温故知新(38)ストーンサークル 大湯環状列石 出羽三山 道祖神 猿田彦命(猿田毘古神) シュメール ハドソン湾 サギノー湾 ストーンヘンジ サーペント・マウンド 慶良間諸島 諏訪大社 チチェン・イッツァ
イギリスの考古学者アルフレッド・ワトキンスは、1921年にストーンサークルや古代の石積み、教会といった古代史跡が一直線上に並んでいることを発見し、この直線を「レイライン(Ley Line)」と名付けました。日本のストーンサークルについてもレイラインとの関係が考察されていますが、主たるストーンサークルを比較すると、時代と共に列島を北上しているようです。
秋田県鹿角市にある大湯環状列石(北緯40度16分)は、オリンポス山(北緯40度05分)とほぼ同緯度にあり、大湯環状列石とオリンポス山を結ぶラインの近くには、護國山 観音院 久渡寺(弘前市)や岩木山神社(弘前市)があります(図1)。大湯環状列石の北東には山の形がピラミッドに似ている黒又山があり、オリンポス山と黒又山を結ぶラインの近くには十一面観音を本尊とする日照田観音(高倉神社)や青森県で最高峰の岩木山があります(図1)。岩木山の麓には、大規模な環状列石のある大森勝山遺跡があります。黒又山は、通称クロマンタと呼ばれ、アイヌ語の「クルマクタキシタ」の語源から「神の野の山」という意味だそうです。黒又山は、地中レーダーによって、山全体が石で造られた7段から10段のテラス構造になっている事が確認されていて、大湯環状列石との関連の可能性が指摘されています。
大湯環状列石とモロッコの「神の国」を意味するマラケシュを結ぶラインは、縄文時代の小坂環状列石墳墓(秋田県鹿角郡小坂町)や、遮光器土偶が出土した亀ヶ岡石器時代遺跡の近くを通ります(図2)。
山形県長井市の環状列石(北緯38度08分)は、チャタル・ヒュユク(北緯37度40分)と比較的近い緯度にあり、福島県相馬郡飯舘村の虎捕山にある山の神「大山津見神」を祀る山津見神社とチャタル・ヒュユクを結ぶラインの近くにあります。このラインの近くには、安久津八幡神社(山形県東置賜郡高畠町)があります(図3)。
大湯環状列石と武甲山(妙見山)を結ぶラインは、大国主神社(秋田県仙北市)、庭月山 月蔵院(山形県最上郡)、本道寺口ノ宮 湯殿山神社(山形県西村山郡)、環状列石(長井市)、福満虚空蔵菩薩 圓蔵寺(福島県河沼郡)の近くを通ります(図4)。
図4のラインと武甲山と丹生都比売神社を結ぶライン、丹生都比売神社と大湯環状列石を結ぶラインで三角形描くと、丹生都比売神社と大湯環状列石を結ぶラインは、武甲山とチャタル・ヒュユクを結ぶラインとほぼ直角に交差します(図5)。武甲山とチャタル・ヒュユクを結ぶラインは、信濃国分寺の近くを通り、丹生都比売神社と大湯環状列石を結ぶラインの近くには、大物主大神を祀る三輪神社(岐阜県揖斐郡揖斐川町)があります(図5)。
羽黒山は多くのレイラインが交差する山として知られています。崇峻天皇(厩戸皇子、聖徳太子と推定)の皇子・蜂子皇子が開山したと伝わる出羽三山の羽黒山と天之御中主大神を祀る妙見本宮 千葉神社を結ぶラインは、湯殿山神社本宮(鶴岡市)、環状列石(長井市)、筑波山神社、千勝神社(つくば市)の近くを通ります(図6)。
図6のラインと、妙見本宮 千葉神社と豊受大神宮(外宮)、豊受大神宮(外宮)と羽黒山を結ぶラインで三角形を描くと、豊受大神宮(外宮)と羽黒山を結ぶラインは、妙見本宮 千葉神社とギョベクリ・テペを結ぶラインとほぼ直角に交差します(図7)。妙見本宮 千葉神社とギョベクリ・テペを結ぶラインの近くには、金鑚神社(かなさな)(埼玉県児玉郡神川町)があります(図7)。妙見本宮 千葉神社と豊受大神宮(外宮)を結ぶラインは、相模国一之宮 寒川神社(神奈川県高座郡寒川町)、奥磐戸神社(静岡県磐田市)の近くを通り、豊受大神宮(外宮)と羽黒山を結ぶラインは、真言宗菅谷寺(菅谷不動尊)(新潟県新発田市)の近くを通ります(図7)。
