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【山形ワイン旅】宿泊施設も開業! ウッディファーム&ワイナリーが奥田政行シェフとコラボランチ
山形県上山市にあるウッディファーム&ワイナリーが敷地内に宿泊施設を9月1日(金)にオープン。キッチンやベッド、サウナなどが完備された宿泊施設に泊まりながら、ブドウ栽培や醸造の体験、地元シェフによる出張料理とワインのペアリングなどを楽しめるようになりました。開業を記念して先日、山形出身の有名シェフ「アル・ケッチァーノ」の奥田政行氏とコラボレーションをしてペアリングランチも開催。その様子をレポート。
自然に囲まれた蔵王のふもとでワイナリーに宿泊、醸造体験も魅力
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東京から山形新幹線で約2時間30分、かみのやま温泉駅へ到着。駅からさらに車で約15分。四方をぐるりと山に囲まれた山形県村山盆地の最南端にウッディファーム&ワイナリー(以降、ウッディファームの表記、経営:蔵王ウッディファーム)があります。
この辺りは果物の栽培が盛んな土地で、ウッディファームも自社畑でブドウを栽培してワインを醸造する他に、さくらんぼ・ラフランス・ブルーベリーなどの果物も栽培。施設内の食品工房にてジャムやドライフルーツなどの果物加工品の製造もしています。
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醸造場やテイスティングルーム、ショップなどがあるウッディファームの敷地内に今回オープンしたのが、宿泊が可能なコテージ2棟。最大6名が宿泊できるグループ客用の棟と、3名が宿泊できる家族客向けの棟のふたつ。
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どちらの部屋にも遠赤外線効果が期待できるサウナやお風呂、キッチン、ベッド、洗濯機などが完備されています。
オプションで平日は近隣のシェフに依頼すればシェフズキッチンとしても利用が可能。近隣で食材を購入して、自分たちで調理や料理を持ち込むこともできます!もちろんワインやジュースがほしくなったら隣のショップからすぐに購入が可能。
季節によっては、目の前に広がるブドウ畑で収穫や散策、醸造なども体験でき、ワインのテイスティングやペアリングなど、ワインが好きな方にはたまらない非日常の時間をゆったりと過ごせます。料金は1人当たり税込1万6,500円から。
天然鮎(あゆ)は脂が美味!奥田氏の美食へのいざないにうっとり
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開業に先立ち、ワイナリー内のテイスティングルームで一般客向けにペアリングランチのイベントが開催されました。テイスティングルームといってもキッチンに本格ピザ窯が設置された50席ほどの広さ。「アル・ケッチァーノ」(山形県鶴岡市)のオーナーシェフ奥田政行氏が自ら腕をふるってくれるとあり、会場は満席。
まず奥田シェフは、「うちの店に来たお客様に、ワインは欧州系と日本ワインとどちらにしましょうか?と確認すると、たいてい両方と答えられます。そういう時は迷わず“ウッディファーム推し”です」とスピーチ。
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ウッディファームの木村義廣社長の話によると、自社の畑で栽培したブドウのみを使用した、いわゆるドメーヌワインを造っており、欧州品種の赤 カベルネ・ソービニヨンが自社の作付面積では最大とのこと。白ワインはスペイン原産のアルバリーニョという珍しい品種のワイン造りにも注力しているとのこと。
1品目の「サーモンの燻製とサワークリーム 山形蕎麦のブリニス」には、同じサーモンピンク色のワインを合わせて。美しい見た目にまずはうっとり♡塩味の効いたサーモンのうまみ、サワークリームの酸味・まろやかさ、ブリニスに使われている黒こしょうの香りが、とても楽しいバランス。
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2品目で奥田シェフは「鮎(あゆ)のおいしさはその脂なんです!」と熱く説明。鮎は香魚と言われるだけに、その香りだけに注目しがちでしたが、シェフは天然鮎の脂にも注目。脂ののった鮎を扱う数少ない生産者から厳選して仕入れて天火焼きに。
鮎から落ちてくる脂のうまみ、内臓からの芳醇(ほうじゅん)なほろ苦さをナスが吸い込み、トッピングの香草とも見事に合って最高のおいしさ。奥田シェフによると、あえて大きすぎない鮎を選んでいるのだとか。
はつらつとした酸味やミネラル感が印象的なアルバリーニョの白ワインが好相性。新しいおいしさに参加者からたくさんの笑みがこぼれました。
