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BtoBマーケティングと顧客ペルソナの設定

こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
笑顔工学って何??という方は、ぜひ自己紹介をご覧ください!

BtoBマーケティングは、取引先の「企業」に向けた提案と考えがちですが、その企業内で実際に製品導入を推進・決裁するのは 「特定の担当者」です。そこで活きてくるのが、「顧客ペルソナ」という概念です。

本記事では、

  1. なぜBtoBでもペルソナが必要なのか

  2. 生成AIを活用した短時間での作成方法

  3. OODAループ を使って常に更新するメリット

  4. 実際のペルソナ活用法

をまとめてご紹介します。

BtoBマーケティングの難しさとペルソナの必然性

複雑な意思決定プロセス

企業の購買に関する意思決定については、経営者や役員、現場リーダー、購買部門、技術担当など複数のステークホルダーが社内承認に関わるのが常です。そして、それは企業によって異なってきます。
BtoB特有の「稟議」「合議制」が存在していて、いくら現場担当者が乗り気でも決裁者がOKしなければ成立しません。

長期的な関係構築

商品にもよりますが、一度導入すると 5年、10年単位で使い続けるケースもあり、短期的な広告だけでは響きにくいものです。ここでは、人対人の関係(担当者とのやり取り、実際の困り事理解)が長期的な契約の決め手になってきます。

顧客ペルソナが不可欠な理由

BtoCと違い、「企業全体をターゲットとすればいい」と考えがちですが、実際には 「企業内の役職・部署・悩み」が異なります
意思決定に関わる人がどのような人か、というペルソナを細かく設定することで「どんな人がどんな課題・目的・心理状態を持っているか」をクリアにし、ヒットするメッセージアプローチ方法を導きやすいのです。

生成AIでペルソナを効率的に作成するステップ

では、ペルソナをどうやって作っていくのか、という具体的なステップですが、ここで生成AIを活用することを考えてみます。

以下、具体的なステップを考えてみました。

1. 社内の顧客データや商談メモをまず整える

過去6〜12ヶ月程度の 問い合わせ内容・商談履歴・課題 をExcel等を使って整理します。社内でよくある断り理由契約成功パターン も含めて一覧化すると良いでしょう。

2. 生成AIに「顧客一覧データ」を入力

ChatGPTなどの生成AIに、以下のようなプロンプトを与えていきます。

以下の顧客データを元に、BtoBマーケティングにおける
顧客ペルソナ例を3つ提案してください。

[データのCSVやリストを貼り付け]

出力形式:
1) ペルソナ名称・役職・経歴など
2) 所属企業規模・業種
3) 業務上の悩み・課題
4) 社内決裁フローのポイント
5) 必要とするソリューション・期待

ここでAIがまとめた初回提案を「たたき台」として活用し、社内フィードバックや追加指示を生成AIに再度入れることで短時間でブラッシュアップ可能です。
ただし、汎用生成AIを使う時は、機密情報や個人情報は入れないように注意してください。

下記くらいまで細かいペルソナが出てくるのが良いです。

1. ペルソナ名称・役職・経歴など
名前(仮):大月 竜二(おおつき りゅうじ)
年齢・性別:48歳・男性
役職:情報システム部長
最終学歴:専門学校卒(情報処理系)
経歴:入社当初は生産管理部に所属し、現場作業オペレーターとして現場改善などを経験30代後半で情報システム部門に異動し、基幹システム導入プロジェクトを推進40代前半で情報システム部長に就任し、全社DX推進リーダーを任されている
性格・特徴:叩き上げ気質:現場出身なだけに「根回し」や「職人気質の抵抗」をよく理解データで証明することが好きだが、あまりに理論一辺倒を嫌う “バランス重視”社内調整が得意だが、自身が決裁権をフルに持っているわけではないので、社長や役員のOKが必要

2. 所属企業規模・業種
会社名:大星精工株式会社(設立:1978年)
業種:金属加工・精密部品製造業
年商:35億円(グループ合計)
従業員数:450名(本社100名+工場2拠点 各150名)
工場数:2拠点(茨城工場・名古屋工場)
所在地:本社は東京都青梅市

