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コメディ映画解説|素晴らしきB級コメディ洋画の世界(注意:たまにA級やS級や邦画も混じ…

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コメディ映画解説|素晴らしきB級コメディ洋画の世界(注意:たまにA級やS級や邦画も混じります)

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このスポーツコメディは褒めちぎりたい 『アンクル・ドリュー』

ウェブCMに「ドラマ」という肉を付けて映画化した作品である  2012年5月、ペプシコーラが一本のウェブCMを公開した。特殊メイクでお年寄りに扮した現役NBAスター選手が、ストリートバスケに興じる若者たちに勝負を挑み、神業プレーを連発してあっと言わせるという内容だ。このCMは大いに話題を呼び、ほどなくして再生回数は数千万を超えた。『アンクル・ドリュー』(18)はそのウェブCMに「ドラマ」という肉を付けて映画化した作品である。  特殊メイクでお年寄りに扮装する映像コメディは

    • もしもピーター・パンと恋に落ちたら 『ライラ フレンチKISSをあなたと』

      デヴィッド・スペードの魅力を紹介するコメディといえる  『ライラ フレンチKISSをあなたと』(99)はデヴィッド・スペードとソフィー・マルソーのW主演作としてクレジットされており、日本でもマルソー主演作である点(のみ)が強調されているが、内容的には紛れもない「デヴィッド・スペードの映画」である。ラブストーリーではあるものの、決して甘ったるいムードは漂っておらず、この映画はむしろ、スペードのコメディアンとしての魅力を存分に紹介するコメディ映画だといえる。  デヴィッド・ス

      • 小粋な「鏡越しのダンス」にほっこり 『オール・オブ・ミー 突然半身が女に!』

        ジキル博士とハイド氏だって同時に登場するわけではないのに  私が『オール・オブ・ミー 突然半身が女に!』(1984)を初めて観たのは高校生の時のことだ。筒井康隆が小説で題名を挙げていたのでその存在をもともと知ってはいたが、DVDを買ってまでして観ようと思ったのは、三谷幸喜が当時の連載エッセイで取り上げていたためである。近所のレコードショップ(という呼び名でいいのか分からないが)でDVDを取り寄せてもらい、入荷の電話を受けて受け取りに行った日のことを、まるで昨日のことのように

        • 恐怖と笑いは表裏一体と言うけれど 『ケーブルガイ』

          「ホラーとコメディは表裏一体」を体現した作品かもしれない  しばしば「スリラーコメディ」と紹介される『ケーブルガイ』(96)は、実際のところは完全なる「サイコホラー」だ。ただし劇中には計算されたギャグが詰め込まれており、「馴れ馴れしい配管工につきまとわれる」というそもそもの設定は喜劇そのものといえる(私が「喜劇」をどう定義しているのか気になるところだが)。この映画は「ホラーとコメディは表裏一体」という定理を体現した作品と称すべきなのかもしれない。  本作で監督を務めたベン

        このスポーツコメディは褒めちぎりたい 『アンクル・ドリュー』

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          コメディ映画と「グロテスク」の関係 『マーシャル博士の恐竜ランド』

          邦題からして軽めのファミリームービーと思われがちだが  1970年代にNBCでオリジナルのテレビシリーズが放送され、1990年代にはABCでリメイクされた子ども向けアドベンチャードラマ『Land of the Lost』(ABC版は日本では『恐竜王国』との邦題でビデオ発売された)を劇場用に組み立て直した作品こそ、ユニバーサル・ピクチャーズ提供の『マーシャル博士の恐竜ランド』(2009)である。──この物語には約20年周期でリメイクされなければならない宿命でもあるのだろうか?

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          エキセントリックだけどずっと温かい 『グッド・バーガー』

          もともとは子ども向けコメディ番組のコントシリーズだった  「グッド・バーガーへようこそ、グッド・バーガーの本店へようこそ、ご注文はいかが?」。ハンバーガーショップでアルバイトする黒人の高校生コンビが、大いなる陰謀に立ち向かう喜劇──それが『グッド・バーガー』(97)だ。もともとは子ども向け放送局・ニコロデオンのコメディ番組『オール・ザット』(94〜05)のコントシリーズで、劇場用映画として作られた本作は、主人公がアルバイトを始めることになった経緯から描き出す。  番組の共

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          アダム・サンドラーの「心」を感じる 『リトル★ニッキー』

          アダム・サンドラーの例外的「コッテコテ」コント映画だ  アメリカコメディ界の大スター、アダム・サンドラーが主演した『リトル★ニッキー』(00)は、サンドラーとスティーヴン・ブリル監督が初めてタッグを組んだ作品である。この映画に「いつものアダム・サンドラー」はいない。時代の変化(サンドラー本人の加齢)とともに主人公の精神年齢も「成長」していくサンドラー主演作の流れにあって、本作は例外的・番外編的な「コッテコテ」のキャラクターコント映画だ。  『サタデー・ナイト・ライブ』出身

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