BtoBマーケティングと顧客ペルソナの設定
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
笑顔工学って何??という方は、ぜひ自己紹介をご覧ください!
BtoBマーケティングは、取引先の「企業」に向けた提案と考えがちですが、その企業内で実際に製品導入を推進・決裁するのは 「特定の担当者」です。そこで活きてくるのが、「顧客ペルソナ」という概念です。
本記事では、
なぜBtoBでもペルソナが必要なのか
生成AIを活用した短時間での作成方法
OODAループ を使って常に更新するメリット
実際のペルソナ活用法
をまとめてご紹介します。
BtoBマーケティングの難しさとペルソナの必然性
複雑な意思決定プロセス
企業の購買に関する意思決定については、経営者や役員、現場リーダー、購買部門、技術担当など複数のステークホルダーが社内承認に関わるのが常です。そして、それは企業によって異なってきます。
BtoB特有の「稟議」「合議制」が存在していて、いくら現場担当者が乗り気でも決裁者がOKしなければ成立しません。
長期的な関係構築
商品にもよりますが、一度導入すると 5年、10年単位で使い続けるケースもあり、短期的な広告だけでは響きにくいものです。ここでは、人対人の関係(担当者とのやり取り、実際の困り事理解)が長期的な契約の決め手になってきます。
顧客ペルソナが不可欠な理由
BtoCと違い、「企業全体をターゲットとすればいい」と考えがちですが、実際には 「企業内の役職・部署・悩み」が異なります。
意思決定に関わる人がどのような人か、というペルソナを細かく設定することで「どんな人がどんな課題・目的・心理状態を持っているか」をクリアにし、ヒットするメッセージやアプローチ方法を導きやすいのです。
生成AIでペルソナを効率的に作成するステップ
では、ペルソナをどうやって作っていくのか、という具体的なステップですが、ここで生成AIを活用することを考えてみます。
以下、具体的なステップを考えてみました。
1. 社内の顧客データや商談メモをまず整える
過去6〜12ヶ月程度の 問い合わせ内容・商談履歴・課題 をExcel等を使って整理します。社内でよくある断り理由 や 契約成功パターン も含めて一覧化すると良いでしょう。
2. 生成AIに「顧客一覧データ」を入力
ChatGPTなどの生成AIに、以下のようなプロンプトを与えていきます。
以下の顧客データを元に、BtoBマーケティングにおける
顧客ペルソナ例を3つ提案してください。
[データのCSVやリストを貼り付け]
出力形式:
1) ペルソナ名称・役職・経歴など
2) 所属企業規模・業種
3) 業務上の悩み・課題
4) 社内決裁フローのポイント
5) 必要とするソリューション・期待
ここでAIがまとめた初回提案を「たたき台」として活用し、社内フィードバックや追加指示を生成AIに再度入れることで短時間でブラッシュアップ可能です。
ただし、汎用生成AIを使う時は、機密情報や個人情報は入れないように注意してください。
下記くらいまで細かいペルソナが出てくるのが良いです。
3. こまめな更新を前提とする
BtoBの顧客ニーズは刻々と変化するので、月1回や四半期ごとに「最近の商談データ」を再度AIに読み込ませ、ペルソナを更新していきます。
OODAループ (観察→判断→決定→行動)で 絶えず改訂 していくのが理想です。
ペルソナ×OODAループ
ここで、OODAループという考え方で、常に柔軟にペルソナを改訂し続けることを提案します。
OODAループとは?