奥田シェフ自らが客席でお替わりをサーブ!客席は感動のうずに
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3品目「さくらんぼ鶏のラビオリ」には、標高250mの植ノ山で栽培されたシェルドネの白ワイン。野生酵母を使って樽(たる)で熟成させた上級キュベ。コクのあるチーズをまとったラビオリと、酸味とコクの上質なバランスの白ワインを堪能。
「ゆで論」という著書本を出されるほど、独自のパスタ理論を展開して話題の奥田シェフですが、この日はパスタ解説よりも客席でシェフ自らがお替わりをサーブしてくれて大盛り上がり。
慣れないキッチンで大忙しだったはずの奥田シェフが、客席で気さくに写真撮影にも対応してくれるとは!私もシェフからキメのポーズ(上写真)をいただきました♡
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「豚肉を2回かんでからスイカのみずみずしさを味わってみて〜」という奥田シェフの言葉で4品目はスタート。肉をスイカと一緒に味わう意外性に最初は驚きの表情だったお客たちが、まるでオセロゲームのように続々と笑顔に反転していく様子が楽しかった一品。
ジュージーなスイカによって豚肉のうまみが引き出されて重くなく、肉の塩味がスイカにも行き渡って面白いほどによく合うのです。「スイカは土くさいから苦手」と話されていた近くのお客様も一気に平らげておられました。ピスタチオやフレッシュバジルも肉のおいしさを引き立ててくれます。
庄内豚とスイカ、スイカと赤ワイン…美食ハーモニーのループ
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豚肉とスイカの一品に合わせたカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランからなる赤ワインが、また別次元のおいしさを生み出していました。スイカのウリ科ならではの風味と、カベルネ・フランの特有の青っぽい香りがとても良く合うのです。
豚肉×スイカ、スイカ×カベルネ・フラン由来の青い風味のワイン、カベルネ・ソーヴィニヨンらしいハーブの香りの赤ワイン×香草&ピスタチオと、おいしいハーモニーが幾重にもなって押し寄せ、すぐにまた食べたいと思いました。
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5品目の「米沢牛とセロリのトマト煮 ヴァチナーラ」にはカベルネ・ソーヴィニヨン100%の赤ワイン。
ウッディファームの栽培責任者でもある木村社長は「メルローやシラーを収穫した後にカベルネ・ソーヴィニヨンを収穫します。メルローは晩腐病に弱い品種なのでそこでまず緊張が高まり、カベルネ・ソーヴィニヨンの収穫にたどり着くまで幾難も乗りこえてようやく、という感じです」とその苦労を語ってくれました。
2020年ヴィンテージの赤ワインはハーブの香りが穏やかに香ります。トマト煮のセロリの風味とも相性が抜群。今回のペアリングワインのために、奥田シェフはいつも以上にハーブなどで料理のフレーバーをより効果的に演出しているように感じました。
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6品目は「じゃが芋のニョッキ チーズクリームソース」にカベルネ・フランの赤ワイン。ニョッキの表面を香ばしくあぶっており、そのあぶりの香りとほろ苦さが赤ワインに深みを与えていました。ドルチェは麦茶とカラメルで作ったアフォガード。後味が軽やかな夏のアフォガード。
ウッディファームでは11月5日(日)に収穫祭が開催されるようです。奥田シェフもまた参加されるとか(急に予定が変更になることもあるのでホームページなどをチェックしてみて)。
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かみのやま温泉駅前には2023年4月にオープンした「山形ワインカーヴ」があり、店内のスタンディングカウンターや屋外のテーブル席で地元のワイナリーなどのワイン10種類以上をグラスワインで味わったり購入したりできます。
さらに近隣では蔵王観光、上山城の散策、果樹園やかみのやま温泉めぐりも楽しめます。ぜひこの機会にウッディファームに出かけてみては?
ウッディファーム&ワイナリー
http://www.woodyfarm.com/
所在地:山形県上山市原口829
アクセス:車で来られる方、国道13号線から10分/電車でこられる方、JRかみのやま温泉駅から車で15分
電話:023-674-2343
定休日:1.ショップ 日曜日休業
2.宿泊施設 日曜休業(チェックインは不可、チェックアウトは可能)
※日曜日をはさんでの連泊は可能