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浮浪雲 下駄と煙管と風流と

 桜は満開。春だ。春だ。心がポカリと浮かぶ。

 下駄をカロコロ鳴らしながら、満開の桜道を散歩した。

 帰りにつくしを摘んで、帰ってから佃煮にした。苦味が上手い。春のお味。

 つい最近、煙管(キセル)を覚えた。庭で摘んで干していたハーブ類がタバコになることを知って、直ぐに煙管を手に入れた。
 ヨモギ、ミント、セージなどなど、様々な野草を煙管の雁首に詰め込んで楽しんでいる。
 
 のんびり、煙を燻らせながら、芽吹きの庭を眺めている。風流じゃないか!

下駄と煙管と風流と。ふと浮かんだのが『浮浪雲』。

『浮浪雲』1982年公開。日本アニメ映画。
ジョージ秋山原作。原作は1973年から2017年に青年漫画誌『ビッグコミックオリジナル』に掲載され全112巻の漫画。
 1978年渡哲也主演、1990年ビートたけし主演でTVドラマ化もされている。 

 時は幕末。動乱の舞台である品川宿で、飄々と泰然自若に生きる通称“雲“が主人公。酒や女遊びに興じながらも、家族や周りの人々に愛される男。番頭に任せきりではあるが、実は大店の頭であり、滅多に見せないが剣の達人でもある。
 映画は雲の長男“新之助“11歳の出会いと心の成長や家族との関わりを描いている。

 映画版の『浮浪雲』はこの度初めて拝見した。

 漫画は20歳頃、自動車運転免許取得の合宿で山形の民宿に滞在した時に、暇に任せて置いてあったものを読んだ。
 人の性(さが)の浅ましさや、人間臭い話の脇を風のようにサラリと生きる主人公が男前。
 価値観の違い、物事の捉え方の違いが、人生を大きく分けるのだとその時、読んだ話の印象が今でも残っている。

 映画を観てまた、漫画を読んでみたいと思った。私が読んだのは20巻程度。後80巻以上あるとは…。楽しみがまた増えた。気長に何処かでまた読もうと。


 


 

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みと吉 禮子 (みとよし れいこ) 絵本作家
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