【返詩】時のアイス【吾音萌音さん】
ある夏の日に、敬愛する詩人の吾音萌音さんが著した
【詩】 宇宙とアイスにふれて詠んだ返詩です。
【時のアイス】
何億劫ものときを経ても
瞬間は永遠に積み重なる
だからこの星であなたに
また出会えたのだろう
私はあなたを大切に思うとき
涙がこぼれる
あなたは彗星に乗って
宇宙の果てを旅してきたのだと思う
白い雪玉のような彗星が
生命の根源で
凍てつく宇宙は美しい
青い音楽に満ちている
アミノ酸の塩基配列の理屈ではなく
あなたと私は心を語りたい同志
ひとのその涙にも含まれるという
彗星のかけらを探したい
語らうなかで甘美に酔うとき
あの彗星の長旅をそっと思い出す
あなたとは
確かに出会ったことがある
いまここで
また出会えたに違いないと
夜空を見上げたら
アンタレスの紅が
その心臓をときめきで燃やしている
彗星は見えなくとも
どこかを旅していた
三千年後に帰ってくるのは誰かが
大切な何かを
命の源のような次世代の
その希望を乗せてくるという
新しいとは時間の線のむこうにあるものだ
あなたの美しいシルエットは
涼しく曲線を描いて
宇宙にものびている
光と陰の調和も時間の概念をも
ほんの小さなものとして
空虚のグラスに時は満ち満ちてゆくのだろう
時間という言葉はそこには無い
本来のあなたがいるだけだ
宇宙空間には時間など無いと知る
時。とは
じつは時間のことではない
今とか永遠とか
刹那とかそれは
あなた自身の心のことだ
心の空虚は時計では測れない延伸
あなたの眦が大きく動くそのとき
美しい星空も流れたのだ
そっとグラスに注ぐように
過去へも未来へも
いまこのとき
自由自在に心は流れている
青い鳥を探したあなたへ
時とは、じつは心だった。
吾音萌音さんの美しい詩、冒頭の問いかけから着想を得て返詩を物してみました。
知的な【romantisme】ロマンティスム、独自の世界を醸しだす吾音萌音さんの清々しい美しい詩文に触れてみてください。
なお拙詩のヘッダー画像には
【詩】宇宙とアイス。からの引用許可をいただき
画像をお借りしました。
吾音萌音さん、ありがとうございます。
後日、下書きを見ていただき、 『内省の旅を宇宙にまで広げたような哲学』と
吾音萌音さんに評していただきました。
とても嬉しかったです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。