小粋な「鏡越しのダンス」にほっこり 『オール・オブ・ミー 突然半身が女に!』
ジキル博士とハイド氏だって同時に登場するわけではないのに
私が『オール・オブ・ミー 突然半身が女に!』(1984)を初めて観たのは高校生の時のことだ。筒井康隆が小説で題名を挙げていたのでその存在をもともと知ってはいたが、DVDを買ってまでして観ようと思ったのは、三谷幸喜が当時の連載エッセイで取り上げていたためである。近所のレコードショップ(という呼び名でいいのか分からないが)でDVDを取り寄せてもらい、入荷の電話を受けて受け取りに行った日のことを、まるで昨日のことのように