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明日はどこにいるかを決めずに旅立ってはいけないNo.4|エッセイ

↑こちらの話の続き。

1か月も前から予約をして楽しみにしていたのに。
せっかく買ったこの大量のお土産はどうしよう。
ああ、なんてことだ。
高松のスタッフにはどうやって説明したらよいだろう。

頭の中を様々な思いが駆け巡るが、最初にやらなければいけないことは、高松への電話だ。

少しづづ進む行列の波に遅れないよう、床に置いたお土産を持ち上げて。おろしてを繰り返しながら、震える手で業務連絡ツールを操りながら、高松スタッフリーダーの由紀さんの電話番号を聞いた。

下手な言い訳をしてもどうにもならないので、そのまま、そのままの現状を伝えた。

「由紀さんお疲れ様です。実は私、飛行機撮り間違えてまして……。はい羽田発だったんです……。そうです、安すぎでしたよね、やっぱり。はい、飛行機を取り直せば今日中には着けると思うのですが……。たぶん10万は超えます。」

「それじゃ社長に直接電話して、聞いてみて!たぶんそれでもいいからおいでって言うとおもうよ。気をつけて来てね!」

優しいがすぎる……。怒られるどころか心配まで。

次の関門は社長である。「ドドドドン、ドドドドン……」
iPhoneの方ならわかるだろうか。電話の着信音をクラッシックのピアノリフにしているのだ。

今まさに運命が動き出す。そんな雰囲気を盛り上げる重低音が手の中で鳴り響く。

「なにやっとんねん!W チケット取れそうならいいから取っておいで~!今度は間違えんようにな!」

「でも10万以上になりそうなんです。」

「しゃーないやん。領収書は忘れずに~」

ひたすら謝り通して電話を切る。

神。

ひとまずの方向性は決まった。

それでもまだ動悸の激しい胸を押さえ、ふらつく足元にあるお土産の大きな袋を見つめながら、これ、無駄にならなかったな。などと思いつつ、まだ先の見えないカウンターへの行列から抜け出した。

続く。



【あとがき】


着信音は「マーキュリー」ってやつに変えました。
なんであんな怖い感じの音にしていたんだろ。

まあ、まだこれからいろいろありましたが今日はここまで。
ドキドキが止まらない……。

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稲橋 閃
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