文芸ペンギン

近畿大学文芸学部日本文学専攻卒業。28歳です。文学やドラマ、映画などの作品の評論などを投稿していきます。よろしくお願いします。

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最近の記事

『ライオンの隠れ家』最新話まで要約

TBSドラマで金曜22時から放送中の『ライオンの隠れ家』は、謎の少年「ライオン」を中心に、兄弟の小森洸人(読み方ひろと)(柳楽優弥)とみっくんこと美路人(坂東龍汰)が巻き込まれる事件や家族の絆を描いたヒューマンサスペンスドラマです。謎が謎を呼ぶミステリー要素と人間が愛に生きる姿を描いた感動要素もあり、最高に面白いです!(執筆時点で7話まで放送) 第1話: 謎の少年との出会い 市役所職員の洸人は、自閉スペクトラム症を持つ弟のみっくんと二人暮らしを送っていました。毎日仕事に行

    • 映画『怒り』 映画評論

      この作品は、千葉、東京、沖縄の三つの場面がそれぞれ独立して描かれる群像劇である。それぞれの地に、一年前に八王子で起きた夫婦惨殺事件の犯人と顔が似ている男[千葉・田代(松山ケンイチ)、東京・直人(綾野剛)、沖縄・田中、犯人・山神(森山未來)]がいる。その人を犯人だと疑うのか、それともこの人は違うと信じるのか。人を信じることの難しさや脆さにスポットライトを当てた作品である。 冒頭の何秒かで、一気に感情が揺さぶられた。夜の住宅街が上から映され、徐々に下に降りていく。そして、その中の

      • 『掟上今日子の推薦文』西尾維新 作品論

        掟上今日子の推薦文 掟上今日子シリーズ第二弾。今回の語り手(念の為、語り手とは小説における物語の内容を読者に語る人)は親切守(以下守)。 守は大学を卒業し、夢であった何かを「守る」仕事である「警備員」として働き始める。美術館の警備を任せられた彼はそこで、寝ると記憶がリセットされてしまう探偵「掟上今日子」、絵が抜群に上手い少年「剥井陸」、額縁匠「和久井翁」の3人と出会い、その出会いを通じてある事件に巻き込まれていく〜という話である。 まず、この小説の特筆すべき点はとにかく没入

        • 『僕は勉強ができない』山田詠美 から読み解く現代社会で強くなっていく個人力

          『僕は勉強ができない』 山田詠美  主人公の男子高校生、時田秀美は勉強ができない。というより、勉強ができることに価値を見出さないのだ。部活はサッカー部に入っており、女子にもてる。おまけに年上の彼女もいる。今でいうところのリア充だ。しかし、どこか社会や大人に対して反抗的な考えを持っている。その原因の一つが、秀美が幼い頃、両親が離婚しており、父親と一緒に住んでおらず、昔からことあるごとに「父親がいないのに偉いね」、もしくは「父親がいないせいでああなるんだ」といった類の言葉を浴びせ