日本最古と考えられているストーンサークルは、長野県諏訪郡原村にある阿久遺跡(あきゅういせき)で、年代は縄文時代前期、約7000~5500年前の大集落と判明し、出土した土器などから全国各地から人が集まるような中心地だったことがうかがえるといわれています。阿久遺跡とメンフィス博物館を結ぶラインの近くには、諏訪信仰発祥の地と伝えられる諏訪大社上社前宮や諏訪大社上社本宮があります(図8)。このラインは、縄文時代中期(約5000年前)の棚畑遺跡と長野県駒ヶ根市にある高烏谷神社(たかずやじんじゃ)を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図8)。諏訪大社上社本宮は、レイラインでロドス島とつながっていますが、阿久遺跡は北緯35度57分にあり、ロドス島(北緯36度10分)とほぼ同緯度にあります。
ハドソン湾とアスワンを結ぶラインは、スカラ・ブレイとラス・ダシャン山を結ぶラインと重なり、オリンポス山、ディミニ、ブラウロンの遺跡、クレタ島の古代都市ラトの近くを通ります(図9)。
1960年代に地球の重力場を地図化し始めた時、ハドソン湾に広大な低重力が観測されています。クレーターのような形状から、先カンブリア時代に起きた天体衝突の衝撃によって形成されたと主張した地質学者がいましたが、現在まで確実な証拠は見つかっていないようです。ハプグッドの理論によれば、17,000~12,000年前には、ハドソン湾に北極があり、ランド・フレマスは、ハドソン湾の旧北極時代には多くの聖地が、北緯10Φ(16.11度)にあったことを発見しています1)。ハドソン湾からの距離は、バールベック(かつての緯度16.09)が8,300km、マチュピチュ(かつての緯度16.33)が8,212kmですが、ギョベクリ・テペは8,088kmで、かつての北緯10Φ(16.11度)よりはやや北にあります。
大湯環状列石は、ギョベクリ・テペに比較的近い8,125kmで、ハドソン湾と日本仏教三大霊山の一つとされる身延山(山梨県南巨摩郡早川町)を結ぶラインの近くにあります(図10)。このラインは、アイヌ語で「カムイミンタラ」(神々の宿る庭)と称される大雪山旭岳(写真トップ)、月山、御神楽岳、武尊山(ほたかやま)、みなかみ三峯神社(群馬県利根郡みなかみ町)、高天原山(たかまがはらやま)、金峰山など山岳信仰の地を結んでいます(図10)。旭岳、月山、武尊山には一等三角点(三角測量に用いる際に経度・緯度・標高の基準になる点)が設置され、御神楽岳や高天原山には、二等三角点が設置されているので、これらの山は、古代にも測量に使ったのかもしれません。
図10の大湯環状列石と身延山を結ぶラインの近くには、出羽三山神社(羽黒山神社)があります(図11)。身延山と大山祇神社を結ぶラインは摩耶山の近くを通り、大山祇神社と大湯環状列石を結ぶラインは、瀧神社(奥の院)の近くを通ります(図11)。また、見延山とパレルモを結ぶラインは剣ヶ峰と乗鞍大権現の間を通り、大山祇神社と大湯環状列石を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図11)。
