを見るためにチケットをとった。だから内容をよく知らなかった。劇中に“ウラン”という言葉が出てきて、なるほど、だからこのオールスターキャストのお芝居の、全国何ヶ所かを巡る中に岡山公演があったのか、と遅ればせながら納得したのだった。

岡山の北部に“人形峠”という場所がある。かつて天然ウランの採掘が行われていた場所なのだ。

劇中には“ウランガラス”なる物も出てきた。ガラスの色付けに少量のウランを混ぜたもので、緑色に見えるらしい。

これらが物語に直接重要な要素ではないものの、やはりウランと聞くと私たち岡山県人は“人形峠”を連想する。“人形峠”は私が小学生の頃の社会のテストにも出題されていたように思う。

公演後の挨拶で岩松了さんが「人形峠を訪れた」こと、そこからインスパイアされてこの脚本を書いたこと、そしてそのお芝居を「岡山で公演できる」ことは特別な思いがある、とおっしゃった。

お芝居自体はワンシチュエーションで少ない出演者による会話劇。暗い照明のもと、静かに進み、ミステリー要素あり、戦争要素あり、恋愛要素あり。少し難解で正直よく理解出来ない部分もあり、観る側(要するに私のようなミーハー)の未熟さを痛感させられた。
ていうか、そんなに小難しいことを考えながら観なくていいよね?私は太賀くんや豊原さんが見たかっただけなのだから‥てへ。

全体的に暗い話ではあるが太賀くんと柄本さんの多分アドリブと思われる絡みとか、柄本さんと岩松さんの会話とか、「クスッ」と笑えるシーンもあって、二階堂ふみさんから「岡山県の方はよく笑う。明るい方が多い」と言ってもらえた。
豊原さんの岡山の印象は、美味しかったラーメン屋さんと「イオンがデカい」こと。
公演後の挨拶が楽しくて、お芝居自体が暗かった分、聞いていてホッとする。そして皆さんがおっしゃってくださったのが、

「もっと長い日程でまた来たい」

ということ。今回は1日のみ、1公演のみだったからだ。

個人的には、途中で突然喉が張り付く感じがきて咳が出始め、「ヤバい」と思えば思うほど咳き込み、お茶を飲もうとバッグを探るも手に当たらず、もうダメかと思った時に「ゴボっ」ともどしそうになって咳が止まる、という超焦る体験をした。冬の公演にはお茶を手元に置いておくこと、のど飴を持って行くべきだったこと、この2点を反省。だけど本来は客席での飲食は禁止。いや、せめて、冬の咳き込んだ時にお茶飲むくらい、のど飴舐めるくらいは許して欲しい。

その日の帰り、一緒に行った次女から

「今日でお母さんは“現場納め”だね」

と言われる。

現場納め?現場って、何よ?

「ライブとかイベントとか、こういう舞台を観に行くとか、そういう場所のことをオタクは現場って言うのよ。で、今年お母さんがそういうとこに行くのは今日が最後でしょ?だから現場納め」

なるほど。
オタク用語というのは実に面白い。面白いだけじゃなくて、ものごとを簡潔に、またその様子を実に上手く表現する、そのことに感心してしまう。

そんなわけで私の現場納めは終わりました。
皆さんの現場納めはいかがですか?

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