Observe(観察)
Orient(状況判断)
Decide(意思決定)
Act(行動)
OODAループは、PDCAより短い周期で回せるフレームワークとして注目されています。BtoBマーケティングでは「小さな施策を素早く試し、結果で次を判断」という戦術に向いています。
適用例
Observe(観察)
新規問い合わせやSNS反応、営業ヒアリングなど収集→AIに投げ、「最近こういう要望増えてる」「予算規模が小さい会社が多い」などを把握します。
Orient(状況判断)
ではペルソナの設定を少し変更しよう、今は中堅企業の情報システム部長が最優先ターゲットだ、などと方向づけを人間が行います。
Decide(意思決定)
具体策として「ウェビナーをそのペルソナ向けに開催」「LPをセキュリティ面を強調する形に修正」などの意思決定を行います。
Act(行動)
ウェビナー告知やメール配信、SNS広告など実行します。例えば、新しいLPを作成して、SNS広告でABテストをする、などをして、その結果をまた観察していきます。(1に戻りループ)
このループを高速で回すことで、競合が多い市場でも迅速に対応し、顧客ペルソナの精度やマーケティング施策の効果を高められます。
上記ペルソナであれば、例えば下記の通りに運用していきます。
Observe(観察)
大月氏からの問い合わせ内容/過去商談での要望を蓄積→「工場現場の抵抗が主なボトルネック」などを確認
Orient(状況判断)
「セキュリティ強化+分かりやすい操作画面」を優先した提案が最適と判断
生成AIに「この新しい情報を加味してペルソナを再編集し、社長承認時の想定ハードルも書いて」と依頼
Decide(意思決定)
提案書に“工場オペレーション改善のROI試算”と“経営企画室への説得資料”を追加
Act(行動)
営業が新提案書を持ってオンライン商談→結果をまた観察に戻し、ペルソナ更新
ペルソナの具体的な活用法
1. 営業シナリオ・提案書の作成
各ペルソナに合わせ、最初の一言や提案の切り口を変えていきます。
例)情報システム部長ペルソナ → ROI や セキュリティ を強調
例)現場リーダーペルソナ → 作業効率 と サポート体制 を強調
提案書にも「このペルソナなら具体的コスト比較が欲しい」「このペルソナなら導入事例の生々しい声が刺さる」といった視点を取り入れていきます。
前述の例であれば、大月氏に合った「工場ラインの導入事例」「サポート体制」を最初に説明する、であるとか、といったことが考えられます。
2. コンテンツマーケティングの切り分け
ウェブ記事・ホワイトペーパー をペルソナ別に用意します。
「中小企業のIT部長向け:年間コスト削減とセキュリティ事例」
「経営者兼工場長向け:人手不足を解消する自動化ソリューション事例」
前述の例であれば、「製造業DXの始め方:工場長や社長の説得方法」など、大月氏が必要とする資料を提供していきます。
ダウンロードフォームで「ペルソナA用資料」を閲覧した人には、営業からセキュリティ面の詳細をフォローアップするなど ターゲット別追撃 も可能です。
3. セミナー・イベント運営
セミナー登壇内容をペルソナ視点でカスタマイズします。
経営者層が集まるなら、全体ROIや事例 を大きく
現場リーダーが集まるなら、具体的オペレーション・操作デモ を多めに
前述の例であれば「中小製造業の情報システム担当者向け」といったテーマで開催し、実例として大月氏のような悩みを取り上げる
受付時のアンケートで役職・課題を軽くヒアリングしておき、合致するペルソナに合わせた資料 を後日送ります。
4.社内外の関係性を高める
テクノロジーやフレームワークの導入だけでなく、人間関係のあたたかさや 共感が重要です。BtoBのペルソナ運用でも同じことが言えます。
「人」が中心: ペルソナに、「この担当者は業務効率だけでなく、部下との関係を大切にしている」「実は会社の理念に想いがある」など、ソフトな部分 も盛り込み、営業やサポートが心の面で共感・笑顔を作れるようにしていきます。
社内共有でチームの一体感: 「このペルソナさんは資料を読み込むタイプだから、サポートチームもドキュメントを充実させよう」など、部門間で協力していきます。チームのモチベーションも高まり、結果的に顧客にもプラスの笑顔が広がります。
まとめ
BtoBこそ「顧客ペルソナ」が不可欠
社内の複数ステークホルダーが絡む意思決定を踏まえ、担当者の悩みや目的を明確にすることで効果的な提案が可能です。
生成AIを活用して短時間で作成・更新
過去商談データをAIに入力→たたき台をもとに社内レビュー→OODAループで継続的に見直します。
笑顔工学的視点で“人間らしさ”や共感要素を重視
技術的なROIだけでなく、担当者の不安ややりがいにも寄り添い、相手が笑顔で導入を検討できる「ソフト」 も大切です。
具体的な活用事例
営業トーク、資料・LP、セミナー内容の最適化、ターゲットごとの追撃フォローなど、あらゆるマーケティング/営業施策にペルソナを落とし込んでいきます。
BtoBでは「企業対企業」という抽象的な視点に終始してしまうと、なかなか成果に結び付かないケースが多いです。だからこそ、「企業内の個人(=ペルソナ)」 をしっかりと捉え、OODAループ を駆使しながら、生成AIを活用して スピーディに作成・更新 してみてください。
そして、テクニカルな施策にとどまらず、担当者の「気持ち」にも寄り添うコミュニケーションが自然と生まれるようになれば、より確かな絆と成果に繋がるでしょう。ぜひ一歩を踏み出してみてください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この記事を少しでも良いと思っていただいたら「♡」を押して応援お願いします!noteのアカウントが無くても押せますので、気軽に押していただければ助かります!
もちろん、フォロー、フィードバックなどをいただければ、さらに喜びます。よろしくお願いします!
共に学び、成長し、笑顔あふれる社会を作り上げていきましょう。