ハドソン湾と三峯神社 奧宮を結ぶラインの近くに長井市の環状列石があり、ハドソン湾からの距離は8,371kmで、バールベックの8,300kmに比較的近い、ほぼかつての北緯10Φ(16.11度)にあります。ハドソン湾と三峯神社 奧宮を結ぶラインの近くには、天照皇大神を祀る三戸大神宮(さんのへだいじんぐう)(青森県三戸郡三戸町)、倉稲魂命などを祀る羽黒神社(山形県西置賜郡白鷹町)、獅子舞で知られる山ノ神神社(山形県西置賜郡飯豊町)、木花佐久夜毘売命を祀る産泰神社(群馬県前橋市)、御室山(御室ヶ獄)を神体山とする武蔵国二宮 金鑚神社(かなさなじんじゃ)(埼玉県児玉郡神川町)などがあります(図12)。
図13の環状列石(長井市)と三峯神社 奧宮を結ぶラインと、三峯神社 奧宮と沖の白石を結ぶライン、沖の白石と環状列石を結ぶラインで三角形を描くと、三峯神社 奧宮とパレルモを結ぶラインは、沖の白石と環状列石(長井市)を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図13)。これらのラインの近くには、甲斐駒ケ岳、美濃國分寺、櫻山八幡宮(高山市)、戸隠神社 中社があります(図13)。
三峯神社 奧宮とロドス島を結ぶラインは信濃国分寺を通り、環状列石(長井市)と豊受大神宮(外宮)を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図14)。これらのラインの近くには、武田神社(山梨県甲府市)、恵那神社(岐阜県中津川市)、布引山 釈尊寺(布引観音)(長野県小諸市)、御神楽岳、小鹿神社(埼玉県秩父郡小鹿野町)があります(図14)。
ハドソン湾と上野原遺跡を結ぶラインの近くには、大麻山神社、熊野大権現(島根県鹿足郡吉賀町)、西叡山 高山寺(大分県豊後高田市)、幣立神宮、高千穂峰などがあります(図15)。ハドソン湾から上野原遺跡までの距離は9,324kmで、ハドソン湾からアブ・シンベル神殿までの9,259kmに比較的近い距離です。
図16のラインの西叡山 高山寺周辺には、ストーンサークルのある猪群山(豊後高田市)や米神山(宇佐市)があり、杵築市山香町には下山環状列石があります(図16)。ハドソン湾から下山環状列石までの距離は9,123kmで、ハドソン湾からアスワンまでの距離9,144kmとほぼ一致します。
ハドソン湾と札幌市にある藻岩山を結ぶラインの延長線は、松平東照宮に近い猿田毘古神(猿田彦神)、塩椎神(しおつちのかみ)を祀る六所神社(愛知県豊田市坂上町)の近くに到達します(図17、18)。藻岩山は、アイヌ語で「インカルシペ(インカルシュペ)」(いつも登って見張りをするところ)と呼ばれ、また、アイヌ民族の聖地で、尊い神の山でした。
藻岩山と六所神社を結ぶラインの近くには、新潟県の春日神社(上越市春日)、戸隠神社 中社(長野市)、穂高神社(安曇野市)、御嶽神社 若宮(木曽郡木曽町三岳)などがあります(図19)。天岩戸神話の舞台である戸隠山のふもとにある戸隠神社には、地主神として、水と豊作の大神の九頭龍大神を祀っています。
猿田彦神は、天孫降臨の際に道案内をしたということから、道の神、旅人の神とされるようになり、道祖神と同一視され、全国各地で塞の神・道祖神として祀られているようです。岩田氏は、王と王妃が手をつないだ古代シュメールの塑像(写真1左)と長野県にある道祖神は、夫婦の配置や手の位置などがまったく同じモチーフであることを指摘しています2)。安曇野市の穂高(図20)には夫婦道祖神が多いことで知られていますが、上田市の塩田平(図21)にも夫婦道祖神があります(写真1右)。
塩田平周辺には、古来の太陽信仰に関係するとみられる信濃国分寺を通るレイラインが存在するとされ、2020年にこの地域一帯が「日本遺産」に認定されています。穂高岳と榛名山を結ぶラインのほぼ中央に信濃国分寺があり、榛名山と穂高神社 奥宮を結ぶラインの近くに生島足島神社や北向観音堂(別所温泉)があります(図21)。