3. 業務上の悩み・課題
現場作業のデジタル化が進まない
工場長やベテラン作業員が紙とExcelで慣れていて、抵抗が大きい
現状、トレーサビリティ情報を紙台帳で管理しており、監査のたびに苦労している
社内稟議のハードルが高い
社長は「DXをやれ」と口では言うが、実際の費用承認にはROIの明確化が必須
経営企画室が“投資回収期間3年以内でないとダメ”と厳しくチェックする
セキュリティ不安
ランサムウェアなどの脅威が増える中、社内システムをどう強化するか悩んでいる
しかし予算は限られ、ITに詳しくない役員の説得が必要

4. 社内決裁フローのポイント
第一関門
:情報システム部長である大月氏自身が各工場長と協議→現場の合意を取る
第二関門:経営企画室がコスト対効果を審査→3年以内の投資回収プランを要求
最終決裁者:社長兼会長(会社創業家出身)で、60代後半。地元志向が強いが、新技術に興味あり
現場リーダーの抵抗: 実際にシステム導入し運用するのは工場メンバー。彼らが納得しないと成功しない

5. 必要とするソリューション・期待
クラウド型の生産管理システム
現場が紙やExcelを止め、リアルタイムで在庫や稼働状況を確認できる
セキュリティ対策も含めた一括サポートが望ましい
工場系IoT導入サポート
一部ラインで自動化・稼働データ収集を検討→コストとメリットの試算を提示してほしい
簡単な操作・わかりやすいUI
現場作業者が年配者も多く、難解なシステムは敬遠される
導入研修や社内啓蒙
研修サポートや工場長への説明会を支援してほしい
ROI試算サポート
経営企画室が納得する数値をシステムベンダー側から積極的に提供してほしい

ChatGPTによる出力

3. こまめな更新を前提とする

BtoBの顧客ニーズは刻々と変化するので、月1回や四半期ごとに「最近の商談データ」を再度AIに読み込ませ、ペルソナを更新していきます。
OODAループ (観察→判断→決定→行動)で 絶えず改訂 していくのが理想です。

ペルソナ×OODAループ

ここで、OODAループという考え方で、常に柔軟にペルソナを改訂し続けることを提案します。

OODAループとは?

  1. Observe(観察)

  2. Orient(状況判断)

  3. Decide(意思決定)

  4. Act(行動)

OODAループは、PDCAより短い周期で回せるフレームワークとして注目されています。BtoBマーケティングでは「小さな施策を素早く試し、結果で次を判断」という戦術に向いています。

適用例

  1. Observe(観察)

    • 新規問い合わせやSNS反応、営業ヒアリングなど収集→AIに投げ、「最近こういう要望増えてる」「予算規模が小さい会社が多い」などを把握します。

  2. Orient(状況判断)

    • ではペルソナの設定を少し変更しよう、今は中堅企業の情報システム部長が最優先ターゲットだ、などと方向づけを人間が行います。

  3. Decide(意思決定)

    • 具体策として「ウェビナーをそのペルソナ向けに開催」「LPをセキュリティ面を強調する形に修正」などの意思決定を行います。

  4. Act(行動)

    • ウェビナー告知やメール配信、SNS広告など実行します。例えば、新しいLPを作成して、SNS広告でABテストをする、などをして、その結果をまた観察していきます。(1に戻りループ)

このループを高速で回すことで、競合が多い市場でも迅速に対応し、顧客ペルソナの精度やマーケティング施策の効果を高められます。

上記ペルソナであれば、例えば下記の通りに運用していきます。
Observe(観察)
大月氏からの問い合わせ内容/過去商談での要望を蓄積→「工場現場の抵抗が主なボトルネック」などを確認
Orient(状況判断)
「セキュリティ強化+分かりやすい操作画面」を優先した提案が最適と判断
生成AIに「この新しい情報を加味してペルソナを再編集し、社長承認時の想定ハードルも書いて」と依頼
Decide(意思決定)
提案書に“工場オペレーション改善のROI試算”と“経営企画室への説得資料”を追加
Act(行動)
営業が新提案書を持ってオンライン商談→結果をまた観察に戻し、ペルソナ更新

