【「タレント」の時代】 -ほぼ1,000字感想文
○タイトル:「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論
○著者 :酒井 崇男
○発行 :講談社 (2015/2/19)
■ざっくり要約
トヨタに始まり、アップル、グーグルが真似をした、いわゆる「タレントマネジメント」に関する考察が詰まった一冊。
人による労働力をヒューマンリソース[Human Resource]と表現するが、これは経営資源として人材を見ていることが前提になる。著書で紹介されているタレント[Talent]はこれと全く異なる価値観である。
優秀なタレントは「設計情報の創造」を担う。まさに価値を生み出す非定型な仕事をする人たちである。一方で経営資源としての人材は、タレントが生み出した設計情報に基づいて「転写」を行う人たちのこと。定型業務をこなすことによる価値の量産を求められている。
天然資源に乏しい日本では、本来この「設計情報」を資源として富を勝ち得てきた。しかしそれを継承している企業は日本では育たず、いつしか海外企業に取って代わられた。
これからの社会においては「タレントとタレントを生かす仕組み」を改めて理解し、戦略的に取り入れることが重要である。
■学びポイント
○人材採用(Recruiting)とタレントアクイジョン(TalentAcquisition)は分けて考えるべき。
→この視点は、採用システムが明確になっている企業ほど盲点になっている気がしました。新卒採用システムなんて、まさに温床。大量に応募を集め母集団形成をし、トーナメント式に優秀そうな人材を順番に採用していく進め方では、タレントの採用はできない。
○設計情報に価値があり、大部分の人的リソースはその転写に充てられている
→いわゆる定型/非定型の捉え方として、とても分かり易かったです。
実例として紹介されていたスタバの話。よくスタバの店員は「気が利いて仕事もできる」とされることが多いが、これはマニュアルという圧倒的な「設計情報」を保有しているからこそ生まれる接客と考えられる。(なるほど。)
○B級人材の心理をいかに封じ込めるか?
→タレントを評価できないB級人材が、マネジメントラインにいることが悲劇。
大きく問題は下記2点。
①タレント(A級人材)が大きな成果を出した場合、それを他の部下も同様にできることが当たり前と思ってしまう。さらにタチが悪い場合、自身のマネジメントが優秀が故に、目の前のタレントが成果を出したと考える勘違い上司も存在。
②B級人材はタレントを自ら採用しようとしない。なぜなら自分より仕事ができる人間が組織に入った場合、自身の身が危うくなるから。保身は本能的にしてしまう。
年功序列な大企業ほど、この状況は当たり前のように起きていそう。
↓出典元
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