山形県長井市の環状列石と剣山を結ぶラインは、貴船神社 奥宮、瓊瓊杵尊が降臨した「高千穂峰」と推定される摩耶山や伊弉諾神宮の近くを通ります(図22)。摩耶山周辺の神戸市には、多くの猿田彦神社(神戸市兵庫区、灘区、須磨区、垂水区)があります(図23)。剣山山頂には一等三角点、摩耶山山頂には三等三角点が設置されています。三保松原と剣山を結ぶラインの近くには丹生川上神社や丹生都比売神社があり、三保松原とオリンポス山を結ぶラインは、御嶽神社 里宮(王滝口)、飛騨一宮 水無神社などの近くを通り、環状列石と剣山を結ぶラインとほぼ直角に交差します(図22)。
猿田彦命は、猿田彦大神を祀る神社の総本社とされる椿大神社(つばきおおかみやしろ)(三重県鈴鹿市)にも祀られていて、社伝によれば、垂仁天皇27年、倭姫命に下った神託により、猿田彦大神の墳墓の近くに「道別大神の社」として社殿が造営されたのを創始とするようです。猿田毘古神のY染色体ハプログループは、縄文系の日本固有種であるC1a1系統のようです。椿大神社とギョベクリ・テペを結ぶラインは椿大神社奥宮と真名井神社(籠神社奥宮)の近くを通ります(図24)。眞名井神社の裏には古代の祭祀形態である磐座が鎮座し、縄文時代から神聖な地とされていたと推定されています。
1930年代に、中央アメリカのコスタリカ南東部にあるディキ・デルタと呼ばれる一帯から、花崗岩でつくられた大小さまざまな石球が発見されました。ディキ・デルタから発見される遺物は、紀元前12,000年ごろから紀元後500年にまで及んでいます。コスタリカ大学のアイヴァー・ザップ教授は、石球の元の位置を調べた結果、しばしば3個1組で三角形に配置されていることに気づき、場合によっては45個の石球が直線状に配置されていることを見つけました3)。さらに、アイヴァー・ザップ教授は、1921年に「発見」されたレイラインを参考にして、三角形の1辺が極北極を指していることを見つけ、残りの2辺は巻き尺と地球儀を使って調べたところ、球体が発見されたパーマー・スルから延びた1本の直線はまっすぐココス島を指し、さらにガラパゴス島を通ってイースター島に達していました3)。また、他のラインには、ジブラルタル海峡や大ピラミッドやストーンヘンジを指しているものもありました3)。これは、かつて北極点があったハドソン湾を指標としているレイラインの三角形(図11、12、14、15)と類似しています。
フリーの研究者、化学者、コンピューター科学者のアントニオ・ザモラは、2017年に発表した氷河氷・衝突仮説で、ミシガン州のサギノー湾は12,800年前にヤンガードリアス彗星の破片の一つによって形成されたと主張しています4)。サギノー湾の東側に、古代のペトログリフが描かれた遺跡のある観光名所「サニラック・ペトログライフズ・ヒストリック州立公園」があります(図25)。2007年に、ノースウェスタンミシガン大学のマーク・ホリー教授(水中考古学)は、ミシガン湖の底で、約1万年前に絶滅したマストドンの姿が彫刻された丸石と、ストーンヘンジに似た方法で配置された一連の巨石を発見したと報告しています。
世界文化遺産として1986年に登録されたイギリス南部のソールズベリーから北西に13km程に位置するストーンヘンジは、古代ブリトン人により、紀元前3000年から紀元前2000年にかけて、数回の段階を経て建造されたと推定されています5)。ストーンヘンジを構成する立石と穴には、多くの天文学的方位が隠されていて、トリリトン馬蹄形に配置された最大の巨石は50トンの重さがあります5)。ストーンヘンジは、サギノー湾とアテネを結ぶラインと、イタリアのシチリア島北西部のパレルモとハドソン湾を結ぶラインとの交点の近くにあります(図26)。パレルモの基礎はフェニキア人によって築かれたといわれています。
