BXデザイナーが振り返る、miiboブランドリニューアルの舞台裏
こんにちは!miiboの玉田です。
会話型AI構築プラットフォーム「miibo」を提供する、株式会社miiboでBX(Brand Experience)デザイナーとして働いております。いわゆる"1人目デザイナー"です。
miiboは2024年1月に新たにミッション、ビジョン、バリュー(MVV)を策定し、コーポレートロゴをはじめとしたビジュアル・アイデンティティをリニューアルいたしました。
今回は、ブランドリニューアルプロジェクトの全貌をBXデザイナーの立場から振り返っていきたいと思います。
ブランドリニューアルプロジェクトの背景
miiboは2023年4月7日の創業以来、会話型AIをより身近な存在にし、誰でも簡単にAIを構築・活用できる環境を創りあげることを目指し、会話型AI構築プラットフォーム「miibo」の開発・提供を続けてきました。
また、2023年に9月には暫定CSOにTHE GUILDの代表やnoteのCXOとして活躍する深津 貴之氏を迎え、12月にはシードラウンドでの資金調達を実施、初のAIカンファレンス「miibo AI Conference」を開催するなど、経営体制の強化を進めてきました。
私がBXデザイナーとしてmiiboにジョインしたのもちょうどこの頃です。同時期に頼もしい仲間たちがどんどん増えており、組織としても大きな転換期を迎えていました。
また、目まぐるしく変化するAI業界の中で、miiboのあり方にも日々進化が求められるようになっていました。今後の更なる事業成長を見据え、何をミッションにどんな方向に向かっていきたいのか、「企業としてのあり方」や「大切にしたい想い」を全社で共有し、チーム一丸となって前を向いていくための指標を設定することが重要であると考えました。
プロジェクト全体を通して意識したこと
本プロジェクトのオーナーをさせていただくにあたり特に意識したことは、メンバーの納得感です。
これは決して、メンバーを納得させるためにデザイナーが頑張る、といったようなことではなく、メンバー自らが考え、手を動かし、言語化し、ビジュアル化まで担当することができるように、デザイナーとしてサポートをしていくということです。
これは、私がデザイナーとして大切にしているポリシーである「クリエイティブは課題解決の手段である」ということにも通じています。プロジェクトの目的はセンスの良いロゴをデザインすることでも、それっぽいMVVを発表することでもなく、チーム一丸となって前を向いていくための指標を設定することであり、その実現のためにはメンバー自らが考え、手を動かし、言語化し、ビジュアル化まで担当することが必要不可欠であると考えました。
価値や強みを棚卸しする
まずは、これまでmiiboがユーザーに提供しつづけてきた価値を再確認し、自社はなぜ存在するかを再認識するとともに、未来に向けた新たな価値を生み出すための軸を探すため、プロジェクトメンバーとの対話を行いました。
miiboと長らく向き合ってきた社内からの視点だけでは気づけないこともあるので、私は良い意味で"外部の人間"として、物事の本質から問い直すことを意識していました。
果たすべき使命を明確にし、理想の姿を思い描く
価値や強みの棚卸しができたら、今度は企業としてのミッション(果たすべき使命、存在意義)とビジョン(実現を目指す将来のありたい姿、理想像、中長期的な目標)、さらにバリュー(具体的にやるべきこと、行動の基準となる価値観)=MVVを策定していきました。
これらを言語化していく上で注意したことは「MVVはツールとして機能しないと意味がない」ということです。
一見想いを言語化できているように見えても、例えば経営判断を行うとき、採用活動を行うとき、戦略を立案するとき、MVVが羅針盤となりうるワードになっていなければ、それはツールとして機能していないことになります。
miiboでは、仮で定めたMVVを用いて、普段の業務の中でこれらがきちんと機能するかを実際にメンバーで確かめるというステップを踏みました。
判断に迷った時「やっぱりこのMVVに立ち返って考えたらこうすべきだよね」と議論が進められた瞬間がいくつかあり、策定にかかわったメンバーの想いも確信に変わっていきました。
"言葉"をビジュアルに落とし込んでいく
さて、MVVが策定できたら、いよいよロゴをはじめ、ビジュアルデザインに落とし込んでいく必要があります。ここにどれだけブランドの「らしさ」を落とし込めるかがデザイナーの腕の見せどころです。「突然デザイナーがロゴの候補をたくさん出してきて、経営陣でなんとなく好きなものに投票して決めた」的なことは決して起こらないようにしたいところです。
私がここで意識したのは"「なんとなく好き」「なんとなくこれっぽい」さえも徹底的に言語化する"ということです。
◼︎ブランドパーソナリティ(人格)を言語化→ビジュアル化
まずは無数の形容詞の中から、ブランドの人格を抽出していきます。
このワードから連想されるビジュアル画像を色彩心理学やイメージカラーを基にたくさん(75枚ほど)準備し、「miiboらしい」「miiboらしくない」をプロジェクトメンバーに判断してもらいました。
最初は判断の理由が「なんとなく」だったものを、なぜmiiboらしい/らしくないと感じたのか、その理由は形なのか、色なのか、質感なのか、対話の中で言語化を進めていきました。
◼︎ビジュアルに対する共通認識のもと、ロゴやコーポレートカラーを磨いていく
ここまでのプロセスがあったからこそ、実際にロゴやコーポレートカラーの議論を進めていくフェーズでも、「これが好き」「なんとなくこれっぽい」などの曖昧な表現ではなく、メンバー間で共通の言語で語ることができました。
ここからは、「miiboらしい」要素のうちどの観点を強く表現するべきか議論、またロゴの運用面での検証を行いながらブラッシュアップを行い、ロゴが決定しました!