ペルソナの具体的な活用法

1. 営業シナリオ・提案書の作成

  • 各ペルソナに合わせ、最初の一言提案の切り口を変えていきます。

    • 例)情報システム部長ペルソナ → ROIセキュリティ を強調

    • 例)現場リーダーペルソナ → 作業効率サポート体制 を強調

  • 提案書にも「このペルソナなら具体的コスト比較が欲しい」「このペルソナなら導入事例の生々しい声が刺さる」といった視点を取り入れていきます。

  • 前述の例であれば、大月氏に合った「工場ラインの導入事例」「サポート体制」を最初に説明する、であるとか、といったことが考えられます。

2. コンテンツマーケティングの切り分け

  • ウェブ記事・ホワイトペーパー をペルソナ別に用意します。

    • 「中小企業のIT部長向け:年間コスト削減とセキュリティ事例」

    • 「経営者兼工場長向け:人手不足を解消する自動化ソリューション事例」

    • 前述の例であれば、「製造業DXの始め方:工場長や社長の説得方法」など、大月氏が必要とする資料を提供していきます。

  • ダウンロードフォームで「ペルソナA用資料」を閲覧した人には、営業からセキュリティ面の詳細をフォローアップするなど ターゲット別追撃 も可能です。

3. セミナー・イベント運営

  • セミナー登壇内容をペルソナ視点でカスタマイズします。

    • 経営者層が集まるなら、全体ROIや事例 を大きく

    • 現場リーダーが集まるなら、具体的オペレーション・操作デモ を多めに

    • 前述の例であれば「中小製造業の情報システム担当者向け」といったテーマで開催し、実例として大月氏のような悩みを取り上げる

  • 受付時のアンケートで役職・課題を軽くヒアリングしておき、合致するペルソナに合わせた資料 を後日送ります。

4.社内外の関係性を高める

テクノロジーやフレームワークの導入だけでなく、人間関係のあたたかさ共感が重要です。BtoBのペルソナ運用でも同じことが言えます。

  • 「人」が中心: ペルソナに、「この担当者は業務効率だけでなく、部下との関係を大切にしている」「実は会社の理念に想いがある」など、ソフトな部分 も盛り込み、営業やサポートが心の面で共感・笑顔を作れるようにしていきます。

  • 社内共有でチームの一体感: 「このペルソナさんは資料を読み込むタイプだから、サポートチームもドキュメントを充実させよう」など、部門間で協力していきます。チームのモチベーションも高まり、結果的に顧客にもプラスの笑顔が広がります。

まとめ

  1. BtoBこそ「顧客ペルソナ」が不可欠

    • 社内の複数ステークホルダーが絡む意思決定を踏まえ、担当者の悩みや目的を明確にすることで効果的な提案が可能です。

  2. 生成AIを活用して短時間で作成・更新

    • 過去商談データをAIに入力→たたき台をもとに社内レビュー→OODAループで継続的に見直します。

  3. 笑顔工学的視点で“人間らしさ”や共感要素を重視

    • 技術的なROIだけでなく、担当者の不安ややりがいにも寄り添い、相手が笑顔で導入を検討できる「ソフト」 も大切です。

  4. 具体的な活用事例

    • 営業トーク、資料・LP、セミナー内容の最適化、ターゲットごとの追撃フォローなど、あらゆるマーケティング/営業施策にペルソナを落とし込んでいきます。

BtoBでは「企業対企業」という抽象的な視点に終始してしまうと、なかなか成果に結び付かないケースが多いです。だからこそ、「企業内の個人(=ペルソナ)」 をしっかりと捉え、OODAループ を駆使しながら、生成AIを活用して スピーディに作成・更新 してみてください。

そして、テクニカルな施策にとどまらず、担当者の「気持ち」にも寄り添うコミュニケーションが自然と生まれるようになれば、より確かな絆と成果に繋がるでしょう。ぜひ一歩を踏み出してみてください!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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