サギノー湾とストーンヘンジを結ぶラインの延長線とハドソン湾とキャッスルリッグ・ストーン・サークルを結ぶラインの延長線の交点付近にレンツブルク城があります(図27)。レンツブルク城の近くにあるゴッフェルスベルクで、紀元前4,300~3,500年頃のコルタイヨード文化の新石器時代 の墓場が発見されています(図27)。
イングランド北西部カンブリア州にあるキャッスルリッグ・ストーン・サークルは、ストーンサークルのあるカラニッシュとパリを結ぶラインの近くにあります(図28)。パリの語源はParisiiで、ローマ人が入ってくる以前からの先住民であるケルト系部族の、ローマ側からの呼称です。このラインはロンドンを通り、聖ミカエルの山とベリー・セント・エドマンズを結ぶ聖ミカエルラインとほぼ直角に交差します(図28)。ロンドン周辺にはケルト系のブリトンの集落跡が点在した形跡が確認されています。聖ミカエルラインにあるエーヴベリー(Avebury) は、3つのストーンサークルを含んだ新石器時代のヘンジで、グラストンベリーは、アーサー王伝説で知られています。カラニッシュと聖ミカエルの山を結ぶラインの近くには、紀元前2,500年~紀元前2,000年頃のゴーワード・ドルメン(Goward Dolmen)があります(図28)。
カラニッシュと聖ミカエルの山を結ぶラインは、スケリッグ・マイケルとベリー・セント・エドマンズを結ぶラインとほぼ直角に交差します(図29)。カラニッシュとスケリッグ・マイケルを結ぶラインの近くには、モイン修道院(Moyne Abbey)があります(図29)。ベリー・セント・エドマンズとカラニッシュを結ぶラインの近くには、中石器時代の考古学的遺跡で「英国最古の家」、ヨーロッパにある最古の大工仕事の証拠などが見つかったスター・カー遺跡(Star Car)があります(図29)。
ベリー・セント・エドマンズとサーペイント・マウンド(オハイオ州)を結ぶラインは、アイルランドのケシュの洞窟(Keshcorran Caves)の近くを通り、スケリッグ・マイケルとカラニッシュを結ぶラインとほぼ直角に交差します(図30)。これは、ヨーロッパの古代文明とアメリカ大陸の古代文明のつながりを示していると推定されます。
沖縄市とサギノー湾を結ぶラインは、大汝牟遅神社(おおむなちじんじゃ)(鹿児島県日置市)、肥後一之宮 阿蘇神社(熊本県阿蘇市)、市寸島比売命を祀る厳嶋神社(山口県周南市)、大神ヶ嶽神社(だいじんがだけじんじゃ)(島根県益田市)、八咫烏の伝説が残っている石見國二之宮 多鳩神社(たばとじんじゃ)(島根県江津市)の近くも通ります(図31)。多鳩神社は、積羽八重事代主命(エビス様)を祀っています。また、ハドソン湾と沖縄市を結ぶラインは、高祖山の西麓に鎮座し、彦火々出見命、玉依姫命、息長足姫命(神功皇后)を祀る高祖神社(たかすじんじゃ)(福岡県糸島市)、日本三大稲荷のひとつの祐徳稲荷神社(佐賀県鹿島市)の近くを通ります(図31)。
沖縄市とサギノー湾を結ぶラインの近くには、ストーンサークル登母祖公園(熊本県阿蘇郡高森町)、下山環状列石(大分県杵築市山香町)、猪群山のストーンサークル(豊後高田市臼野)があります(図32)。
