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帰ってきたヒトラー どこに導くのか?!

繋がりっておもしろい!世界は広いと感じる時もあれば、狭いなって感じることも!

先日たまたま見た映画の役者さんの名前を調べたら、ん?! 今回ご紹介する映画の主役を演じた方だった!全く別人に見えたのに!数ある映画の中で、たまたま隣り合わせた奇跡に感謝する。

この映画、色んな意味でドキドキ…上手い。笑った。でも、物事の本質を突いている。ネタバレなので、先入観持たずに鑑賞したい方はスルーして下さい。

『帰ってきたヒトラー』2015年公開ドイツ映画。デヴィッド ヴェンド監督。オリバー・マスッチ主演。2012年出版ティムール ヴェルメッシュ同名小説原作。

戦後から70年以上経っているとはいえ、ヒトラーがアウシュビッツ収容所などで行った非人道的な行いに憎悪を抱いている方々がまだご存命のはず…再びヒトラーなんて…独裁者を許すまじという気風はどこへ…皮肉として描いても、どのような結末を描くのか…などと、ヒヤヒヤドキドキ心配しながら観ていた。

死の直前1945年から2011年の現代にタイムリープした本物のヒトラー。目覚めるや否や早速、新聞、ネット、インタビュー等で社会情報を得る。情報は武器とばかりに。

そして政治家らしく、話す言葉は民衆の為にと、リアルに現代のドイツの問題を語る。それが真っ当過ぎて、笑いが込み上げる。民衆は新しい芸風のコメディアン登場かと、彼を快く受け止めて写真を一緒に撮る。TVに出演、ネットの話題になり人気者に…

…でも、彼が本物だと知る私は凄く不安だった。良いのかなぁ⁈ドイツの皆さんが、彼の言葉、彼の表向きの言葉に従順で…

すると、戦争をリアルに体験しているお年寄りがヒトラーに言う。「知っているぞ。お前が何をしたか。最初はみんなお前を受け入れた。だけど、お前はみんな殺した、みんな、みんな…。出て行け!!!」と。

そうだよね。胸のつかえがとれた。認知症の老人として出て来るが、このお年寄りは正しいと思った。認知症のお年寄り…本当に肝心な時には正気になる。確かに…!

何故、こんなにみんな易々とヒトラーを受け入れるのか⁈コメディアンだと思っているからだけではない何か…

そうか。ヨーロッパでも移民の問題が市民を悩ませている。ヒトラーに国の問題は?と尋ねられて、市民は口々に移民問題をあげていた。ヒトラーは「ドイツ国民の為に、強いリーダーが必要だ。」と語り、市民は歓喜していた。

ある人物がヒトラーが本物だと気付き、ヒトラーを抹殺しようとするシーンでは、ヒトラーのこんな台詞がある。

「ヒトラーはお前の中にいる!」


そしてヒトラーを抹殺しようとした男は、精神病院送りになったし、ヒトラーはヒトラーを擁護する人の元へ…

もしヒトラーのように極端な民族の優位性を語る政治家を支持すれば、移民はたちどころに収容所送りとなるが如く強制撤去は免れない。移民を快く思わない人にとっては、ヒトラーに近い思想に気付かないうちに傾いているのかもしれない。強いリーダーシップで強行に移民を排除することを求めて…

それに警鐘を鳴らしているのでは⁈エンディングでヒトラーを否定する曲が流れていた。みんなの心の中のヒトラーにいる呼びかけているように思えた。

みんなの心の中に、ヒトラーを蘇らせる位、大きな排他的な思想を芽生えさえる移民問題も脅威に思えた。

この原作や映画がドイツでヒットしたことが面白い。深刻な問題を抱えているが、極端に排他的に傾かず、冷静さを失わないでおこうとする賢さがみえた。


『帰って来たヒトラー』は受け入れる側への問題提起。『インザハイツ』は移民してきた人々の問題提起。宜しければ合わせてどうぞ。

ちなみに、『帰ってきたヒトラー』のヒトラー役のオリバー スマッチ。『ある絵画の数奇な運命』にも出演していた。カッコいい現代美術教諭役。全く雰囲気が違うので、めっぽう驚いた(°▽°)!今回の記事を書きたいと思ったほどに…

ヒトラー映画で以前記事にしたこちらの作品も秀逸。ヒトラーから解放された少年のお話。







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