miiboの「m」と「i」を基に、miiboが「HUB」となり、ありとあらゆるものにコネクトしていくことを表現したシンボルを追加しました。カラーは「温かみのある」「エモーショナル」な印象を与えるカラーと、「洗練された」印象を与えるカラーをグラデーションに用い、AIが人や社会の幸せとなるようすを表現しています。ロゴタイプは、miiboが提供していく「先進的な」体験だけでなく、「人に寄り添う」「人間らしい」といったイメージを持たせた丸みのある形としています。
ロゴの他にも、miiboフォントの制作や各種デザインのアップデートをどんどん進めている最中です!
新しいMVVやビジュアル・アイデンティティとともに益々パワーアップしていくmiiboにぜひ期待していただければと思います。
プロジェクトメンバーからのコメント
プロジェクトメンバーのお二人に今回のプロジェクトについて簡単にインタビューしてみました!
Q. プロジェクトを進めていく上で良かったことは?
早期タイミングでのブランド確立
・現在の規模は根本議論が山のようにありますが、立ち返るMVVのような存在が早めにできたことは大きいと感じました。(功刀)
・早期タイミングでブランドリニューアルできたことで、プロダクト・コミュニケーションの方向に一貫性ができて良かったです。(屋田)新ブランドに対する納得感
・最初からメンバー同士、コンテキストが揃えられました。(功刀)
・これまではMVVは経営陣がエイヤで作っている(勝手な)認識がありましたが、プロセスを通すことで納得感のあるものができました。(屋田)プロジェクト進行のスムーズさ
・アジャイルである前提でスピーディに進められました。(功刀)
・今回は元々ある程度言語化というかイメージができている状態 & 3人で進めたので、割とスムーズだったのが良かったです。(屋田)その他
・玉田さんがいい感じに整理してくれるので、直感に任せて好き勝手言いましたw(功刀)
・ロゴがあるとテンションがあがる!(屋田)
Q. プロジェクトを通して、新たな発見はありましたか?
・立ち返ることができるMVVの重要性や、議論のプロセス自体のの重要性に気づきました。(功刀)
・この世の多くのものは、色とか形とかちゃんと裏側を考えられて作られているんだと分かりました。(屋田)
まとめ
今回のプロジェクトにおいて重要なポイントは以下の通りです。
プロジェクトメンバー自らが考え、手を動かし、言語化し、ビジュアル化まで担当する
MVVはツールとして機能しないと意味がない
「なんとなく好き」「なんとなくこれっぽい」さえも徹底的に言語化する
今回のプロジェクトでmiiboは、自らを見つめ直し「企業としてのあり方」や「大切にしたい想い」を言語化し、チーム一丸となって前を向いていくための指標を再設計することができました。
また、AIと一緒に働く時代だからこそ、AIにも企業としてのコンテキスト(今回でいうMVV)を共有することで、AIとの共生もしやすくなりました。
次は、多くのユーザー、社会に企業としてのmiiboとプロダクトとしてのmiiboを知っていただくために、発信をつづけていきたいと思います。
miiboでは「デザイン経営」の導入もスタートしています。こちらについてもまた発信していきます!
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!