沖縄県のストーンサークルは、ヤハラヅカサ、粟国島、慶良間諸島が知られています。これらを結んで三角形を描き、ヤハラヅカサと粟国島を結ぶラインと直角になるように、慶良間諸島からラインを引くと、諏訪大社 上社 本宮(諏訪市)の近くを通り、メキシコ南部のユカタン半島にあるマヤ文明の遺跡、チチェン・イッツァに到達します(図33、34、35)。これは、日本の古代文明とアメリカ大陸の古代文明のつながりを示していると推定されます。
ハドソン湾と豊受大神宮を結ぶラインの近くには、日吉社(新潟県糸魚川市)、福徳稲荷大明神(岐阜県中津川市加子母)、虎渓山 永保寺(多治見市)、大御堂寺 野間大坊(愛知県知多郡美浜町)、豊受大神宮(外宮)とサギノー湾を結ぶラインの近くには、善光寺(長野市)、鳥海山大物忌神社(山形県飽海郡遊佐町)、大湯環状列石があります(図36)。
ハドソン湾と剣山を結ぶラインの近くには、養父神社(兵庫県養父市)、安志加茂神社(姫路市)があり、剣山とサギノー湾を結ぶラインの近くには、元伊勢籠神社(京都府宮津市)、徐福を祀った新井崎神社(京都府与謝郡伊根町)があります(図37)。
約10,600年前の集落が発見された上野原遺跡とサギノー湾を結ぶラインの近くには、霧島神宮、山の神神社(宮崎県小林市)、木下磨崖仏(大分県豊後大野市)、大分県大分市寒田にある神功皇后所縁の豊後一ノ宮 西寒多神社(ささむたじんじゃ)、「鏡岩」を御神体とする志都岩屋神社(島根県邑智郡邑南町岩屋)、『出雲風土記』にもあり、古来須佐之男命の本宮とされた出雲市佐田町須佐の須佐神社(須佐大宮)、須賀神社(松江市秋鹿町)、三島神社(女島神社)(松江市魚瀬町)などがあります(図38)。
図38のラインは、霧島神宮古宮跡(こぐうし)の近くも通ります(図39)。古宮址は、高千穂河原にある霧島神宮の跡地で、現在は、天孫降臨神籬斎場(てんそんこうりんひもろぎさいじょう)があり、霧島神宮による祭事が行われています。霧島神宮は高千穂峰が天孫降臨の伝承地とされることから、現在は日向三代にまつわる神々が祀られていますが、元々は高千穂峰そのものを信仰の対象とする山岳信仰から始まった神社であると考えられています。
武甲山(妙見山)とハドソン湾を結ぶラインは、男体山、堂森善光寺(山形県米沢市)、天之御中主神と宇迦之御魂大神を祀る九戸神社(岩手県九戸郡九戸村)、弁財天を祀る撫島神社(青森県八戸市)の近くを通り、サギノー湾と武甲山を結ぶラインは、崎山貝塚縄文の森ミュージアム、金沢山大勝院(岩手県上閉伊郡大槌町)、大嶽山興福寺(宮城県登米市)、大高山神社(宮城県柴田郡大河原町)、八海山神社(栃木県矢板市)の近くを通ります(図40)。
千葉県船橋市の船橋大神宮(意富比神社)とハドソン湾を結ぶラインの近くには金谷神社(茨城県小美玉市)、大仁田地蔵尊(茨城県常陸太田市)、高野山真言宗寂照院(常陸太田市)、花園神社 奥の院峰(北茨城市)、山津見神社(福島県双葉郡川内村)、相馬小髙神社(福島県南相馬市)があり、サギノー湾と船橋大神宮を結ぶラインの近くには、大甕神社(茨城県日立市)、酒門神社(水戸市)があります(図41)。
ヨーロッパと日本で、北アメリカのハドソン湾とサギノー湾という共通のレイラインの指標を用いていることから、地球レベルで同じ文化があったと推定されます。
文献
1)コリン・ウィルソン、ランド・フレマス 松田和也(訳) 2002 「アトランティス・ブループリント」 学習研究社
2)岩田 明 2004 「消えたシュメール王朝と古代日本の謎」 学習研究社
3)コリン・ウィルソン 松田和也(訳) 「アトランティスの暗号」 学習研究社
4)グラハム・ハンコック 大地舜・榊原美奈子/訳 2020 「人類前史(下)失われた文明の鍵はアメリカ大陸にあった」 双葉社
5)志村史夫 2023 「古代世界の超技術」 ブルーバックス 講談社